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コラム 1か月前

「世界で3本の指に入る」アーセナルの“新SD“アンドレア・ベルタとは何者? 招聘の理由と求められる役割とは【コラム】

シリーズ:コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

世界で3本の指に入る“手腕”

 その力量について、アトレティコ・マドリードで7年間“右腕”を務めたルイス・ロドリゲスは、スペイン『Marca』のインタビューでベルタのことを「彼のような仕事量、プロ意識、責任感を持つ人は少ない。世界で3本の指に入るスポーツ・ディレクターだ」と評価。クラブに対して忠誠を誓い、毎日のように朝から夜遅くまで働くプロ意識の高さを絶賛していた。

 アーセナルがエドゥの元右腕で、スカウト出身のアイト暫定SDを正式に昇格させるのではなく、新たにベルタを雇ったのはサッカー界における「人脈の広さ」を評価してのことだろう。世界中の代理人やクラブと優位に交渉する上では欠かせない素質だ。

 共同オーナーの1人であるジョシュ・クロンケもベルタのSD就任に合わせて「彼にはフットボールに関する豊富な知識、素晴らしい実績、強力なネットワーク、勝ち切るチームを創ることへの飽くなき欲求がある。彼は我々にとって素晴らしい存在になるという確信がある」とコメントしている。

 優秀なSDは主に2つのタイプに分かれる。メディアを使った駆け引きをするタイプと、逆にメディアに情報を流さないことで秘密裏に仕事を進める2種類だ。

 どちらかと言えば、ベルタは後者に該当するだろう。アトレティコ・マドリード時代はほとんど取材に答えていない。そういった背景があったため、就任直後にアルテタとプレスカンファレンスに同席したのは意外だった。

 当然ながら新たな職場での決められたルールに従う必要があり、ベルタの場合はアトレティコ・マドリード時代に率いたユニットごとアーセナルに移籍をしたわけではない。単身で乗り込んできており、エドゥが残した組織と共に仕事をする。そのため今後は以前と比べて働き方が変わってくるかもしれない。

 なお、現状では英語が話せず、猛勉強中とのこと。3月まで暫定SDを務めたアイトが複数の言語を操れることもあり、サポートに回ると報じられている。

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