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J1 2時間前

「徹さんに僕の武器を教えてもらった」清水エスパルス、藤井智也を変えた恩師の“金言”。苦手だった守備を「自分の強み」に変えた半年間【コラム】

シリーズ:コラム text by 榊原拓海 photo by Takumi Sakakibara
清水エスパルス 藤井智也
清水エスパルスMF藤井智也【写真:榊原拓海】



 今夏、清水エスパルスに加入した藤井智也は、欧州クラブとの練習試合で確かな存在感を示した。目を引いたのは、代名詞であるスピードや突破力だけではない。湘南ベルマーレ時代に磨き上げた前線からの守備は、新天地でも大きな武器になりつつある。オーストリアキャンプ最初の対外試合で、藤井がつかんだ確かな手応えとは。(取材・文:榊原拓海)[1/2ページ]

オーストリアでキャンプをスタートさせた清水エスパルス

清水エスパルス 藤井智也
清水エスパルスMF藤井智也【写真:榊原拓海】


 清水エスパルスは現地時間11日より、オーストリア・ゼーフェルトで、26/27シーズンのJ1リーグ開幕に向けたトレーニングキャンプをスタートさせた。

 吉田孝行監督が「チーム全体でベースの戦術理解を深めることがこのキャンプのテーマ」と宣言したとおり、初日の午後練習から、攻守に戦術的な理解を深めるメニューが数多く取り入れられている。

 既存戦力はこの半年間、吉田監督の下でトレーニングや試合に臨んだ経験値があるが、新戦力は話が別だ。真っ新な状態からのスタートのため、4日に行われたポリッスヤ・ジトミールとの練習試合は、戦術理解の現在地を確かめる上で絶好の機会だった。

 そんなゲームの中に、守備面の充実ぶりが際立った快速アタッカーがいた。今夏、湘南ベルマーレから完全移籍で加わった藤井智也だ。

 45分間を2本の形式で行われたゲームで、藤井は2本目の45分間、左ウイングのポジションでプレー。相手は25/26シーズンのウクライナ・プレミアリーグ(1部)で3位に食い込み、今季のUEFAカンファレンスリーグ(ECL)予選出場権を手にしているチームなだけあって、確かな自信を持つビルドアップが非常に多彩だったが、そうした相手にもきっちりとチームの約束事を守りながら牽制をかけていく姿が印象的だった。

「苦手だったし…」

清水エスパルス 藤井智也
清水エスパルスMF藤井智也【写真:榊原拓海】


 藤井は「とにかく、今はチームコンセプトの守備面を強く意識してやっている」と語る。

 こうした言葉と、このキャンプでのプレーの数々を見ると、守備面に相当な自信を持ってキャリアを積んできたプレイヤーだと思ってしまうが、本人は「苦手だったし、避けてきた部分もある」と否定。転機となったのは、前所属先の湘南を率いる長澤徹監督との出会いだった。

 元々、藤井は「スピードを活かして裏を取るところ、仕掛けるところが自分の良さだと思ってサッカーをしてきた」との言葉のとおり、自らの良さは主に攻撃面にあると思っていた。

 しかしながら、百年構想リーグ開幕前に湘南にやってきた長澤監督から投げかけられた言葉は、それまでの藤井の考えとは異なるものだった。

「プレスの強さや力は君の武器」。藤井の持つ唯一無二の武器であるスピードは、攻撃面だけでなく守備面でも活きるという意図だ。長澤監督から伝えられたこの言葉は、ドリブルや背後への飛び出しこそ自らの武器だと信じていた藤井にとって、新たな視点を抱く“金言”となった。

 この言葉をきっかけに、藤井は守備面を強く意識するようになった。「徹さんに僕の武器を教えてもらった」。オレンジに鞍替えして迎えたこの日の試合でも、藤井は守備を何よりも大事にしていた。

 そして、その意識は、湘南を離れて清水に加わった今も変わっていない。ポリッスヤ・ジトミール戦の後、藤井が口にした言葉が、何よりもの証左だ。

「そこが理解できたのは…」

清水エスパルス 藤井智也
清水エスパルスMF藤井智也【写真:榊原拓海】


「この半年間、湘南では監督がすごく守備面を大事にしていて、自分も強く意識していました。特に、ハイプレスは徹さんから教わってきた部分ですし、そこは今日の試合でも出していきたいと思っていました。湘南時代の経験が今日につながっていたのは、すごく良かったと思っています」

 細かいやり方こそ異なれど、藤井に言わせれば、湘南と清水では「前線から牽制をかける点で共通している部分もある」という。ここまでのトレーニングを経て、守備の理解を深めていたつもりではあったが、やはり練習と試合とでは感じ方も異なるものだ。

 藤井はピッチの中で、縦関係のコンビを組んだ吉田豊ら、周囲の選手とワンプレーごとにコミュニケーションを取っていたが、そうした行動の背景には「広さも強度も練習じゃ測れないものがありました。一緒に出る選手の守れる範囲や守り方は、試合を重ねる中でわかってくる部分もある」との考えがある。「そこが理解できたのはかなりの収穫でしたね」という言葉には、充実感も滲む。

 もちろん、「中を通されたりだとか、監督の要求に応えられなかったシーンもありました」と振り返ったように、現段階で完璧かと問われると、そうではない。  
 元々、強みと自負していた攻撃面についても、「裏に抜ける場面だけじゃなくて、たとえば足元でボールを受けて、そこから仕掛けたり、時間を作るプレーだったりだとか、ドリブルでゴールに向かっていくシーンは見せたかった」と言及しており、反省点はいくつもある。

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