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J1 6時間前

「左WGは本当に難しい」清水エスパルス、松崎快が明かす苦戦。本職外で得た“新たな感覚”とは【コラム】

シリーズ:コラム text by 榊原拓海 photo by Getty Images
松崎快 清水エスパルス
清水エスパルスでプレーする松崎快【写真:Getty Images】



「左WGは本当に難しい」。そう語りながらも、清水エスパルスの松崎快は本職と異なるポジションで4試合を戦い抜いた。自らの特徴と求められる役割の”ギャップ”に苦しみながら積み重ねた経験は、彼の中に確かな変化をもたらしつつある。 明治安田J1百年構想リーグの最終順位が決まる次の一戦で、その葛藤はどのように結実するのか。(取材・文:榊原拓海)[1/2ページ]

明治安田J1百年構想リーグ・プレーオフラウンド第1戦
清水エスパルス 1-1 横浜F・マリノス
IAIスタジアム日本平

チームトラブルに見舞われていた清水エスパルス

清水エスパルス対横浜F・マリノス
清水エスパルス対横浜F・マリノスの模様【写真:Getty Images】


「左ウイング(WG)は本当に難しいんですよね」

 これは、直近の松崎快が繰り返し口にする言葉だ。事実として、松崎はケガからの復帰戦となった明治安田J1百年構想リーグ地域リーグラウンドWEST第16節・アビスパ福岡戦で、56分より左WGに入ると、その後は3試合連続で同ポジションの先発に名を連ねている。

 しかしながら、自らのプレーに対して、ポジティブな感触を得られていない。

 彼は東洋大学時代にトップ下を務めた経験こそあれど、プロ入り後は、ずっと右サイドを主戦場としてきた。

 今季、チームが吉田孝行監督を迎え入れると、鹿児島キャンプでは左インサイドハーフ(IH)で新境地を開拓。シーズンが開幕すると、左IHだけでなく、これまでの本職だった右WGでプレーする機会もあった。

 松崎は第8節のサンフレッチェ広島戦で負傷し、2カ月弱にわたって戦線を離れることになるが、その期間で、チームの状況に変化が生まれる。

 左WGの主力だったカピシャーバ、そして同ポジションで起用される見込みだった井上健太がケガに見舞われ、層が薄い状況が生まれていた。

 こうした背景もあり、吉田監督は松崎を左WGに配置する決断を下す。

「今の方が自分の状態が良いですし…」

吉田孝行監督 清水エスパルス
清水エスパルスを率いる吉田孝行監督【写真:Getty Images】


 鹿児島キャンプ中の練習や練習試合で、左WGとしてプレーする時間が0だったわけではないが、公式戦で起用された経験はない。

 それでも、吉田監督は「快は前を向いて仕掛けられる選手」との期待を込めて、先の福岡戦で松崎を左WGとして送り出した。

 明確な結果の部分では、75分にオ・セフンが奪った同点ゴールをアシストしており、インパクトを残したと言える。

 試合後、吉田監督も「確かに本職ではないかもしれませんが、左WGだとオープンな状態でボールを持てますし、全体を見ながら彼の良さを出してくれました」と、松崎のパフォーマンスを評価していた。

 松崎自身はアシストを記録した福岡戦の後、「ケガをする前よりも、今の方が自分の状態が良いですし、頭もスッキリしています」と口にしており、滑り出しは悪くなかった。

 だが、左WGでの起用が続くにつれて、彼の中に迷いが生じはじめる。

 このチームの左WGには、構造上、単騎で前にゴリゴリと仕掛けて行けるタイプが求められている。背後への姿勢を貫き、ランニングでそこを突いていく。これらは、左WGのレギュラーとして活躍するカピシャーバが得意とするプレーだ。

 一方で、同じ順足の左WGとはいえど、松崎はそうしたタイプの選手ではない。

「手ごたえはそんなにありませんよ」

清水エスパルス 松崎快
リンクマンとして躍動する松崎快【写真:Getty Images】



 
 彼は周囲の選手とリンクしながら、自らが「僕のプレーの生命線」だと語るターンを交え、チーム全体に推進力を与えながらチャンスメイクができるプレイヤーだ。

「自分は大外に張り続けて良さが出るタイプではない」と自己分析しているが、カピシャーバとまったく同じ役割が担えるわけではないことは、他の誰でもない自らが理解している。

 何よりも、彼は監督の求める役割を忠実に遂行しようとする選手だ。だからこそ、このチームの左WGとして求められる理想像と、自らの特徴の“ギャップ”に、苦しんでいるように映った。

 そんな中で迎えた横浜F・マリノス戦、松崎は左WGとして悪くないプレーの数々を見せた。本人が試合後に「手ごたえはそんなにありませんよ」と首を傾げたように、決して完璧ではなかったのかもしれない。

 これまでも、彼は自分自身が“できること”は見せていた。だが、横浜FM戦では、ある意味で割り切ってプレーし、チームとしてこのポジションに求められている働きを最低限遂行しながら、自らの特徴を上乗せできているように見えた。

 具体的にはマリノスが4バックで守る関係もあって、相手の最終ラインを広げるべく、大外のスタートポジションは遵守する。その上で、内側に絞ってチャンスメイクする場面や、仕上げの局面に顔を出すプレーが多かった。

 一例を挙げるならば、後半開始早々48分のプレー。右サイド深い位置に潜り込んだ弓場将輝からのクロスボールに、ダイレクトで合わせたシーンだ。

「少し早めに入りすぎて、ボールが見えなくなってしまった」とは松崎の言葉で、確かに仕留めきれればパーフェクトではあった。だが、右で崩して、左の松崎が最後の局面に顔を出したのは、このシーンだけではない。

 もっとも、本人はチームの狙いによる側面があったと指摘する。

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