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日本代表は「引き分けで喜んでいいのか」現役Jリーグ監督があえて厳しく評価する理由。「オランダはW杯を…」【独占取材】

シリーズ:北中米W杯コラム text by 高橋大地 photo by Getty Images,Shinya Tanaka

北中米W杯 1次リーグ オランダ戦に臨むサッカー日本代表

日本代表はオランダ代表に2度のリードを許しながらも2度追いついてみせた【写真:Getty Images】


 FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)で、日本代表は初戦のオランダ代表戦を2-2で引き分けた。勝ち点1を得た一方で、シュタルフ悠紀監督は「もっといい結果も取れた」と指摘する。日本はなぜ受け身の戦いを選んだのか。2失点に見えた課題とは何か。そして、次戦のチュニジア代表戦で求められる戦い方とは。現役監督の視点から、オランダ戦の評価と第2戦のポイントを聞いた。[1/3ページ]

「少しがっかりしたところはある」理由

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北中米W杯 1次リーグ オランダ代表戦 サッカー日本代表 前田大然

左シャドーで先発した前田大然【写真:Getty Images】


――まず、オランダ戦を率直にどう見ましたか。

シュタルフ:まず誰が左のシャドーに入るのかがポイントでした。そこに前田大然が入っていたので、(守備時は)前田を上げてセンターバックにぶつけて、そこからプレッシングのスイッチを入れていくのかなと思ったんですけど、実際は強豪と試合をする時のいつもの戦い方でした。

 ミドルからローにブロックを引いて、上田綺世が中央を消しながら、ブロックの中で引っ掛けて取って、カウンターに出ていく。過去によく見てきた戦い方を選んでいたので、個人的には少しがっかりしたところはありますね。

 前回の記事でも述べたように、ブラジル戦の前半のような戦い方であれば勝てないと思うし、後半のような戦い方であれば、昨日のオランダなら勝てたと思います。

 今の日本代表の力を持ってすれば、もっといい結果も取れたんじゃないかなというのが率直な意見です。

 もちろん、2回リードを奪われているところから考えれば、最後に負けずに引き分けで勝ち点1を拾えたのは収穫です。今回は3位でも通過できるし、結果だけを見れば悪くない勝ち点1だったとは思います。

引き分けで喜んでいいのか

日本代表

試合終盤に劇的ゴールをあげ、歓喜に沸く日本代表イレブン【写真:Getty Images】


――選手たちの試合後のリアクションを見ると最低限の結果は得られたということでしょうか。

シュタルフ:今大会は、優勝を目標に掲げていますよね。試合終了のホイッスルが鳴った時にガッツポーズをしている選手を見ると、チームとして引き分けを最低限の成果として受け止めていたようにも見えました。そういうところは、今後変わっていかないといけない部分だと思います。

 僕は半分ドイツ人なので、ドイツ的な視点も持ち合わせていますけど、その視点で言えば、オランダはユニフォームに星が1つもついていないチームなんです。

 だから、オランダに勝たないと優勝はできないわけです。ワールドカップ優勝国の中にオランダはない。優勝したいなら、そこには勝っていかないといけない。その相手に引き分けで喜んでいいのかというところは、日本代表が掲げている目標から逆算すると物足りない。

 日本はもう、そういうステージにはいないんじゃないかなと思いますし、そういうステージにマインドも含めて変えていかないといけない。スポーツには、根拠のない自信みたいなものも必要です。国民だったり、次の世代に、「日本はオランダには負けないでしょ」みたいな感覚が出てこないといけない。

 メディアも含めて、「オランダから勝ち点1を取ったぞ」ではなくて、「オランダに勝ち切れなかった」という世界観になっていかないと、ワールドカップ優勝はまだ先なのかなと感じました。

――優勝を目標に掲げるチームとしては、満足できない試合だったと。

シュタルフ:外から見る分には、満足していいと思うんです。素直にオランダ相手に追いつけたことを喜んで。ただ、私を含めた日本のサッカー界に携わっている内部の人間はそうであってはいけない。優勝を目指すうえで、勝ちきれなかった悔しさをさらなる成長につなげていかなくてはいけません。

 自分たちの時間を作れているときは、可能性のある攻撃ができていたし、守備でもボールを奪えていました。前に出ていけば奪う力もあるし、敵陣でボールを保持していればチャンスにつなげる、少なくともボックスにエントリーする力はある。

 これは偶然の引き分けではなくて、必然というか、それだけ日本の力は上がっていて、世界からも怖がられている立場だと思います。そういう意味では、自陣に引きこもって、なんとかしのぎながら引き分け以上を狙っていく戦い方は、オランダからしても勝てなかったけど、結果的にはラッキーだったんじゃないかなと思います。

日本は「行けなかった」のではなく「行かなかった」

北中米W杯 1次リーグ オランダ代表でプレーするサッカー日本代表 堂安律

サッカー日本代表の堂安律【写真:田中伸弥】


――日本が受け身になった理由はどこにあったのでしょうか。

シュタルフ:自分たちの選択じゃないでしょうか。行けなかったというより、行かなかった。

 低い位置で引っ掛けてカウンターを狙う、まずはやられないこと、失点をしない。そして勝ち点1を最低限持ち帰る。引き分け以上の結果にコミットした戦い方だったんじゃないかなと思います。

――戦術的な選択だったと。

シュタルフ:僕にはそう見えました。見ている感覚としては、強度はそれほど高くなかったんじゃないかなと思います。気温もそんなに暑くなさそうでしたし、走ろうと思えばまだまだ走れる選手たちだと思います。

――前半はお互いに決定機の少ない展開でした。試合の流れはどう見ていましたか。

シュタルフ:お互いにそうでしたね。そういう試合だったのかな、とは思いますが、明らかにオランダのほうが優勢に進めているようには見えました。

 ヨーロッパのチームは、90分通してハイプレスをかけ続けるような選択をするチームは少ないと思います。国にもよりますけど、基本的にはテンポを大事にする。テンポをコントロールする、上げる時は上げる、落とす時は落とす。ポゼッションとミドルプレスのゾーンでバランスを取るのが、基本的にはヨーロッパの戦い方だと思います。南米もそうですよね。

 でも、それに対して日本はハイテンシティを貫けるものを持っている。それが日本のスタイルになっていってほしいし、それは世界から見たら、みんなができるものではない。日本人だからできるものなんです。

 そう考えると、ゲームペースはオランダを苦しめるペースではなかったと思います。最後はセットプレーからよく追いつきましたけど、しのぐという意味では、2失点していますし、残り2チームのことを考えると、なおさら自分たちのフットボールでぶつかっていった方が、収穫は大きかったんじゃないかなと思います。

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