小笠原満男のようになるには
それでも、鈴木優磨が「こういう試合だからこそ、もっともっとみんながボールを受けたがらないといけないし、自分が何とかしてやるっていう気持ちを持たないと難しいゲームになってしまう」と苦言を呈したように、ここまでボールを保持できなければ、いつ守備組織が決壊してもおかしくない。
そうならないように、ボランチ陣はキープ力とゲームコントロール力を引き上げないといけない。鹿島の未来を担う男・舩橋にはそのタスクが託されているのだ。
彼がユース時代に師事したレジェンド・小笠原満男(アカデミー・テクニカル・アドバイザー)は、埼スタのような重圧のかかる状況でも冷静沈着にプレーしていた。
駆け引きも巧みで、時には敵を苛立たせ、焦らせるような老獪さも持ち合わせていた。成長途上の舩橋がその領域まで到達しようと思うなら、もっともっと自己研鑽を図り、余裕を持てるようにならなければいけない。
「満男さんのようになるためにはどうしたらいいと思うか?」という筆者の問いに、彼はこう回答した。
「自信もそうですし、しっかり走るとか、戦うところだったり、当たり前のことを90分間できるような選手にならないといけないと思います」
特に舩橋に必要なのは自信だろう。つねに堂々と自分の持っているものを全て出し切れるマインドを身に着けることが、偉大な先人に追いつき、追い越すためのポイントだ。
今季鹿島が9年ぶりのタイトルを獲得し、舩橋がその一員になることができれば、目の前のハードルを越えられるはず。そうなるように、今季のラスト8戦で確固たる成長を示すことが肝要だ。
埼スタで再度、悔しさを味わった背番号20がどのような軌跡を辿るのか。それを興味深く見守りつつ、鹿島が王者に返り咲けるか否かを注視していきたいものである。
(取材・文:元川悦子)
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