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【青山敏弘に聞く】日本代表が「『あ、強いんだな』って、感じた」瞬間。ブラジル戦でやってはいけないこととは?

シリーズ:コラム text by 竹中愛美 photo by Getty Images

日本代表

無敗でグループステージを突破したサッカー日本代表【写真:Getty Images】



 日本代表は日本時間6月30日、FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)決勝トーナメント1回戦でブラジル代表と対戦する。過去通算成績は日本の1勝2分11敗と負け越している。W杯で最多5度の優勝を誇る王国、ブラジルを相手に森保ジャパンはどんなサッカーを見せるのか。2014年ブラジルW杯メンバーで、現在はサンフレッチェ広島でコーチを務める青山敏弘氏にブラジル戦の見どころを聞いた。(取材・文:竹中愛美)

【単独インタビュー/取材日:6月28日】 

スウェーデン戦は「見ていて、ちょっと面白いなって」

日本代表の堂安律対アンソニー・エランガ

スウェーデン戦では右のシャドーで先発した堂安律【写真:Getty Images】


ーー前回の取材ではスウェーデンに勝って突破を決めたいというお話もありましたが、結果は引き分けでした。振り返って率直にどのような印象を持ちましたか?

「やっぱりスウェーデンも実力がありましたし、日本としてはメンバーをちょっと変えながら、何人でしたっけ?先発は」

ーーチュニジア代表戦から先発を変えたのは3名ですね。(冨安健洋、佐野海舟、伊東純也→菅原由勢、瀬古歩夢、前田大然に変更)

「出ていないのが冨安くんと伊東くん、佐野くん。やっぱりそこが結構、肝というか。ポジションも堂安(律)くんが1個前(右ウイングバックからシャドー)に出て、ちょっと鋭さはなかったですよね」

ーーそうですね。

「攻撃のところのスピードアップはもしかしたらいつもよりはちょっと…。コントロールしている部分もあったかもしれないですけど、ちょっとパスがずれたり、ここっていうときのスピード感はもしかしたら、この2試合(オランダ代表とチュニジア代表戦)よりは難しかったかもしれないです。

 けど、3試合目のスウェーデンのテンポ感だったり、勝ち点(を狙う)ということもあったし。それも含めて難しさもありながら、見ていて、ちょっと面白いなって思いましたけどね」

ーー現実的な戦い方というか、首位通過が少し難しくなってきたところで、森保一監督の中で守備にシフトしたのが交代のメンバーからもわかるような形でした。そして、主力の上田綺世選手や堂安選手、中村敬斗選手を後半途中で交代したこともプラスでしょうか?

「もうね、絶対勝ちたい思いはありましたけどね。堂安くんなんか見たらもう完全に怒ってましたもんね。まあ、あれはもしかしたら失点シーンの自分の対応かもしれないですし。やっぱり勝ちたいんだなっていうのはすごく伝わってきました。

 でも、長友ね、佑都が出てきたのは、チームもそれを求めていたし、あれで勝ち点というところはすごく明確にディフェンスのところって、本当に伝わってきたと思う。メッセージ性はありましたよね」

「チュニジア戦は緩かった」。ブラジル戦へつながるスウェーデン戦

北中米W杯 GS3節 日本×スウェーデン スウェーデンのプレッシャーを受ける日本 鈴木彩艶

スウェーデンのプレッシャーを受ける日本【写真:Getty Images】


ーーそうですね。青山さんから以前、森保監督は「リアリスト」だというお話もされていたので、すごくそこはしっくりきました。そういった戦い方をされる方なんだなと改めて感じました。

「本当にチームなので、これでほぼ全員出てますしね。総力戦というところも含めて、ここからが本番というか。勝負だぞっていう、もう1回。スウェーデン戦は本当、前半はすごく良い試合だったと思うんですけど、後半結構厳しかったですよね」

ーーそうですね。終盤は押し込まれましたね。

「もしかしたら、同点にされてから負ける可能性もありましたし、本当に際どいシーンもあったんですけど、それで崩れないチーム力というか、強さ。それも含めての強さだと思うので。もちろん、課題はあって、得点した後の失点のところかもしれないですし、それはまた経験になる。(修正)できるところなので。そこから崩れないのは本当に、『あ、強いんだな』って、感じましたね」

ーーなるほど。そういった中で決勝トーナメント1回戦の相手はブラジルになりましたが、ブラジルの印象は改めていかがですか?

「うーん、なんだろう、もうやるだけですよね?ブラジルの印象と言っても強烈な個だと思うので、ある意味、スウェーデンと3試合目をやって良かったなと。もしかしたらチュニジア戦がやっぱり緩かったんだなって、スウェーデンを見て思いましたね」

ーーなるほど。

「この3試合目がチュニジア戦で、次の試合がブラジルだったらもっと苦しくなる。緩かったので、それぐらいチュニジア戦は。スウェーデン戦はしっかり個の相手に対して、ああやって戦ったので。本当にここからグッて、ブラジル戦に向けて行く良い機会になったんじゃないかなってちょっと勝手に思っていますけど。

 ブラジルの得点シーンはカウンターと個のところだと思うので、コンパクトな守備がもう1回求められる戦いになってくる。それはスウェーデン戦の終盤、ボールを握れない時間帯とか、奪っても繋げないとか。でも、奪った瞬間は最後、鎌田(大地)くんから小川(航基)くんへの、奪ってからの際どいシーンってありましたよね?1本右サイドから。本当にああいうシーンなんだろうなって。イメージはできますよね。そういう試合なんだろうなって」

「コンパクトなんですよね、日本の良さは」

ブラジル代表

W杯で最多5度の優勝を誇る王国・ブラジル代表【写真:Getty Images】


ーーブラジルには現在3試合連続ゴール中のヴィニシウス・ジュニオールやマテウス・クーニャなど強力アタッカーがいます。この力を活かした高速カウンターも強みですが、そうした相手に対して、おっしゃったような相手の守備が整う前のパスなどは、攻略の糸口になりそうでしょうか?

「やっぱり強いっすね。どう相手の時間を削いでいくかの作業になってくるんだと思うんですよね。日本も去年ですよね。勝ったのは?」

ーーそうですね。去年の10月の親善試合ですね。

「そういう自分たちの時間になったときにどれだけチャンスを作れるかだと思うので、もしかしたら、その時間は少ないかもしれない。でも、ディフェンスができている時間もコントロールしている時間も今の日本だったら、自分たちの時間って言えるかもしれない。

 一番の強みは良いディフェンスからの良い攻撃なので。そこの隙のなさを試合を通して、特に前半、流れを作っていきたいですよね」

ーーそうですね。お話にも挙がった去年の親善試合は日本が3-2で逆転勝利をおさめていますが、そのときのメンバーと現在のブラジルはだいぶ違っていて、今残っている選手は主力でいくと、ブルーノ・ギマランイス選手、カゼミーロ選手、ヴィニシウス選手、ルーカス・パケタ選手の4人のみなんです。

「フォワードが誰でしたっけ?」

ーー前線はヴィニシウス選手やマテウス・クーニャ選手、ハフィーニャ選手(グループステージ第2節で右太もも裏を負傷)、イゴール・チアゴ選手、ハイアン選手などですね。

「やっぱりここっていうときのスピード感ですよね。ここっていうときをどれだけ作らせないか、ですよね。本当に見てたらカウンターじゃないですか?」

ーーそうですね。

「でも、そこをしっかり決め切る力というか。そのスピード感とパワーの使いどころが上手い。考えるだけでもね、やっぱり怖いので、どうそのスピードを出させない、スペースを作らせないサッカーをするのか。コンパクトなんですよね、日本の良さは。この間の同点になったシーンとかは、真ん中を相手にビルドアップで割られていって、クサビを当てられて、そこから広げられた。

 まさにああいうのが1番苦しいですよね、守っている方としては。なるべくあそこは、なるべくじゃないですね。もう絶対に中は切らないと、コンパクトにしないとね。コントロールしないと、やっぱりやられるんだなって、オランダ戦も含めて、中を通されるシーンはどれだけ減らせるか。それぐらい、『あ、やられるんだ』っていうのを見て、僕は感じましたね」

ーーブラジル戦では、森保ジャパン最大の武器である「良いディフェンスから良い攻撃」がどこまで発揮できるか。青山氏はブラジルのカウンターを警戒しつつも、日本の強みであるコンパクトな守備から攻撃へつなぐスタイルに可能性を感じていた。

 インタビュー後編では、日本代表を支えるコンディションづくりや森保監督の舞台裏、そして「楽しんでいる場合じゃない」と語ったブラジル戦への覚悟に迫る。

(後編へ続く)

(取材・文:竹中愛美)

【著者プロフィール:竹中愛美】
1990年、北海道生まれ。Jリーグ開幕で世の中がサッカーブームに沸いていた幼少期、「入会したらヴェルディ川崎のボールペンがもらえる」の一言に釣られて地元のクラブでサッカーを始める。以降、サッカーの魅力に憑りつかれた日々を送ることに。ローカルテレビ局時代に選抜甲子園や平昌冬季五輪、北海道コンサドーレ札幌などを取材し、2025年よりカンゼンに所属。FWだったからか、この限られた文字数でも爪痕を残したいと目論むも狭いスペースの前に平伏す。ライターとして日々邁進中。

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【了】

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