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「譲るつもりはない」鹿島アントラーズ、安西幸輝が2人のライバルと生み出す相乗効果「うまく盗みながら…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 フリーライター photo by Getty Images
鹿島アントラーズ所属DF安西幸輝
鹿島アントラーズでプレーする安西幸輝【写真:Getty Images】



 鹿島アントラーズの安西幸輝がスタメンに帰ってきた。昨年の大怪我から、4月4日の水戸ホーリーホック戦で実戦復帰。鬼木達監督は18日の浦和レッズ戦にて、満を持してスタメン起用。“常勝軍団”の背番号「2」は87分までプレーし、鈴木優磨らと息の合った連係を披露した。スタメンに返り咲くまでの長い日々を支えたのは、ライバルである2人のサイドバックだった。(取材・文:元川悦子)[2/2ページ]
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安西が刺激を受けた存在「僕が出れなかった間は…」

鈴木優磨、溝口修平、キム・テヒョン(鹿島アントラーズ)
前回の浦和レッズ戦後の様子【写真:Getty Images】

 肥田野自身も本来の速さを出し切れず、逆に鹿島の鈴木優磨・安西の2人が押し込む形も増加した。

「幸輝とはお互いに欲しいタイミングが分かっているし、引き付けてパスを出してくれるんで、すごくやりやすい。久しぶりに楽しいなと思いました」と鈴木優磨も笑顔をのぞかせた。

 そういった前向きな機運が81分の濃野公人の決勝点を呼び込んだのかもしれない。

 師岡の右コーナーキックのクリアボールをマテウス・サヴィオが持ち出そうとしたところで濃野が鋭くカット。ペナルティエリア外側から豪快な右足シュートを決め切り、鹿島は虎の子の1点を手に入れた。

 これを守り切って、今季9勝目をマーク。安西自身も長いブランクを乗り越え、スタメン出場した節目のゲームで、待望の白星で飾ることができたのである。



「『10か月かあ』と思いながら、長かったですけど、楽しもうとという気持ちがプレーで表現できたのかなと。(決勝点を取ってくれた)公人には感謝したいです。

 僕が出れなかった間は、溝口(修平)や(小川)諒也が左SBでいいプレーをしていて、すごく刺激になっていました。『彼らが持っているプレーをうまく盗みながら、僕の持っているものを出したい』と考えていたし、今回、85分くらいまでやれたのはよかった。

 ここからポジションを譲るつもりはないですし、切磋琢磨しながらやっていきたいです」

 そう語る安西はライバル2人の存在をいいエネルギーにして、ここまで来たことを明かした。

「他の2人も…」

鹿島アントラーズ、鬼木達監督
戦況を見つめる鹿島アントラーズの鬼木達監督【写真:Getty Images】

 安西の能力の高さが改めて実証され、フル稼働できる状態ということも確認できたのは、鬼木監督にとって朗報以外の何物でもないはずだ。

 2026/27シーズンの明治安田J1リーグとAFCチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)との掛け持ちを視野に入れても意味があること。安西の負傷前は「鹿島の左SBは安西しかいない」という危機感が漂っていたが、複数の選手を回しながら使っていける状態になったのは、先を見据えても非常に大きいのだ。

「ゴールデンウィークの連戦はひざの状態もあって、全部は出れないかもしれないですけど、出番が回ってきたときにしっかりプレーできるようにすることが大事。他の2人も自分のプレーを見て刺激を受けただろうし、もっともっとチームが強くなればいいと思います」



 どんな時も明るく前向きなベテラン左SBの完全復活は鹿島をさらに勢いづけるだろう。

 30代を迎え、新たなステージに突入した安西がこの先、どのような軌跡を歩んでいくのか。その動向を興味深く注視しつつ、鹿島のさらなる快進撃に期待を寄せたいものである。

(取材・文:元川悦子)

【著者プロフィール:元川悦子】
1967年、長野県生まれ。94年からサッカー取材に携わり、ワールドカップは94年アメリカ大会から2022年カタール大会まで8回連続で現地に赴いた。「足で稼ぐ取材」がモットーで、日本代表は練習からコンスタントに追っている。著書に『U-22』(小学館)、『黄金世代』(スキージャーナル)、「いじらない育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(NHK出版)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)などがある。

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【了】
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