アルテタ監督に合う選手の獲得は難しい?今夏は大忙しの可能性
今夏だけでも何人かの選手が退団する可能性がある中で、ベルタにとって難しいテーマになりそうなのが、アルテタの求めるクオリティの選手を獲得することができるかどうかだ。
この「クオリティ」とはプレミアリーグに適応するための「フィジカル」と「高い戦術理解力」の2つの能力だ。特に後者は必須で、指揮官の志向するサッカー(特にビルドアップやハイプレス)を成立させるためには、各選手に瞬間的な正しい状況判断が求められている。
この能力を持つ選手は限られている。過去にエドゥ前体制でもヌーノ・タバレスやアルベール・サンビ・ロコンガ、ヤクブ・キヴィオル、ファビオ・ヴィエイラのような即戦力というよりも、将来を見据えた補強を行ったが、その大半が戦力化できていない。
言葉を選ばずに言うと、アルテタは自分が理想とするサッカーにおいて、起用できる選手の幅が狭い。良くも悪くもサッカーIQの高い選手を揃えることが出来なければ成立しない戦術であり、これは編成面からするとかなりハードルが高い。
アルテタが求める高いクオリティの選手は、各クラブとの争奪戦が必須で、移籍金が必然的に高騰する傾向がある。これに加えて、来シーズンの終了後には北中米ワールドカップ(W杯)が控えていることもあり、各選手が例年以上に出場機会を優先する可能性があるだろう。
現状のアーセナルはストライカーとトーマスが退団した場合のアンカーの2つのポジション以外はスタメンが固定されている。キヴィオルのような控えで頼もしい選手が出場機会を求めて退団を希望するとなれば、編成へのダメージが必須で、その代役も探さなければいけない。
しかし、現実的にはレギュラーの座が確約されていないポジションに、アルテタが求めるクオリティの選手を獲得することは難しいだろう。またヌーノ・タバレスやロコンガのような選手を獲得して、結果的に戦力化できないという形を今後も繰り返すのだろうか。
ベルタにとって今夏は多くの選手との「契約延長交渉」に「選手獲得」と、いきなり休むことのできない大忙しの移籍市場になりそうだ。”3本の指に入る”という手腕の見せ所になるだろう。
(文:安洋一郎)
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