明治安田J1百年構想リーグ・EASTで首位を走る鹿島アントラーズ【写真:Getty Images】
鹿島アントラーズは、なぜ再び勝てるチームになったのか。その答えは「揺るがない基準」にある。試合展開に左右されず、リスクを管理しながら勝ち切る――かつての強さを取り戻したチームは、いま首位を快走している。最近の試合で見えた、その“変化の正体”を読み解く。(取材・文:ショーン・キャロル)[1/1ページ]
鹿島アントラーズが再びタイトルを視野に

柏レイソル戦勝利後の鹿島アントラーズ【写真:Getty Images】
チャンピオンチームには、何か特別なものがある。オーラ、もう一段上のギア、試合を自分たちの思い通りに運んでしまう見えない力――。
かつてクラブの代名詞だった基準に届かず苦しんできた数年を経て、鹿島アントラーズは再び自らの優位性を漂わせている。
鬼木達監督率いるチームは昨年、約10年ぶりとなるJ1優勝を果たし、今季も明治安田J1百年構想リーグ・EASTで首位を快走。タイトルを再び視界にとらえている。
24日に行われた柏レイソル戦では、1-0で勝利して勝ち点3を手にしたが、多少の幸運もあった。
たとえば64分、汰木康也が決めた見事なゴールは、その前のプレーでのオフサイドにより取り消された。
しかし全体として、三協フロンテア柏スタジアムでの試合は鹿島が主導権を握っていた。
「自信ですね」と安西幸輝は、チーム復活の要因を問われて語った。
「それが鹿島の強さ。それがなければ今の結果はない」

鹿島アントラーズの濃野公人【写真:Getty Images】
「一人少なくなって押し込まれても、みんな落ち着いてプレーしていて『これなら負けない』という感覚がある。失点する気もしなかったし、相手にチャンスはあったけど、自分たちの経験が生きていると感じます」
前半アディショナルタイム1分に鈴木優磨の決勝ゴールをアシストした濃野公人は、そのうえで鹿島の成功は個々の才能だけでなく、チーム全体の結束によるものだと強調した。
「個の力もあるけど、全員が90分間ハードワークする。それが鹿島の強さ。それがなければ今の結果はない」
一方、柏のキャプテン古賀太陽は、鹿島の現実的かつ試合巧者なスタイルこそが厄介だと語る。
「鹿島も後ろからつなぐ力はあるけど、必要以上にリスクは取らない。僕らはビルドアップで引っかかってカウンターを受けることがあるが、鹿島はそういう場面が少ない。
状況に応じた戦い方の切り替えがうまく、時間の使い方も含めて無駄なリスクを避ける徹底ぶりがある」
実際、チーム全体に粘り強さと自信が行き渡っており、ボール保持時でも非保持時でも、慌てる選手はほとんど見られない。
「だからまたタイトルを取るところから…」

快進撃を続ける鹿島アントラーズ【写真:Getty Images】
守備では植田直通とキム・テヒョンのセンターバックコンビが見事に統率。特に植田は常に適切なポジションを取り相手の攻撃を封じている。
三竿健斗も本来の調子を取り戻し、リーグ屈指の信頼性と万能性を誇る中盤の選手となっている。
攻撃では鈴木優磨とレオ・セアラのコンビは理想的で、得点力だけでなく守備でも献身的に働く点が大きな強みだ。
そしてもちろん、ゴール前には2025年のJリーグ最優秀選手がいる。
早川友基はレイソル戦で今季8度目のクリーンシートを達成し、チームの勝利への強いこだわりを語った。
「まずは先制点を取って、追加点を狙うことにチームとしてフォーカスしている。うまくいかないときでも『引き分けでいい』とは考えず、常に勝ちにいく意識がある。
今日も終盤にチャンスがあり、決めていれば80分で試合を終わらせられた。そういう部分をもっと追求したい」
この発言は他チームにとって脅威だろう。三竿も、昨年の優勝がチームのさらなる野心を引き出したと明かす。
「シーズン前に監督がこの大会をまず取って、その先に26/27シーズンを見据えるという目標を掲げた。だからまたタイトルを取るところからスタートしている。その意識がチームを同じ方向に導いている」
現在の鹿島には明確な推進力があり、その自信に満ちた姿は、今後もしばらく首位を走り続けることを予感させる。
(取材・文:ショーン・キャロル)
著者プロフィール:ショーン・キャロル
1985年イングランド生まれ。2009年に来日。『ニッポンとサッカー 英国人記者の取材録』『英国人から見た日本サッカー “摩訶不思議”ニッポンの蹴球文化』の筆者。「Jリーグ Monthly」のレギュラー出演。高校サッカー、Jリーグ、日本代表など幅広く取材している。過去にはスカパーやNHK、J SportsなどのJリーグ番組出演も。
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