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日本代表の「引き出し」はまだある?“対ブラジル代表仕様”で隠し持つ戦術的オプションとは【北中米W杯注目国分析】

シリーズ:北中米W杯注目国分析 text by 河治良幸 フリーライター photo by Getty Images
北中米W杯 GS第2節 vsチュニジア サッカー日本代表 試合後
北中米W杯GS第2節日本代表vsチュニジア代表 試合後【写真:Getty Images】



 FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)グループFを2位で突破した日本代表。森保一監督は、グループリーグ3試合を通じて多くの選手を起用しながら数々の「引き出し」を準備してきた。ラウンド32の相手は、優勝候補のブラジル代表。森保ジャパンは、どのような“対ブラジル仕様”の一手を隠し持っているのだろうか。(取材・文:河治良幸)[1/1ページ]

森保一監督が示す戦術的な柔軟性

26年6月26日 北中米W杯 GS3戦目 vs スウェーデン戦 日本代表の森保一監督
サッカー日本代表 森保一監督【写真:Getty Images】


 日本代表は、見事な戦いぶりでグループF2位通過を果たした。森保一監督はオランダ代表戦からチュニジア代表戦で4人、さらにスウェーデン代表戦で3人と、積極的にスタメンを入れ替えながらチーム力を維持し、ここまで17人が先発を経験した。

 さらに鎌田大地は左シャドーとボランチ、堂安律は右シャドーと右ウイングバック(WB)という複数ポジションをこなし、チームの戦術的な柔軟性を高めている。

 途中出場ではオランダ戦の塩貝健人、チュニジア戦の鈴木淳之介と後藤啓介、そしてスウェーデン戦では5大会連続W杯出場となった長友佑都がピッチに立った。

 3試合連続スタメンの上田綺世に代わり、2試合で途中投入された小川航基も含めて、ここまで23人が実戦を経験。フィールドプレーヤーで未出場なのは、大会直前に離脱した遠藤航の代替招集となり、チュニジア戦を前にコンディションを崩したFW町野修斗だけとなっている。

 オランダ戦で久保建英が左膝を負傷するアクシデントこそあったものの、結果的には様々な組み合わせを試しながら勝ち上がることができた。森保監督にとって、決勝トーナメントに向けた「引き出し」は確実に増えている。

 ラウンド32の相手は優勝候補のブラジル。大会前から、日本がグループ2位であればブラジルと対戦する可能性は十分想定されており、森保監督がこの一戦のために温めてきたオプションを投入してくる可能性は十分ある。

ブラジル戦で浮上する新たなオプション

鈴木淳之介 日本代表
サッカー日本代表 鈴木淳之介【写真:Getty Images】


 スタートからの効果的なオプションとして考えられるのが、鈴木淳之介の左WB起用だ。チュニジア戦では途中から起用されたが、ブラジル相手なら3試合連続スタメンの中村敬斗と入れ替わる形で鈴木淳之介が守備から流れを作り、勝負どころで中村を投入するというプランも立てやすい。

 ブラジルの右サイドはハイアンと、高い位置での組み立てに優れた大型サイドバックのダニーロがコンビを組む。鈴木をスタートから置くことで、ハイアンに対して伊藤洋輝をサポートしながら、ダニーロの攻め上がりに備えることで、ブラジルの起点をかなり限定できるはずだ。

 また、前田大然をFWとして起用する選択肢も考えられる。ここまではシャドーで相手最終ラインの背後を狙い、献身的な守備でも大きな役割を果たしてきた。

 しかし、ブラジル戦では前線に上げることで、マルキーニョスとガブリエウ・マガリャンイスにプレッシャーをかけながら、攻撃では間へ絶えず走り込ませる形も考えられる。

 1トップという選択肢も無くはないが、ここまでエースに君臨する上田綺世をベンチに置くことは考えにくい。

 非対称の3-5-2にして、鎌田がボランチの佐野海舟、田中碧と中盤を形成することで、カゼミーロ、ルーカス・パケタ、ブルーノ・ギマランイスの三人を封じることとセットで想定しやすい。

決勝トーナメントで問われる采配力

ブラジル代表
グループCを首位通過したブラジル代表【写真:Getty Images】


 終盤の勝負どころでは、高さを前面に押し出す“タワー型2トップ”も十分にあり得る。ブラジルのセンターバックは1対1では世界最高レベルだが、クロス対応ではマークの受け渡しにズレが生じる場面もある。

 上田と小川の同時起用に加え、シャドーに高さと機動力を併せ持つ町野、壮行試合のアイスランド代表戦でも同様の役割をこなした後藤を並べ、実質的な3トップとしてゴール前の圧力を一気に高めることも可能だ。さらに得点が欲しい状況では塩貝を投入する。

 ここからは毎試合が一発勝負であり、延長戦やPK戦も見据えていく必要がある。そのためのプランニングは、前回のカタール大会より入念に練られているはず。

 グループリーグ3試合を通じて森保監督が示したのは、「固定メンバーで戦う」チームではなく、「相手に応じて最適解を選べる」チーム作りだった。

 その積み重ねがあったからこそ、決勝トーナメントでは相手に合わせた“対ブラジル仕様”の一手を迷いなく繰り出せる。

 世界屈指の強豪に挑む日本は、これまで見せてきた戦い方を土台としながら、さらにもう一段階ギアを上げた戦術で勝負に出ることになりそうだ。

(取材・文:河治良幸)

【著者プロフィール:河治良幸 フリーライター】
東京都出身。サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で日本代表を担当し、プレー分析を軸にグローバルな視点でサッカーの潮流を見続ける。セガ『WCFF』の選手プロフィールを担当。著書に『勝負のスイッチ』『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』『サッカー番狂わせ完全読本ジャイアントキリングはキセキじゃない』がある。X:@y_kawaji

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