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リバプールは慧眼か? 新監督候補、アルネ・スロットを徹底分析。クロップ・サッカーからの進化と一抹の不安【コラム】

シリーズ:コラム text by 内藤秀明 photo by Getty Images

遠藤航の適応に不安は?

リバプールに所属するサッカー日本代表MF遠藤航
【写真:Getty Images】



 このビルドアップは状況に応じての立ち位置の微修正が90分間求められるため、最終ラインおよびアンカーの選手には器用さが求められることになる。クロップのサッカーとは大きく変わる部分だろうが、リバプールの現在の最終ラインや中盤にはサッカーIQが高い選手が多いため、概ね問題ないはずだ。

 強いて苦しむ選手を挙げるとするなら、オランダ代表MFライアン・フラーフェンベルフではないだろうか。ただ監督と同じ母国語の選手ということもあり、密にコミュニケーションをとってなんとかスロット特有の動きを習得したいところである。

 なお言わずもがな遠藤航は問題ないはずだ。今季1年を通じてプレミアリーグの強度でポゼッションすることに十分慣れた。むしろワンタッチではたく意欲の強い日本代表MFとしては、近場に選手が配置されることで以前よりさらにボールを失うことが減るはずだ。あとは長めの縦パスを前線につけられるようになると、さらに存在感を増していくことになる。

 また、SBがビルドアップにおいて大きな役割を担うため、トレント・アレクサンダー=アーノルドが自身のワールドクラスのキック能力をより輝かせる展開も予想できる。彼にとっては一番やりやすい位置でプレー出来ると言っても過言ではない。またフェイエノールトでは、攻撃性能が高い右SBルシャレル・ヘールトロイダにだけ若干の自由を与えるという例外も作っていた印象だ。この例外をリバプールでもそのまま当てはめれば、間違いなく機能するはずだ。

 いずれにしても低い位置で人数をかけないビルドアップは、前線の選手が前残り出来るという恩恵を作る。スロットはポゼッション型の監督ではあるものの、ストライカーに過度なパス要件を求めない。偽9番など難しい動きはさせず、最終ラインでDFラインと駆け引きさせておくことの方が多い。この点はやや不器用なダルウィン・ヌニェスにとって朗報だ。

 このようにスロットのサッカーはチームに変化をもたらすものの、その特徴をしっかりと観察すると、現在のリバプールの選手たちは十分フィット可能だ。このちょうどいい監督を選ぶあたり、リバプール首脳陣の人選は流石と言わざるを得ない。

 一方で懸念点はゼロではない。やはりマネジメント面だ。

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