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リバプールは慧眼か? 新監督候補、アルネ・スロットを徹底分析。クロップ・サッカーからの進化と一抹の不安【コラム】

シリーズ:コラム text by 内藤秀明 photo by Getty Images

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リバプールの、ユルゲン・クロップ監督の後任がようやく決まりそうだ。新任候補の名はアルネ・スロット。名前だけを聞くとギャンブルの香りがする。確かに賭けに出た部分もあるだろう。しかし予定の合間にふらっとパチスロ店に立ち寄るかのようなノリで決めたわけでは当然ない。入念なリサーチの結果、この45歳のオランダ人に決めたのだ。では何故リバプールは彼を後任候補として選んだのか。そして、スロット監督とはどんな人物なのだろうか。(文:内藤秀明)

著者プロフィール:内藤秀明

1990年生まれ。プレミアリーグを中心にサッカーライターとして活動中。2023年には4試合解説者も務めた。またプレミアリーグのファンコミュニティ「プレミアパブ」の代表としてトークイベントやフットサルイベントなども主催している。趣味はお笑いライブを見に行くこと。

スロット監督が好むスタイルとは?

アルネ・スロット
【写真:Getty Images】

 まず第一にスロットがリバプールにやってきた場合、新しい戦術的な文化をイングランド北西部の港町に持ち込むことになるだろう。オランダ人監督は合理性を重視する典型的な戦術家だ。これまでのリバプールはユルゲン・クロップの情熱的なサッカーでゴリ押すことが多かったが、スロットが監督になるとビルドアップが整備され、以前より器用さを手に入れることになるはずだ。

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 基本的にスロットサッカーでは、最終ラインでボールを保持する際に、相手の前線の守備枚数と同数のDFで組み立てていく。厳密に言うと、ハイプレスを受けた場合はGKも巻き込んで数的有利を作り、擬似カウンターを仕掛けていく。いずれにしても後方に多くの人数をかけることを好まない。

 またビルドアップ面での他の特徴でいうと、中盤は最終ラインに落ちることが少ない。相手FWとMFの中間でボールを引き取ることを求める。ただしノープランで後方の人数を減らすと、ボールを失ってカウンターを食らうリスクが発生するので、少なくとも片方の、状況によっては両方のSBを低めの位置に配置する。この状況によってはと言うのは前述の通り、相手の前線守備の人数に応じて変容する。

 ビルドアップのサポートに入るSBの選手たちは偽SB的にピッチ中央のエリアに侵入することもあるが、原則的な立ち位置はCBとウイングの中間に立つ。正確に言うと、中間よりやや低めでCB寄りの立ち位置をとらせる。

 この偽SBでもなく、大外のレーンの高い位置でもないポジショニングは、近年のポゼッションサッカーにおける主流のやり方だ。CBと近い距離感でボールを繋ぐことも出来るし、やや内側に立つことで相手のウイングを押し込み、CBから味方のウイングに一つ飛ばしのパスも通しやすくなる。

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