「数字で1番になることは大事ですけど…」
「あのシーンでは狭いスペースでしたけど、裏は狙っていたので。(久保が)技術があるのも知っているので。走れば出てくる中で本当に素晴らしいボールをくれたので、しっかりと枠に飛ばすことだけを考えていました。
今日は1ゴールですけど、アシストも2つついた。でももう2点取れたかなと思うので、満足せずにやっていきたいです」と本人も冷静に話したが、78分間のパフォーマンスは見ていて安心できるものだった。
交代直前には細谷真大との2トップにもトライ。持ち前の万能性も示したが、この日の彼は「町野はいいFWになった」と誰もが認めるような好印象を残し、6-0の圧勝に貢献した。それは紛れもない事実と言える。
やはり今季ブンデス11ゴールという突出した数字に裏打ちされた自信は凄まじいものがあるのだろう。キールでは主にシャドウでプレー。1年での2部降格を余儀なくされたが、その経験も含めて彼の成長につながっている。
さらに言うと、来季はボルシア・メンヒェングラートバッハやSCフライブルクなどの格上クラブへのステップアップが確実視されている。そこで今季同等の実績を残すようなことがあれば、1年後の2026年W杯の段階では日本代表FW陣の序列トップに躍り出る。そうなる可能性も少なくないのだ。
森保監督はこれまで「町野は幅広いプレーはできるが、前線でのターゲット役としては迫力不足」と評価していた模様だが、それも今回でガラリと変わったはずだ。そうやって2年がかりで指揮官の低評価を覆したことは大きい。町野は本当の意味で代表での再スタートを切ったのである。
「(FW生き残りのために)数字で1番になることは1番大事ですけど。周りを生かすプレーも重要。2列目の素晴らしい選手たちがのびのびとプレーしたり、前を向いてゴールに迫っていき、最後は僕が押し込むといういいイメージとしてある。それが僕のできることかなと思います」
それを毎回のように体現していれば、町野は確実に代表の絶対的FWになれる。その手ごたえを強く感じさせたインドネシア代表戦は、彼にとって大きな価値のある一戦だった。
(取材・文:元川悦子)
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