
浦和レッズでプレーする渡邊凌磨【写真:Getty Images】
田中達也が暫定監督として指揮を執る浦和レッズ。前任者のマチェイ・スコルジャが築いた堅守から、ボール保持によって相手ゴールに迫るスタイルにシフトしている。チームは6試合中4勝と勢いに乗っていたが、22日のFC町田ゼルビア戦では課題も見えた。キャプテンの渡邊凌磨は、現状をどう見ているのか。(取材・文:河治良幸)[2/2ページ]
「そういうことを忘れちゃダメ」

浦和レッズ前指揮官のマチェイ・スコルジャ【写真:Getty Images】
「充実感というよりも、そこまでポゼッションを重視しているわけでもなくて、つなげられるからつなごうねっていう話なので、もうちょい前に蹴る場面も、ちゃんと味方を狙って蹴れるシーンとかもあったと思う」
興味深いのは、“ポゼッションサッカー”との距離感だ。浦和は確かに保持型へ変化している。ただ、それはボールを持つこと自体が目的ではない。
渡邊は「蹴るのか、蹴らないのかがはっきりしていなくて、ラインが押し上がらず、セカンドボールを拾えない、みたいな。そういう悪循環にならないように意思統一はしたい」と続けた。
本当に必要なのは“保持かロングボールか”という二択ではない。その状況で最もゴールに近づける選択を全員で共有することだ。渡邊は「これは僕の個人的な意見ですけど」と前置きして、こう続けた。
「マチェイさん(マチェイ・スコルジャ前監督)のやり方の上に、今のポゼッションサッカーが成り立っていると思っていて。
切り替えのスピードだったりとか、守備の意識だったりとか、それらがあって”ボールを持ったら楽だよね”というのが、僕の中ではイコールだと思うから。ボールを持ちに行くだけのチームにならないように一番気をつけたい。
どうやったら最も速くゴールを取れるのって言ったら、GKから前にボーンって蹴って、FWが収めて点を取るのが一番なので。そういうのも忘れないように背後も狙うし、つなげるところはつなごう。そういうことを忘れちゃダメだなって個人的には思っています」
前体制で培った守備強度や切り替えをベースにしながら、ボール保持を積み上げる。その両立こそ、渡邊が大事にしている部分だろう。
町田戦は、保持の形そのものが機能しなかったわけではない。4枚回しも攻撃の構造としては理解できる。しかし、その先で相手をどう動かし、どう仕留めるのか。そのダイナミズムが足りなかった。
それは単なる戦術論ではなく、“ゴールへ向かう意識”の問題でもある。浦和が次の段階へ進むためには、保持を深めるだけでは足りない。保持の先にある“怖さ”を、どれだけ出せるか。
町田戦は、その課題を突き付けた90分だった。
(取材・文:河治良幸)
【著者プロフィール:河治良幸】
東京都出身。サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で日本代表を担当し、プレー分析を軸にグローバルな視点でサッカーの潮流を見続ける。セガ『WCFF』の選手プロフィールを担当。著書に『勝負のスイッチ』『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』『サッカー番狂わせ完全読本ジャイアントキリングはキセキじゃない』がある。X:@y_kawaji
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