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J1 14時間前

「良い意味で太々しくというか」宮本英治はファジアーノ岡山の新たな王になる。背番号41を奮起させた指揮官からの言葉【コラム】

シリーズ:コラム text by 難波拓未 フリーライター photo by Getty Images
ファジアーノ岡山 宮本英治

ファジアーノ岡山の宮本英治【写真:Getty Images】



 ファジアーノ岡山が4戦未勝利という長いトンネルからようやく抜けた。その勝利のカギを握っていたのがボランチの宮本英治。木山隆之監督からは名指しで発破をかけられ、少なからず責任を感じていただろう。普段は飄々としている背番号41だが、試合を重ねる中で意識が変わりつつある。(取材・文:難波拓未)[1/2ページ]

明治安田J1百年構想リーグ・地域ラウンド第12節
ファジアーノ岡山 2-0 アビスパ福岡
JFE晴れの国スタジアム

指揮官が京都サンガF.C.戦後に語っていた課題

ファジアーノ岡山、木山隆之監督

ファジアーノ岡山の木山隆之監督【写真:Getty Images】

 木山隆之監督は、ボランチの出来に満足がいっていなかった。第12節のアビスパ福岡戦が終わるまでは──。

 ファジアーノ岡山は第8節から4試合未勝利が続いた。

 その内訳はPK負けが1試合、90分負けが3試合。大量失点での試合もあり、うまくいかなかった理由は一つだけではないが、攻守において中盤で主導権を握れなかったことも含まれているだろう。

 セカンドボール争いでも、ビルドアップでも、後手に回るシーンが目立った。

 5-1で敗れた第10節の京都サンガF.C.戦では試合後の会見で、指揮官は「紙一重だと思う」と前置きしたうえで、課題を指摘していた。



「今日は宮本(英治)のところで相当(パスが)引っかかりましたよね。でも、あれを引っかからないで前を向けるのか。(球際の)バトルで次のボールを絡め取るのか。そこで勝っている時もあったけど、やっぱり負けた時に相手の決定的なビッグチャンスになる。

 そこは力量の差なのか分からないですけど、僕は(ボールを)受けるプレーを簡単に放棄するべきじゃないと思うので、続けてほしいなと思いながら、それをより勝てるように、より(相手を)外せるようにならなきゃいけないなと思います」

 5試合ぶりの勝利を飾った今節は、ボランチで出場した2選手が攻守で躍動した。

 守備では鋭い出足でセカンドボールを回収し、攻撃では積極的にボールを受け、パスを散らしてリズムを刻む。ポルトガル語で「ハンドル」や「舵取り」を意味するボランチというポジションを体現する働きだった。

 その中でも出色のパフォーマンスを披露したのは、フル出場で両チーム最多の11.737kmを走破したMF宮本英治。自分のプレー選択で、チームの意志を統一させていた。

ボールは宮本英治の支配下にあった

ファジアーノ岡山 宮本英治

ファジアーノ岡山の宮本英治【写真:Getty Images】

 27分、相手陣内でのスローインを起点にFWウェリック・ポポが左サイドを突破し、MF白井康介の先制点が生まれる。

 その直前、ボールは宮本の支配下にあったと言っていい状況だった。

 25分49秒、ピッチ中央でMF山根永遠からボールを引き取ると、背後に抜け出すポポへロングフィードを蹴ろうとする。

 しかし、ギリギリでキャンセルしてMF小倉幸成とパスを交換。そこからDF大森博に預けると、斜めに下がり、左サイドで三角形をつくり、MF江坂任からバックパスを受ける。

 前線へのキラーパスを狙いつつも、ポジショニングを微調整しながら小倉と大森に当てて、リターンパスをもらう。



 左サイドでのパスワークで相手守備を前に誘い出すと、ボールを吸い寄せる勢いで経由地点となっていた背番号41が左足で裏のスペースに蹴り込む。

 このボールは相手DFが触ってタッチラインを割り、先制点に繋がるスローインを獲得した。

 勝利を決定づけた61分の追加点も、ボランチを中心としたパス回しが起点となって生まれたもの。

 最終的にはDF立田悠悟のダイレクトスルーパスに抜け出した白井からのクロスを山根が押し込んだが、8人で繋いだ18本のパスのうち、ボランチの2人のパスは8本だった。

「それが(得点に繋がったのは)たまたまです」

ファジアーノ岡山 山根永遠

追加点を挙げたファジアーノ岡山の山根永遠【写真:Getty Images】

 

 その中でも斜めに下がって、DF田上大地と大森の間に陣取った宮本は、5本のパスで相手守備の視線を自分に集中させることに成功。背番号41の“出して受ける”の繰り返しによって、相手守備ブロックを前後左右に引き延ばし、田上から内側に入り込んだ白井へ縦パスが通り、主体的かつ正確な前進が完成した。

「今までの試合では自分たちで確実にボールを動かす時間帯はつくれなかったので、自分がディフェンスラインまで落ちて、ボールを引き出して時間をつくるイメージで、ゆったりとボールを持つ、落ち着かせるみたいなことは意識してプレーしていました」

「それが(得点に繋がったのは)たまたまです」と謙遜したが、試合で出た課題を解決すべく行った微調整による賜物なのは事実である。



「ディフェンスラインまで落ちる動きをしないと、なかなか自分たち(ボランチ)へのボールが入らなかったので、この2試合はボールを受けられなかったと感じていて。

 ディフェンスラインとしてはプレッシャーのかかった時に預けたところで失うと入れ替わっちゃうし、(そうなるとDFにとっては)すごく怖いというのも分かる。距離感のところで、もう1個近づくとか、セーフティなポジションに落ちて引き出すところでやっていました」

 82分の選手交代でシステムが[3-5-2(5-3-2)]に変更されると、ボールを動かして攻撃を司っていた宮本は、アンカーにポジションを移す。そして、立田と言葉をかわした。

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