FIFAワールドカップ26を「目指そうと現実的にはなっていない」
「ここでアシストできたから代表に関われるかっていうと、そうではないと思います」
今季のエールディビジでは30試合に出場して5得点。まずまずの数字に見えるが、「今回入ったのも予想外でしたし、全くA代表っていうところをイメージイメージしていなかった。現実的じゃなかったんで」と言う。
インパクトを残したからと言って、立場が大きく変わるわけではないことを三戸は知っている。このポジションには、三笘薫も中村敬斗もいる。前田大然もこのポジションでプレーしたことがある。彼らの牙城を崩すには、まだ積み上げが足りない。
我々を含めて、三戸の活躍を見た周囲はさらなる活躍を期待するだろう。ただ、三戸は「今のチームのままじゃたぶん呼ばれない」と客観的に自分の立場を見ている。1年後に迫るワールドカップについても、試合前には「目指そうと現実的にはなっていない」と言っていた。
この客観視できる能力こそが、三戸をここまで成長させたのかもしれない。164cmというひと際小さな身体で、世界一平均身長が高いとも言われるオランダを舞台に活躍している。自分に何が必要で、何を求められているかを理解しているからこそ、プレースタイルもアップデートすることができたのだろう。
予想外だった代表選出も、有意義な経験に変えた。1歳上の久保建英とも「めっちゃ話してくれるんで」と、コミュニケーションを取った。「常連組の方ともコンタクトを撮れたので、充実した10日間でした」と、代表活動を振り返っている。
試合後に三戸の口から出た言葉は、ワールドカップに出たいではなく、「これが最後にならないように」だった。
もっと活躍したい、もっと上の舞台で輝きたいという欲はもちろんある。でも、「あんまり背伸びはしたくない」と言う。自分の現在地を確かめながら、1つずつ階段を上っていく。
(取材・文:加藤健一)
【関連記事】
英国人が見たインドネシア戦「久保建英と鎌田大地は…」「高井幸大は欧州に…」「大迫敬介は昼寝して…」
サッカー日本代表、インドネシア戦の全選手パフォーマンス査定
なぜ呼ばれない!? 6月シリーズでサッカー日本代表に招集したかった5人
【了】