シメオネとアルテタの共通点

【写真:Getty Images】
アーセナルにとってベルタが適任だったのは、ミケル・アルテタの肩書きがアトレティコ・マドリードのディエゴ・シメオネと同じく「マネージャー」であることだろう。
日本ではチームを指揮する人物のことを一括りに「監督」と呼ぶが、正確には「マネージャー」と「ヘッドコーチ」の2つに分かれる。この2つの違いはアストン・ヴィラのウナイ・エメリとモンチの関係で説明すると分かりやすい。
セビージャ時代もタッグを組んでいた両者の当時の関係性は「SD」と「ヘッドコーチ」で、モンチが獲得した選手を現場のトップであるエメリが上手くチームの戦術に落とし込んでいた。
一方でアストン・ヴィラでの彼らのパワーバランスは逆転している。より大きな権限が与えられ、長期的にチームを強化することが求められる「マネージャー」であるエメリが求めた選手を「フットボール・オペレーション部門の責任者」であるモンチが獲得する。
要するに「マネージャー」と「ヘッドコーチ」では、責任の範囲とチーム内におけるパワーが異なるのだ。
シメオネもアルテタも「マネージャー」であり、チーム内における地位が高い。補強に対しても強い権限を持っており、SDと対等、もしくはそれ以上のパワーを持っている。
そのためこれまでの経歴で「ヘッドコーチ」としか関わりがなかったSDを招聘するのはややリスクだった。アルテタとの相性が良いかどうかは蓋を開けてみないとわからないが、少なくともシメオネと複数年にわたって共闘してきた実績のあるベルタは「マネージャー」の肩書きを持つ人物との関係に慣れていると推測できる。