FIFAワールドカップ(W杯)北中米大会のグループステージ第2節で、日本代表はチュニジア代表に4-0と快勝した。この試合で、堂安律は3-4-3の右ウイングバックとして74分まで出場して攻守に奮闘している。清水エスパルス、ガンバ大阪、FC東京、名古屋グランパスなどを率いてきて、2015〜2017年にガンバ大阪で堂安を指導した経験を持つ長谷川健太氏は、攻守に奮闘する日本代表の10番をどう見たのか。(取材・文:内藤秀明)
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堂安律は「守備面ですごく成長した」
教え子だった堂安のチュニジア戦でのパフォーマンスについて尋ねると、「(堂安)律は、守備面ですごく成長したと思います。今はフランクフルトの監督が変わりましたけど、前の監督は3バックを採用していて、ウイングバックで出ていたんですよ。そこで相当成長したのではないかと思います」と、欧州での経験が現在のプレーにつながっていると語った。
さらに「今回のチュニジア戦の後半、相手に縦へ行かれてクロスを上げられそうになった場面で、スライディングでクロスを防いだシーンがありました。あれを見て、本当に献身性があるなと感じましたね」と、チュニジア戦で見せた守備対応を称賛した。
また、初戦のオランダ戦に関しても、「(初戦で対戦した)オランダの(コーディ・)ガクポについて、(NHKで解説を務めた本田)圭佑が『1にガクポ、2にガクポ、3にガクポ』と言っていた通り、すごい存在感だったわけじゃないですか。
実際、オランダが第2節で対戦したスウェーデン戦では、2ゴール1アシストを記録して、無双状態でした。それを振り返ると、日本戦でいいプレーをさせなかったのは、律がサイドの1対1で抑えていた、自由にさせなかったからこそですよね」と、堂安の対応が勝ち点獲得につながったと評価している。
続けて、指導していた際に堂安がどのような選手だったか尋ねると、「非常に吸収が早い選手でしたし、成長力、向上心が非常に強い選手でした」と、当時から成長への意欲が強かったことを明かした。
一方で、当時から守備面が完成されていたわけではなかったようだ。長谷川氏は「私がガンバ大阪で指導していた時期はまだ、高校を卒業したばかりの選手でしたから、スピードや強さという部分では、まだまだなところもありました」と、振り返っている。
それでも、「こちらが要求することになんとか応えようという姿勢は見えていましたし、それがヨーロッパに行って、今の律につながっているのだと思います」と、当時から見えていた姿勢が現在の堂安につながっていると目を細めた。
ゴールなしでも高評価。堂安律は「隠れたMVP」
一方でここまで得点がないことに触れると、「ここまで守備でハードワークしていると、アタッキングサードに入った時に攻撃のパワーが少し落ちてしまうのは、ある程度仕方がない部分もある」とフォローを入れている。
「大会の前にも、『やっぱり本田圭佑を超えたい』っていうコメントもあったので。やっぱり得点に絡みたいはずですよ。でもあえて日本の勝利のために、守備の部分でもハードワークを惜しまずやっているんでしょうね」と教え子の心中を察していた。
また「色んな強気なコメントをしていますが、本当にチームのためにプレーができているからこそ、森保(一)監督も堂安にキャプテンマークを任せることにしたんだと思います」と、堂安が主将を務めたことにも触れている。
最後に「いずれにしても堂安の守備の部分は、隠れたMVPだと思います。本当によくチームの勝ち点、勝利のために戦っているんじゃないかな」と、戦う姿勢を高く評価している。
攻撃的な選手としての結果を求めながら、チームのために走り、相手の強みを消し、必要な場面では体を投げ出す。堂安の価値は、ゴールやアシストだけでは測れない。次戦のスウェーデン戦では、その献身性に加えて、攻撃面でも結果を残せるかどうかに注目が集まる。
(取材・文:内藤秀明)
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