
スウェーデン戦に臨む日本代表【写真:田中伸弥】
FIFAワールドカップ北中米大会(北中米W杯)グループF第3節、日本代表はスウェーデン代表と1-1で引き分け、グループ2位で決勝トーナメントに進出した。鮮やかなコンビネーションから前田大然のゴールで先制したものの、追い付かれたあとの終盤は守勢に。それでもGK鈴木彩艶らの奮闘で、2位通過を守り抜いた。ラウンド32では強豪ブラジルと激突する。(文:西部謙司)[1/2ページ]
合理的だったスウェーデンのロングボール
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日本代表対スウェーデン代表の模様【写真:田中伸弥】
スウェーデン代表は立ち上がりからロングボールを前線へ蹴り込んできた。この攻撃方法が結果的に引き分けにつながっている。
スウェーデンは伝統的に堅守のチームとして知られているが、今大会に関しては守備が強くない。むしろ強みはFW陣であり、日本代表戦にはヴィクトル・ギェケレシュ、アレクサンデル・イサクに加えて、途中出場で結果を出していたアンソニー・エランガを加えた3人を前線に並べてきた。
しかし前線までボールを運ぶ力は弱く、途中で日本に奪われてしまう危険が大きい。そこでDFから中盤を飛ばして前線にロングボールを入れてきた。
ロングボールからこぼれ球を回収して攻撃。回収できなければ少し日本の攻撃を遅らせて守備ブロックを形成。それも難しければカウンターされないようにファウルで止める。
ボールを奪われて日本のカウンターを許すのが最も恐い。そのリスクを減らしつつ、長所のアタッカーを活かすにはロングボールしかなかった。
日本のダブル司令塔への対策は?

出色の活躍を見せた田中碧【写真:Getty Images】
ロングボールがことごとくチャンスになっていたわけではなく、多くは日本に回収されていたが、カウンターされるリスクを減らし、守備の脆弱性とビルドアップ能力不足という弱点を上手く隠せていた。
ただし、ボールが地面に落ち着けば、田中碧と鎌田大地のダブル司令塔を軸に日本はボールを握れる。
そうなると、スウェーデンは5-2-3から5-4-1のローブロックに移行するのだが、3トップ左のイサクが「4」のラインまで後退しないケースがあり、堂安律と菅原由勢の右サイドを制圧しはじめた。
左サイドも中村敬斗に1対1の優位性があり、45分には鎌田大地→前田大然とつないでから中村が際どいシュートを放つ。しかし前半の決定機はこれだけで膠着したままハーフタイムを迎えた。
伝統ゆえの“クセ”を絶妙な連係で突く

先制点をあげた前田大然【写真:Getty Images】
後半の立ち上がりから日本が攻勢に出る。攻め込んだ後の守備への切り替えが速く、スウェーデンの反撃を許さない。
56分、堂安のスルーパスで抜け出した前田大然がGKとの1対1を冷静に決めて先制。
右サイドの菅原からハーフスペースの堂安へパス。これを堂安がワンタッチで中央の上田綺世へ流すとともにパス&ムーブ。上田は足裏でボールを抑えて短いパスを堂安へリターンすると、逆サイドから斜めに走って裏へ飛び出した前田へ絶妙のワンタッチパスを通した。
スウェーデンはゾーンディフェンスが伝統。ガツガツとボールを奪いにいくというより、守るべき場所をしっかり抑えながらの連係守備が染みついている。そのせいか、堂安のパス&ムーブを放置していた。
自分がパスした方向へ走った堂安と、パスを受けた上田の2人に対してDFが1人の状態になっていて、上田が堂安にリターンした時点で堂安はフリーになれていた。ディフェンスラインを形成していた選手も、場所を埋めているだけで前田のランニングに反応できていない。
前半の中村のシュートのケースもそうなのだが、スウェーデンが狭い場所での横移動を受け渡そうとするので、日本は数的優位を作り、わずかではあるがゾーンの隙間に潜り込むことができる。この形は再現性がありそうだった。だが、日本はこれを繰り返すに至っていない。
先制した後はブロックで構えて待ち受ける形になり、スウェーデンに攻め込まれる流れになっていった。