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日本代表戦との違いは何だったのか。オランダ代表が5発快勝で示した“攻撃の進化”【北中米W杯分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 河治良幸 フリーライター photo by Getty Images

オランダ代表
スウェーデン代表に大勝したオランダ代表【写真:Getty Images】



 日本代表戦ではボールを支配しながらも、最後まで守備ブロックを崩し切れなかったオランダ代表。しかし、スウェーデン代表との第2戦では17分までに2得点を奪い、最終的には5-1の大勝を収めた。何が変わったのか。鍵を握ったのは、先発に抜擢されたブライアン・ブロビーの存在と、フレンキー・デ・ヨングを中心とした中盤の支配だった。日本戦との違いを紐解きながら、優勝候補オランダが見せた“攻撃の進化”を探る。(文:河治良幸)

オランダ代表が大量5ゴール


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オランダ代表対スウェーデン代表
オランダ代表対スウェーデン代表【写真:Getty Images】



 オランダ代表がスウェーデン代表を5-1で圧倒した一戦は、単なる大勝以上の意味を持っていた。

 オランダは、初戦の日本代表戦では結果的に2得点したが、ボールを保持しながらも相手の堅固な守備ブロックを最後まで崩し切れなかった。しかし、この日は17分までに2得点を奪い、試合を優位に進めた。

 両チームの違いを象徴したのが中盤の支配だった。スウェーデンはアレクサンデル・イサクとヴィクトル・ギョケレシュというプレミアリーグ所属の強力な2トップを生かす5-3-2でスタートしたが、構造的に前からプレスがうまくかからず、中盤でフレンキー・デ・ヨングに自由を与えてしまう。

 オランダはデ・ヨングを起点に左右へボールを散らしながら主導権を握ると、開始早々に左サイドのコーディー・ガクポのクロスから、この日スタメンに抜擢されたFWブライアン・ブロビーが先制点をマークする。

 さらに17分には右サイドのデンゼル・ダンフリースのシュート性のクロスに、GKクリストファー・ノルドフェルトの手前でブロビーがボールに触り、ゴールに流し込む。理想的な形でリードを広げた。

 2得点で、スタメン起用に応えたブロビーの活躍について、ガクポは試合後に「彼は本当に、とてつもなく強靭な選手。ボールをキープするプレーや、適切なタイミングでボックス内に飛び込んでくる動きも素晴らしかった」と称賛した。

日本代表戦との違いは…

オランダ代表のコーディ・ガクポ
ガクポが分析する日本代表戦との違いは?【写真:Getty Images】



 この日のオランダはブロビーを軸に攻撃の幅が大きく広がった。中央で相手センターバックを引きつけることで、ガクポやティジャニ・ラインデルスが空いたスペースへ侵入する場面が目立った。

 後半に入ると、そのガクポ自身が立て続けに2ゴールを奪い、試合を決定づける。ガクポは日本戦との違いについても興味深い分析を口にしている。

「日本は非常に規律が取れていました。私たちにもチャンスはありましたが、今日のような決定的なチャンスではありませんでした。だけど今日は攻撃により多くのバリエーションがあった。様々なポジションに選手が顔を出し、動きも多かった。その結果、スウェーデンの守備陣はマークするのが難しくなり、私たちはボックス内でフリーになることができた」

 日本は、5バックがコンパクトな陣形を維持し、オランダの中央のスペースを消し続けた。一方、この日のスウェーデンは前線の破壊力を優先した5-3-2だったこともあり、中盤で後手に回る時間が長くなった。デ・ヨングが自由を得たことで、オランダの流動的な前線が機能したと言えるだろう。

 後半からスウェーデンのグレアム・ポッター監督は4-3-3に変更。しかし、その修正が浸透する前にガクポが連続ゴールを奪い4-0。55分には3枚替えを敢行し、右ウイングに投入されたアンソニー・エランガがゴールを決めて、反撃ムードを生み出した。

「まだ改善の余地が…」

オランダ代表
守備陣が粘り強く奮闘【写真:Getty Images】



 しかし、クーマン監督は選手交代を使いながらスウェーデンの勢いを弱め、終盤には途中出場のクリセンシオ・サマーフィルが日本戦に続くゴールを決めて、とどめを刺した。

 90分を通してのスタッツを見ると、スウェーデンは17本のシュートと10本の枠内シュートを記録している。イサクとギョケレシュの2トップはボールを持てば常に危険であり、決して一方的な試合ではない。

 しかし、良くも悪くも個の打開力に頼るスウェーデンの攻撃に対して、GKバルト・フェルブルッヘンを中心とするオランダ守備陣が頑強さを見せた。

 センターバックのヤン・ポール・ファン・ヘッケは、「スウェーデンの前線には危険な選手もいて、鋭いシュートを放つ場面もありましたが、今日の我々のゴールキーパーは本当によくやってくれましたし、守備も全体的に良かったと思います」と守備陣の働きを評価した。

 もっとも、5-1という結果には満足していない。

「まだ改善の余地がある部分はあります。課題は残っていますが、今後さらにベストな状態へと高めていければと思います」

 ファン・ヘッケは気を引き締めた。日本戦では組織的な守備に苦しみながらも、この日は攻撃の多様性を発揮して大量5得点。攻守両面の完成度を高めつつあるオランダが、本来の優勝候補らしい姿を見せた一戦だった。

 勝ち点4となったオランダはF組の首位突破をかけて、チュニジアとの第3戦に挑む。

(文:河治良幸)

【著者プロフィール:河治良幸】
東京都出身。サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で日本代表を担当し、プレー分析を軸にグローバルな視点でサッカーの潮流を見続ける。セガ『WCFF』の選手プロフィールを担当。著書に『勝負のスイッチ』『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』『サッカー番狂わせ完全読本ジャイアントキリングはキセキじゃない』がある。X:@y_kawaji

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