あのビッグセーブは“秘密の練習”があったからこそ!?
実際に試合が始まってみると、中国が5−4−1のブロックを形成してきたこともあり、序盤の日本はボール保持では上回ったものの、深い位置まで侵入できずに苦しんだ。その重苦しいムードを打ち破ったのが、開始11分の先制弾。田中聡のタテパスを受けた細谷真大が豪快な反転シュートを決め、チーム全体に安堵感を与えたのだ。
ただ、この一撃からホンコン・チャイナ戦のようなゴールラッシュにはならず、日本は時折、中国にチャンスを与えてしまう。最たるものが、17分のシーンだった。
相手GKのロングフィードを植田がいったんはヘッドで落とし、細谷がフォロー。再びボールを受けた植田がうまくつなごうとするや否や、相手キャプテンの9番・ジャン・ユーニンに渡してしまい、一気にゴール前に詰め寄られたのだ。
次の瞬間、GK早川と1対1に。これは同点にされてもおかしくない絶体絶命のピンチだったが、初キャップの守護神が左手を伸ばしてスーパーセーブ。「シュートストップの能力はJリーグトップ」と評される反応の鋭さを見せつけた。
「アンラッキーな形でこぼれたんですけど、相手との距離が遠かったんで、うまく間合いを詰めながら、コースを少し切りながら限定して、自分の前に持っていけたかなと。練習の成果が出たのかなと思います」
早川は笑顔をのぞかせたが、その練習とはホンコン・チャイナ戦翌日の大迫敬介と2人だけのトレーニングを指すのだろう。炎天下の中、元日本代表の前田遼一、長谷部誠両コーチの強烈シュートを2人で受け続けるというのは、心身両面で負担が大きかったに違いない。