
浦和レッズでプレーするオナイウ阿道【写真:Getty Images】
浦和レッズが勝てない。PK負けを含め、12日の東京ヴェルディ戦で5連敗。なかなかポジティブな結果をつかめていないが、その中でも奮闘を見せる選手がいる。それが、ストライカーのオナイウ阿道。この日90分を通じて出色のクオリティを見せた30歳のフォワードが、自身の責任を踏まえて攻撃陣の課題を指摘する。(取材・文:河治良幸)[1/2ページ]
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明治安田J1百年構想リーグ・地域ラウンド第10節
浦和レッズ 1-1(PK:1-3)東京ヴェルディ
埼玉スタジアム2002
フル出場でクオリティを示した、浦和レッズの背番号「45」

J1百年構想リーグ第6節・東京ヴェルディ戦でのオナイウ阿道【写真:Getty Images】
東京ヴェルディ戦で90分間ピッチに立ったオナイウ阿道は、数字上こそゴールもアシストもつかなかったものの、試合内容を振り返れば攻撃の軸として大きな存在感を示した。
とりわけ肥田野蓮治の先制点に至る流れでは、前線での競り合い、収める力、周囲を活かすポジショニングが際立ち、チームの狙いを体現するプレーを見せたと言える。
リーグ第6節・国立決戦で1-0の敗戦を喫したリベンジでもあり、ホームで結果を求める浦和にとって重い意味を持つ試合だった。
立ち上がりから浦和は主導権を握り、3分には石原広教のクロスにオナイウが鋭く飛び込んでヘディング。続くコーナーキック(CK)でも再び競り勝ち、いきなりゴールの匂いを漂わせた。
空中戦での強さはこの日を通じて際立っており、相手最終ラインにとって常に警戒対象となっていた。
前半を通じて浦和はボールを保持しながら押し込む時間を長く作ったが、あと一歩で仕留め切れない。そうした中でもオナイウは最前線で起点となり、肥田野やマテウス・サヴィオ、金子拓郎ら2列目の選手が前向きにプレーできる土台を築いていた。
34分の場面では肥田野との連係からボックス内まで侵入し、こぼれ球をサヴィオが狙う形を生み出している。単にゴール前で待つストライカーではなく、周囲を動かしながら攻撃の流れを作る役割を担っていた。
その真価が最も表れたのが、後半開始直後の肥田野の先制点だった。
「ほぼ100%勝つというか、そのくらい信頼しているので…」

先制点をあげた浦和レッズの肥田野蓮治【写真:Getty Images】
ヘディングの応酬からセカンドボールに安居海渡が反応し、さらに前線でオナイウとサヴィオが近い距離を取っていたことで、こぼれ球を素早く回収。そこからサヴィオのラストパス、肥田野のランニング、そしてフィニッシュへとつながった。
この場面について肥田野は、オナイウの存在が自分のランニングを後押ししたと明確に語っている。
「10番の位置にパスができる選手が入るのは、自分にとってはすごい大きい。走りやすい、ランニングしやすいシステムを作ってくれたというか、それで自分は走るだけだったので。
アド君は競り合いはほぼ100%勝つというか、そのくらい信頼しているので、アド君が絶対に収めるなって分かっていたので、自分はすぐランニングの準備をして、いいボールが出てきたので決めるだけでした」
これが4得点目となった大卒ルーキーのコメントは、オナイウのプレー価値を端的に示している。
ボールを持っていない局面でも、味方に「次の動き」を決断させる信頼感がある。肥田野が迷いなく背後へ走れたのは、オナイウが競り合いで優位に立ち、ボールが前向きにこぼれるという確信があったからだ。
記録には残らなくとも、ゴールの土台を作ったプレーだった。オナイウ自身もこの得点シーンをチームの連動が結実したものと捉えている。
「同じポジションの選手としては嬉しいけど…」

より多くのチャンスを作った浦和レッズの選手たち【写真:Getty Images】
「蓮治のゴールは、セカンドボールのところで(安居)海渡がしっかりと反応してくれて、何回かそのボールを弾いてくれたのが大きかったです。
僕とサヴィオが後半の頭は近い距離にいたので、そこでうまくこぼれたボールをサヴィオが拾ってくれて、サヴィオも蓮治の特長を活かしたし、すごい良いパスを出してくれたと思う」
この言葉には、前線の選手として局面を俯瞰し、チーム全体の連動性を重視する視点が表れている。
また前線の相棒である肥田野の得点を喜ぶが、一方で「同じポジションの選手としては嬉しいけど、自分も取らなきゃいけない」と語ったように、ストライカーとしての責任感も強く感じさせた。
試合全体を振り返るコメントでは、その責任意識はさらに鮮明だ。
「個人だけじゃなく、チームとしても2点目を奪えるチャンスがあったのは事実。なので、そこのポジションの選手は自分を含めて責任を持っていかなければいけないし、それが直接、勝ち点につながってくると感じている」
内容面では手応えがあった一方で、勝ち切れなかった現実を厳しく受け止めている。浦和は試合をコントロールしながらも追加点を奪えず、最終的に追いつかれてPK戦で敗れた。