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J1 2時間前

ボール保持だけでは町田は困らない。浦和レッズに本当に必要だったこととは。渡邊凌磨の視点「僕の個人的な意見は…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 河治良幸 フリーライター photo by Getty Images, Noriko NAGANO
渡邊凌磨 浦和レッズ
浦和レッズでプレーする渡邊凌磨【写真:Getty Images】



 田中達也が暫定監督として指揮を執る浦和レッズ。前任者のマチェイ・スコルジャが築いた堅守から、ボール保持によって相手ゴールに迫るスタイルにシフトしている。チームは6試合中4勝と勢いに乗っていたが、22日のFC町田ゼルビア戦では課題も見えた。キャプテンの渡邊凌磨は、現状をどう見ているのか。(取材・文:河治良幸)[1/2ページ]

明治安田J1百年構想リーグ・地域リーグラウンドEAST第18節
FC町田ゼルビア 1-0 浦和レッズ
国立競技場

田中達也監督は何を変えたのか?

浦和レッズ、田中達也監督
浦和レッズの指揮を執る田中達也監督【写真:Getty Images】


 田中達也監督が就任してから6試合目。前節はFC東京にPK戦で敗れて4連勝でストップしたが、続く3位のFC町田ゼルビアには1-0で敗戦を喫した。

 田中体制で初めての90分負けとなった試合は、チームの現在地とともに“ボール保持”の意味を考えさせられるゲームとなった。

 試合を通して浦和は60%前後のボール保持率を維持したが、早い時間にリードを奪った町田の堅実な守備を最後まで崩しきれなかった。

 得点には至らなかったが、FW小森飛絢のファーストシュートやGK谷晃生の好セーブに阻まれた長沼洋一のヘッドなど、その中でピンポイントにここを決めていればというシーンは確かにあった。

 勝負という意味ではジャッジに嫌われた側面もあるが、試合を通してボールを持っているだけでは勝てないという当たり前の現実を突きつけられた1-0敗戦だった。

 田中体制となってからの浦和レッズは、ボール保持を軸にしたスタイルへと変化している。

 守備時は4バックだが、攻撃時には左サイドバックの長沼洋一がウイングのような高い位置を取り、右サイドバックの石原広教が最終ラインに残る3-2-5を形成。状況に応じてボランチが落ちれば、右の石原も前に出て金子拓郎と絡むなど、流動性を持ちながら前進してきた。

「うまくいった部分のほうが多かったですけど…」

FC町田ゼルビア、昌子源
FC町田ゼルビア戦の模様【写真:Noriko NAGANO】


 町田戦では少し違う形になった。町田が前の3枚でプレッシャーをかけてくる中で、長沼を前に上げた状況で、ボランチの渡邊凌磨がセンターバック根本健太の左脇に落ち、後方が4枚になるビルドアップが中心となった。

 その分、中盤ではサミュエル・グスタフソンが1人で広いスペースを管理するような構図になり、前線の5人が相手にロックされやすい。ボールは持てる。

 しかし、そこから先の“ダイナミズム”が出ない。町田の守備を揺さぶり切れないまま時間が過ぎていった。

 キャプテンの渡邊も、その構造は事前に想定していたと明かす。

「4枚になるのは決まっていたことなので、やろうね、という話でした。そうなるだろうというところは、うまくいった部分のほうが多かったですけど、その後どうするのかという部分は考えないといけないです」

 4枚回し自体は狙い通りだった。しかし問題は、その先だった。

 浦和は後方で数的優位を作りながら前進しようとしたが、前線の立ち位置が固定されることで、町田の守備ブロックに変化を与え切れなかった。渡邊も具体的に課題を口にする。

「今日に関しては、左サイドから攻めているときに、逆のシャドーのポジションの選手がトップ下の位置まで入ってこようというやり方をしていて。だけど、逆サイドにボールが行ったときにサイドバックとウィングの2枚しかいなくて、ちょっと手薄になり、なかなか攻めきれなかった部分もあります」

 中央を厚くする意図はあった。

渡邊凌磨が語る「今の課題」

浦和レッズMF渡邊凌磨
プレーで気を吐く渡邊凌磨【写真:Getty Images】


 しかし、その副作用として逆サイドの人数が不足し、展開したあとに攻撃を加速できない。町田の守備を動かしながら崩すところまで至らなかった。

 田中監督も試合後、「堅い守りに対して、よりコンビネーションだったり、グループだったり、個人っていうのは次の試合に向けて課題かなと思います」と語っていたが、まさにその部分が浮き彫りになった試合だった。

 これが0-0なら焦れずにやり続けながら相手の隙を狙えるが、この日は早い時間に失点している。だからこそ、浦和の課題が浮き彫りになったとも言える。

 田中監督は、保持率を高める目的の1つとして「相手の攻撃時間や攻撃回数を減らす」狙いも強調してきた。ただ、町田に先制されたことで、相手は無理に前へ出てこなくなった。

 浦和がボールを持つ展開は続いたが、それだけでは町田は困らない。だからこそ必要だったのが、もっとゴールへ矢印を向けたプレーだった。渡邊はより具体的に問題点を指摘する。

「今の課題というか、もう少しやっていかなきゃいけない部分でいうと、いいライン間で受けたときのスピードアップだったりとか、ゴールに向かうランニング、クロスに何枚かけるのか、そういうところも逆算してやっていければなとは思います」

 保持そのものではなく、保持からどう加速するか。どこで縦に行くのか。何人がゴール前へ入るのか。町田戦では、その設計と連動性が足りなかった。

 無論、渡邊も今のスタイルそのものを否定しているわけではない。

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