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J1 3時間前

鹿島アントラーズ、師岡柊生が「最悪ですね」と口にした理由。ピッチ内での“違和感”の正体とは「最後の質もちょっと…」【コラム】

鹿島アントラーズの師岡柊生
鹿島アントラーズの師岡柊生【写真:Getty Images】



 4月12日に左アキレス腱断裂の怪我から復帰し、29日に行われた東京ヴェルディ戦で先発出場を果たした師岡柊生。復帰後初スタメン起用を受けるも、明治安田J1百年構想リーグ初黒星を喫してしまう。約1年ぶりにスタートから出場した背番号19が、敗戦後の取材エリアで語ったこととは。(取材・文:藤江直人)[1/2ページ]

明治安田J1百年構想リーグ・地域ラウンド第13節
東京ヴェルディ 2-1 鹿島アントラーズ
味の素スタジアム

約1年ぶりに先発出場した師岡柊生が口にした想い「最悪ですね」

鹿島アントラーズの師岡柊生と濃野公人
鹿島アントラーズの師岡柊生と濃野公人【写真:Getty Images】

 ちょっぴり浮かない表情を浮かべていた。口調もどことなく歯切れが悪い。

 敵地・味の素スタジアムへ乗り込んだ、4月29日のJ1百年構想リーグ地域リーグラウンドEASTグループ第13節。東京ヴェルディに1-2と逆転負けを喫した直後の光景に悔しさが凝縮されていた。

 取材エリアに姿を現した鹿島アントラーズの師岡柊生(もろおか・しゅう)は、自らのパフォーマンスを問われた質問に対して開口一番、二文字の単語を介して胸中を駆け巡っていた思いを表した。

「最悪ですね」

 何をもって最悪だったのか。25歳のアタッカーは次のような言葉を紡いでいる。

「久しぶりに自分が先発で出て、勝てなかったのがやはり一番悔しいです」

 EASTグループの首位に立つ百年構想リーグで3敗目、90分間では初めての黒星を喫したヴェルディ戦。師岡は出場4試合目にして初めて先発を任され、ピッチ上でキックオフを告げる主審の笛を聞いた。



 公式戦で先発を果たすのは、昨年4月20日のファジアーノ岡山とのJ1リーグ第11節以来だった。

 その試合で左アキレス腱断裂の重傷を負った師岡は、手術と懸命なリハビリを乗り越えて4月12日の川崎フロンターレ戦で復帰。

 1分だったプレータイムを、同18日の浦和レッズ戦で26分、前節の柏レイソル戦では23分と伸ばしていたなかで、柏戦から中4日のヴェルディ戦で待望の瞬間を迎えた。

 鬼木達監督から任されたポジションは右SH。開始早々の4分には右タッチライン際で、DF井上竜太と激しい攻防を繰り広げる。

 身長186cm・体重85kgの巨漢・井上に対して、師岡のサイズはひと回り小さい174cm・69kg。それでもデュエルで一歩も譲らず、最終的には井上のファウルを誘った。

「練習からあのようにバチバチやっているので、怖さとかはまったくなかったですね」

 攻防を振り返った師岡は、違和感を覚えていた。それは鹿島全体に共通するものでもあった。

不穏な空気の中もぎ取った先制点

得点を決めた濃野公人
得点を決めた濃野公人【写真:Getty Images】

「ちょっと試合への入りが悪いな、というのは感じていました。そのなかで先制点を取れたのは大きかったし、そこから修正できたらよかったですけど、相手の勢いに飲まれてしまった感じです」

 やや劣勢で迎えた19分にもぎ取った、先制点のきっかけを作ったのは師岡の左足だった。

 自陣左サイドからボランチ三竿健斗がサイドチェンジのパスを放つ。

 これに反応した右サイドバック濃野公人が、マークについた吉田泰授をトラップで置き去りする絶妙のプレーで敵陣中央へ切れ込んでいく。

 そしてペナルティーエリアが近づいてきたところで、内側から外側へスプリントしていった師岡へパス。背番号19はボールに追いついた直後に右足で巧みに切り返し、マークについてきた吉田と対峙した。



 細かいフェイントからボールを少し下げた師岡は、そのまま左足のインスイングでクロスを放った。

「左足はまったく問題ないです。あの場所にいてくれる、というのは練習からよくやっていた形なのでそこに出しました。(鈴木)優磨くんはヘディングも強いので、折り返してくれる、と」

 緩やかな弧を描くクロスをファーへ送った師岡の意図に、鈴木優磨もあうんの呼吸で応える。

「相手が人数をかけて守ってくるのはわかっていたので、内側に(みんなが)ポジションを取れば大外が空く、とスカウティングをしていた。それが鹿島の得意な部分でもあるので、そこまではよかったです」

 フリーとなっていた鈴木が頭でボールを折り返す。ヴェルディのDF鈴木海音、鹿島のFWレオ・セアラに当たったこぼれ球を、ゴール前まで詰めていた濃野がDF林尚輝に競り勝ってゴールに押し込んだ。

 しかし、鹿島の攻守のリズムはなかなか修正されない。むしろどんどん悪くなっていった。

わずか6分間で2失点した常勝軍団

得点直後の東京ヴェルディ
得点直後の東京ヴェルディ【写真:Getty Images】

 左SB安西幸輝が中央へ持ち出したドリブルが大きくなった34分。こぼれ球に右足をワンタッチさせた熊取谷一星のロングシュートは、前へ出ていた早川友基の頭上を越える同点弾となった。

 わずか6分後の40分には、森田晃樹と松橋優安のコンビで右サイドを突破。松橋が送ったクロスに、ファーサイドへ詰めていた吉田のダイビングヘッドで怒濤の逆転に成功。そのまま逃げ切った。

 後半開始から左サイドハーフでプレー。60分には荒木遼太郎との交代でベンチへ下がった師岡は、公式記録上で鹿島が放ったシュートが6本、自身が放ったそれは0本に終わった攻撃をこう振り返った。

「今日はチームとしてシュートも打てていなかったし、全体的に見てそこ(シュート)までいく最後の質もちょっと悪かったので、そこは修正していかないといけないところだというのは感じていました」

 そのなかで前半は鹿島が得意とする形から、ゴールを狙っていく上での大役も担っていた。



「キッカーがいなかったので、しょうがないかな、と。自分から、というわけではなく、練習の段階から普通に『任せたぞ』と言われたので、僕も『わかりました』と答えた感じでした」

 師岡が任されたのはコーナーキック(CK)のキッカー。開始5分に獲得した右CKこそFWエウベルが蹴ったが、15分と17分に立て続けに獲得した右CKはともに師岡の右足から放たれた。

 浦和との第11節の81分にも、途中出場していた師岡は右CKのキッカーを務めている。

 このときはミスキック気味で相手にクリアされた流れから、濃野が均衡を破る先制ゴールを決めて勝利している。

 出場していればキッカーを担う柴崎岳がすでにベンチへ下がり、樋口雄太もリザーブのままだった浦和戦ではぶっつけ本番でキッカーを担った。ヴェルディ戦でも柴崎と樋口はともにベンチスタートだった。

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