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日本が「過大評価」されないか心配。普段通り勝っただけ。「チュニジアは曲者」報道に対する違和感【西部の目/北中米W杯】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 フリーライター/戦術ライター photo by 田中伸弥, Getty Images
北中米W杯 GS第2節 vsチュニジア サッカー日本代表 円陣(寄り)
チュニジア戦に臨む日本代表【写真:田中伸弥】



 日本代表はチュニジア代表に4-0と快勝したが、素直には喜べない。戦い方がひとつしかない相手に「普段通り」勝っただけであり、日本のプレーにプラス要素はさほど見られなかった。むしろ心配なのは、この圧勝ぶりが過大評価を生むことと、遠藤航不在の中で佐野海舟が2試合フル出場を続けていること。本当の意味での真価が問われるのは、ここからだ。 (文:西部謙司)[2/2ページ]

実力を見せつけたエース

日本代表FW上田綺世
2ゴール1アシストの大活躍を見せた上田綺世【写真:Getty Images】


 前半途中からは上田綺世の独壇場。31分にはドリブルでタメにタメてから股抜きの強烈な一撃をファーサイドへ叩き込む。ほぼ無回転で飛んでからの縦回転によりバウンドで失速しない。

 縦回転で失速しないミドルはリオネル・メッシが1試合目のアルジェリア戦でみせていたが、上田のシュートも見事だった。

 69分には田中碧のクサビを上田が浮かせたワンタッチでつないで、伊東純也が抜け出し3点目。83分には佐野海舟が右サイドから上げたクロスをイルカのようなジャンプから、ここしかないコースへ頭で決めた。

 日本は左右の「ポケット」を執拗に狙ってチャンスを作っていた。チュニジアのDFに高さがあるのでロングクロスを狙っていない。

 上田のヘディングシュートにつなげた佐野のポケットへのスプリントは教科書どおりともいえるが、終盤であの足が残っているのは驚異的である。守備では相手のキーマンであるハンニバル・メイブリを潰しまくっていた。

 久々に左シャドーに起用された鎌田は器用なバックヒールで先制点をゲットしたものの、このポジションはあまりフィットしているようには見えない。不可欠な存在となっている佐野は2試合フル出場。遠藤航の負傷離脱でますます代えが効かないだけに疲弊しないか心配だ。

 完勝とはいえ、日本のプレーぶりにプラス要素はあまり見られず、実力差どおり、普段どおりに勝利したという試合になった。ここまで差のある相手とはもう当たらないので、むしろここから気を引き締めて臨んでいただきたい。

(文:西部謙司)

【著者プロフィール:西部謙司】
1962年9月27日生まれ、東京都出身。学研『ストライカー』の編集記者を経て、02年からフリーランスとして活動。95年から98年までパリに在住し、ヨーロッパサッカーを中心に取材。現在は千葉市に住み、ジェフ千葉のファンを自認し、WEBスポーツナビゲションでは「犬の生活」を連載中。サッカーダイジェスト、フットボリスタなどにコラムを執筆中。『ちょいテク 超一流プレーヤーから学ぶちょっとスペシャルなワザ』監修(カンゼン)、「サッカー右翼サッカー左翼」(カンゼン)、近著に『戦術リストランテⅣ』(ソル・メディア)、「ゴールへのルート」(Gakken) 、共著の『サッカー日本代表の戦術が誰でも簡単に分かるようになる本』(マイナビ)、『FCバルセロナ』(ちくま新書)がある。

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