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J1 19時間前

「あそこでチャレンジしない方が…」繋げるDFへ。植田直通が挑む苦手克服と鹿島アントラーズの変化「昨年の自分たちを超えていく」【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 フリーライター photo by Getty Images
鹿島アントラーズ、植田直通
鹿島アントラーズの植田直通【写真:Getty Images】



 劣勢の前半を跳ね返し続けた鹿島アントラーズ。最終ラインで奮闘した植田直通は、「やらせるわけにはいかなかった」と振り返った。だが、その言葉の裏にあるのは単なる責任感ではない。進化を続ける王者の中で、彼が担う役割は変わりつつある。現場取材から、その真意に迫る。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ]
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明治安田J1百年構想リーグ・地域ラウンド第10節
川崎フロンターレ 0-2 鹿島アントラーズ
Uvanceどどろきスタジアム by Fujitsu

劣勢の展開を跳ね返し続けた鹿島アントラーズ

鹿島アントラーズ、植田直通
川崎フロンターレFWエリソンと競り合う鹿島アントラーズの植田直通【写真:Getty Images】

 2025年に悲願のJ1タイトルを獲得し、26/27シーズンのAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)出場権も確保した王者・鹿島アントラーズにとって、2026年の明治安田J1百年構想リーグはやや目標設定の難しい大会になるという見方もあった。

 しかしながら、彼らは2月7日の開幕・FC東京戦と4月4日の第9節・水戸ホーリーホック戦でPK負けを喫した以外は全勝。EAST地区の首位を独走する形になっている。

 こうした中、4月11日に横浜F・マリノスに勝ったFC東京が勝ち点で鹿島に並んだ。消化試合数が2試合少ないものの、王者にも多少のプレッシャーはかかったはず。

 万が一、12日の川崎フロンターレ戦を落とすようだと、今季の勢いが削がれてしまう可能性も否定できない。アウェイと言えども、確実に勝利を収める必要があった。



 だが、風下に立った前半は非常に厳しい展開を強いられた。

 テクニックに秀でる川崎の中盤にボールを握られ、山本悠樹や脇坂泰斗らに次々と決定機を作られる。

 想像以上の劣勢だったが、彼らはパニックに陥ることなく、強固な守備ブロックで跳ね返し続けたのだ。

 最終ラインの大黒柱・植田直通は言う。

植田直通がチャレンジしたこと「悪いとは思っていない」

鹿島アントラーズの植田直通
鹿島アントラーズの植田直通【写真:Getty Images】

「本当に前半をゼロに抑えることを意識していたし、相手もかなりの圧力をかけてきた。前半に力を注いできたので、後半は少し落ちるんじゃないかと感じていました。

 それに後半になれば、自分たちに風の優位性が生まれていたので、とにかく集中して守りました」

 その植田が関与した決定的ピンチもあった。

 三竿健斗からバックパスを受け、前線に縦パスを通そうとして、エリソンに引っかけられた18分のシーンだ。

 相手のエースFWにそのまま持ち込まれそうになったが、植田は全力疾走して自陣ペナルティエリア内でブロック。事なきを得た。



「久しぶりにスプリントしましたよ」と本人は苦笑しつつも、「自分のミスなんでやらせるわけにはいかなかった」と強調した。

「でも僕自身は悪いとは思っていないですし、あそこでチャレンジしない方がいけないことなんで、続けていきたいですね」と前向きに語ったのだ。

 今季の鹿島は「主導権を握るスタイル」にトライしている。最終ラインも単に長いボールを蹴り出すだけでなく、丁寧につなぎながら前進していくプレーを鬼木達監督から求められている。

 もともとハードマーカーだった植田はそういった繊細なプレーを得意としていなかったが、苦手な部分を克服しなければ、さらなる成長はない。

 そういう自覚があるからこそ、「細かいパスもつなげる成熟したDF」になろうと努力を重ねているのだ。

鹿島アントラーズらしさが出た

鹿島アントラーズ、レオ・セアラ
追加点を挙げた鹿島アントラーズのレオ・セアラ【写真:Getty Images】

「みんながそこにトライしているし、ミスをした時には全員でカバーする意識が生まれている。しっかりチャレンジを続けて、みんなでカバーし合うことを徹底していきたいです」

 一方的に攻め込まれ、シュート数7対2という苦境を余儀なくされた前半45分間でも、攻撃的な姿勢を持ち続けられたのは、1つの前進と言っていいだろう。

 0−0で迎えた後半。風上に立った鹿島は安西幸輝の投入もあって、一気にギアを引き上げた。

 そして後半開始から8分、ボールウォッチャーになった川崎の伊藤達哉の前に三竿が飛び込んでPKをゲット。これを鈴木優磨が冷静に仕留め、待望の先制点を手に入れることに成功する。



 これでメンタル的にも優位に立った鹿島は64分、左に開いた鈴木優磨のクロスをレオ・セアラがファーから飛び込んで蹴り込み、追加点を奪ったのだ。

 このシーンではマークについていた丸山祐市が「クロスは見えていたけど、ちょっと(クリアの)タイミングが合わなかった」と悔しそうに話したが、そういった隙を確実に突いてしまうところも“鹿島らしさ”に他ならない。

 終盤にはアキレス腱断裂で1年間リハビリ生活を強いられていた師岡柊生も復帰するという好材料もあり、鹿島は2−0で勝利。

 10試合終了時点で勝ち点を26に伸ばし、2位・FC東京に再び3ポイント差をつけ、首位固めをしてみせたのである。

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