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セリエA 1か月前

サッキの目に狂いはなかった。トリノ監督は「戦術家ではなく戦略家」。バノーリ監督は何が優れているのか?【コラム】

シリーズ:コラム text by 佐藤徳和 photo by Getty Images

トリノの新監督、パオロ・バノーリという男

 大御所を唸らせたトリノを今季から指揮するのが、パオロ・バノーリだ。昨シーズンはセリエBのベネツィアを指揮し、レギュラーシーズンを3位でフィニッシュ。プレーオフでも、下位のチームに下剋上を許さず、セリエA昇格にチームを導いた。その手腕を買われて、昨季限りでイバン・ユリッチが退任したトリノの新監督に抜擢された。

 セリエAは初挑戦ながら、アマチュアリーグのクラブの指導者として監督業をスタートし、アンダー世代のイタリア代表の指揮官や海外のクラブでも監督を務めた実績のある経験豊かな52歳だ。選手時代には、ベネツィア、パルマ、フィオレンティーナなどで活躍。スコットランドのレンジャースやギリシャのアスリティコスでもプレー。パルマが制した1998/99シーズンのUEFAカップ(現・UEFAヨーロッパリーグ)では、マルセイユとの決勝で左サイドMFで先発フル出場し、優勝の美酒を味わった。イタリア代表としても2試合のキャップ数を誇る、経験値の高いプレーヤーだった。

 実は、サッキとは旧知の仲で、2010年、U-16イタリア代表の助監督に任命したのが、当時ユース部門強化責任者を担っていたサッキだった。FIGC(イタリア・サッカー連盟)のマウリツィオ・ビッシディ・コーディネーターの紹介により、サッキはバノーリをU-16イタリア代表のスタッフに招き入れた。

「最初に彼に会った時、とても良い印象を得た。私は先ず、監督や選手としての能力よりも、その人物の性格を見る。バノーリはとても素晴らしい人間に思えた。それは彼にとって大きなアドバンテージだった。彼は人の話しに耳を傾ける、大柄な人間ではない。そして、学ぶことに意欲を持っていて、ピッチの上の仕事に打ち込み、選手たちとの会話も大切にしている男だ」そして、サッキの目に狂いはなかった。

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