
鹿島アントラーズでプレーする松村優太【写真:Getty Images】
鹿島アントラーズが首位を奪還した。水戸ホーリーホックに敗北を喫したあと、暫定的にFC東京へトップの座を明け渡したが、“常勝軍団”は2日足らずで自分たちのポジションを取り戻した。PK戦の末にFC町田ゼルビアとの接戦のあと、松村優太は自身の役割と責任感を熱く語った。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ]
明治安田J1百年構想リーグ・地域リーグラウンド第14節
鹿島アントラーズ 1-1(PK:4-2) FC町田ゼルビア
メルカリスタジアム
“ミスマッチ”に立ち向かった松村優太

FC町田ゼルビアの選手たち【写真:Getty Images】
4月9日の東京ヴェルディ戦で1-3の逆転負けを喫し、明治安田J1百年構想リーグ・EASTスタート後、鹿島アントラーズは90分で初めて黒星を付けた。
これまで2月7日の開幕・FC東京戦と4月4日の水戸ホーリーホック戦でPK負けというのはあったが、勝ち点3を相手に献上したのは今季初のことだった。
しかも、5月2日の多摩川クラシコで2位・FC東京が川崎フロンターレ相手に快勝。14試合終了時点で勝ち点を32に伸ばし、暫定首位に浮上した。
1日遅れでFC町田ゼルビアをホーム・メルカリスタジアムに迎える鹿島としては、絶対に連敗を阻止し、トップの座を奪還しなければならなかった。
鬼木達監督は前節退場で出場停止となった三竿健斗を含むスタメン4枚替えを実施。攻撃陣は松村優太と鈴木優磨の両サイド、レオ・セアラとチャヴリッチの2トップという形にして、活性化を図ろうと試みた。
松村が右FWで先発するのは、4月18日の浦和レッズ戦以来。今回は相手が3−4−2−1システムということで、どうしてもミスマッチが起きる。
基本的には左ウイングバック(WB)の林幸多郎を見なければならないが、シャドウのナ・サンホとエリキのところもマークして、右サイドバック(SB)濃野公人をフォローする必要がある。
普段以上に守備意識を高く持って、背番号27はゲームに突入したはずだ。
「僕が戻らないと危ないシーンがいくつかあった」

FC町田ゼルビア戦で躍動する松村優太【写真:Getty Images】
開始早々の2分。町田のエリキが右サイドに大きく開き、折り返しを入れた。これにテテ・イェンギが反応。シュートしたところに林が詰めてきた。
この瞬間、松村は危機を瞬時に察知し、長い距離を走ってボールを押し込もうとする林をブロック。いきなりビッグプレーを見せたのだ。
背番号27の貢献はこれだけではなかった。
6分には町田の右WB中村帆高が強引に右サイドを突破。クロスを早川友基が右手で弾いたところにエリキが飛び込もうとしたが、また松村が猛然と戻って来てクリア。チームを救った。
そして32分にも、同じように右からエリキがクロスを入れ、ゴール前に一目散に飛び込んできたナ・サンホのシュートを未然に防ぐべく、松村がセーブ。この3度の決定的ピンチの阻止は、内容的に苦しんだ前半の鹿島に勇気を与えたに違いない。
松村本人も一連のプレーについて手応えを口にする。
「今日に関しては、昌子(源)選手の対角(のパス)だったり、ショートカウンターだったり、僕が戻らないと危ないシーンがいくつかあった。そういう場面を防ぐのはチームの中で最低限やるべきこと。
最初の林選手、その後のエリキ選手を含めて3本戻ったところは、確かに失点に直結するところだったので、阻止できたのは評価できるかなと思います」
しかしながら、前半の鹿島は無得点。シュート3本というのは町田の5本を下回っており、内容的にも押されがちだった。
レオ・セアラと鈴木優磨にボールが収まらなかったのも大きな要因だったが、得点への迫力を出しきれなかったのも事実。そこは松村も反省しきりだった。
「もう1個上の判断や反応ができるという自負があるのに…」

昨シーズンもチームに大きく貢献した松村優太【写真:Noriko NAGANO】
「僕も(左肩の脱臼で)久々に離脱を4か月くらいして、3月中旬に復帰して1か月くらいやってきましたけど、肩の問題とは5年くらい付き合ってきた中でバランスもヘンだったと思いますし、治った今もちゃんと使えてないのかなと感じます。
そういうのもあって、今シーズンを通してもう1つ、ギアが上がらなかったり、ドリブルのキレが出せなかったりというのが自分の中にある。僕は攻撃の選手ですし、攻撃で違いを見せないといけないのに、まだそこが出せていない。もう1個上の判断や反応ができるという自負があるのに、なかなかそれが出せないもどかしさはありますね」
そう言って、本人は負傷の影響が少なからずあることを明かす。
それでも、この百年構想リーグでは、ケガからの復帰後、コンスタントに出番を与えられている。
だからこそ、もっと得点・アシストという目に見える結果にこだわり、チームを勝たせられる選手にならなければいけない。それは松村自身も強く自覚しているはずだ。
その意識の一端が出たのが、50分に濃野公人からパスを受け、右サイドでドリブルを見せ、中にボールを入れようとして、決定的なCKを得たのである。
次の瞬間、柴崎岳が右CKを蹴り、鈴木優磨がファーで折り返したボールを昌子がヘッドでクリア。浮き球に反応した柴崎が頭で中に入れ、レオ・セアラのヘッド弾が飛び出した。