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コラム 4時間前

日本代表、カタールの反省から生まれた最強分析部隊とは。欧州王者の頭脳と27歳アナリストが挑むW杯【北中米W杯コラム後編】

サッカー日本代表、若林大智
サッカー日本代表スタッフの若林大智氏【写真:藤江直人】



 カタール大会で痛感した「反省」が、森保ジャパンの分析体制を大きく変えた。欧州王者セビージャで経験を積んだ若林大智氏、セットプレー分析を担う27歳の渡邉秀朗氏らが加わり、日本代表のテクニカルスタッフは4人体制へと拡充された。対戦国の文化や監督の思考、PK戦の傾向まで徹底的に掘り下げる彼らは、ワールドカップの舞台で何を見ているのか。ピッチ外で戦う“もう一つの日本代表”の実像に迫る。(取材・文:藤江直人)[1/2ページ]

カタール大会の「反省」が出発点

2022年カタール大会、サッカー日本代表
カタール大会を戦ったサッカー日本代表【写真:Getty Images】


 ドイツ、スペイン両代表を撃破し、世界を驚かせた前回カタール大会。しかし、森保ジャパンのテクニカルスタッフにとって、その記憶は成功体験だけではない。

 当時から分析チームを率いる寺門大輔氏は、いまも強く心に残る「反省」があったと振り返る。

「目の前の一戦一戦に最大限のパワーを結集させて、ひとつでも多くの山を登っていこうと準備していきました。常に100%以上のパワーを出す作業が繰り返されたなかで、当然ながら消耗もしました」

 日本はベスト8進出を懸けたクロアチア代表とのラウンド16でPK戦の末に敗退。その悔しさとともに、寺門氏の胸には別の思いも芽生えていた。

「決勝まで太くて濃い矢印をちゃんと引けていたのかどうか、という反省がありました」

 当時のテクニカルスタッフは寺門氏と中下征樹氏の2人体制。試合を重ねるごとに負担は増し、組織の限界も見えてきた。

 だからこそ、FIFAワールドカップ2026(W杯北中米大会)へ向けて分析体制の強化は不可欠だった。

セビージャで欧州制覇を経験した男

セビージャFC
UEFAヨーロッパリーグを制したセビージャ【写真:Getty Images】


 その補強策として白羽の矢が立ったのが、ラ・リーガの名門セビージャでアナリストを務めていた若林大智氏だった。

 2023年に日本代表へ加わった若林氏は、UEFAヨーロッパリーグを制したセビージャの分析部門で実績を積んできた。2019/20シーズン、2022/23シーズンと2度の欧州制覇を経験している。

 現在43歳。東京農業大学出身だが、学生時代に競技者として大きな実績を残したわけではない。

「自分はプロ選手の経験がありません。そうした人間でも講習会をへてライセンスを取得できるのがスペインとオランダで、たまたま試合を見る機会が多く、好きになっていたセビージャへいこう、と」

 スペインで指導者ライセンスを取得し、街クラブの監督としてキャリアをスタート。そこから下部組織のアナリストを経て、2019年にはトップチームへ昇格した。

 海外で結果を残しながらも、日本代表への思いは消えなかった。

「本当にシンプルに、自分の思いとして『代表で仕事がしたいです』と伝えました」

 2023年夏、山本昌邦ナショナルチームダイレクターと森保一監督にその熱意を直接ぶつけた若林氏は、ほどなくして念願のオファーを受けることになる。

「見てきた景色が違う」

サッカー日本代表、若林大智
サッカー日本代表スタッフの若林大智氏【写真:藤江直人】


 スペインのトップレベルを知る若林氏の存在は、日本代表の分析チームに新たな視点をもたらした。

 寺門氏は厚い信頼を寄せる。

「若林は対戦国がどこであっても決して見上げずに、フラットな目線でしっかりと分析します。僕たちが気づかなかったところを見ているというか、僕たちがもちあわせていない観点があります」

 異なる文化や環境で培った経験は、分析の幅と質を大きく押し上げている。

 一方で若林氏も、日本代表ならではの分析スタイルに驚きを感じていた。

「対戦国の文化なども見ている点は、日本人らしいかなと思っています。結局はそれがサッカーにつながっていく。他国の分析方法は知りませんけど、ここまでやっている国はないんじゃないか、と」

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