フットボールチャンネル

J3 18時間前

「もっとシュート打て」百戦錬磨の名将の言葉に金子翔太は心を動かされた。30代で挑む松本山雅FCでの再ブレイク「自分の価値を高めたい」【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 フリーライター photo by Etsuko Motokawa,Getty Images
松本山雅FC 金子翔太
松本山雅FC 金子翔太【写真:元川悦子】



 かつてJ1の舞台で存在感を放った松本山雅FCは、現在5シーズンにわたってJ3での戦いを強いられている。再浮上を目指すクラブに今夏加わったのが、清水エスパルスやジュビロ磐田などでプレーした金子翔太だ。百戦錬磨の石崎信弘監督とともに、経験豊富なアタッカーがチームの再建に挑む。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ]

再構築を進めている松本山雅FC

松本山雅FC
松本山雅FC【写真:Getty Images】


 反町康治監督が率いた2010年代は2度のJ1昇格を経験し、前田大然のような傑出したタレントも輩出してきた松本山雅FC。しかしながら2021年にJ2最下位に沈み、2022年からJ3に参戦。そこから沼にハマった状態が続き、5年が経過してしまっている。

 こうした中、明治安田J2・J3百年構想リーグからは百戦錬磨の名将・石崎信弘監督が就任。最終的に26位とまずまずの健闘を見せた。

 しかし、石崎監督が築いたチームの軸を担っていた深澤佑太、村越凱光、小田逸稀、加藤拓己の主力4人が今夏に流出。クラブは百年構想リーグで7得点を挙げた田口裕也を愛媛FCから獲得。SC相模原の主力だったベテラン・高野遼らも補強し、チームの再構築を進めているところだ。

 清水エスパルス、ジュビロ磐田で実績を積み重ねてきた金子翔太も、新加入選手の1人だ。ご存じの通り、彼はJFAアカデミーから2014年に清水入りし、2016年の清水のJ1昇格の原動力となった。

 同年の清水は山雅とJ1自動昇格枠を争い、最後の最後で2位に滑り込む形となった。その昇格を決定づける最終節の徳島ヴォルティス戦で、値千金の決勝点を挙げたのがこの小兵アタッカーだった。

「ポテンシャルがあるクラブだと…」

藤枝MYFC 金子翔太
藤枝MYFC時代の金子翔太【写真:Getty Images】


 その後、彼は2021年7月に磐田へ加入。2024年までの在籍期間に2度のJ1昇格を経験している。

 同クラブでは遠藤保仁や今野泰幸、ジャーメイン良ら代表経験者とも共闘。髙い基準を自身の中に植え付け、2025年に藤枝MYFCへ移籍した。

 しかし、その藤枝では百年構想リーグ終了をもって契約満了に。槙野智章監督体制のもとで新たなシーズンを迎えることなく、金子は新天地を探していたという。

「チームを探している中で声をかけていただいたのが松本でした。僕もプロを13年やっているんで、松本がJ1にいた時も、J2にいた時も知っているし、ポテンシャルがあるクラブだと分かっていました。

 でも近年は低迷している。『どうしたらJ2に上がれるか』という壁を破るべく、自分の力をどうにか還元できたらいいと思って、迷うことなく加入しました」と彼は10年前にJ1昇格を争ったライバルクラブへの移籍を決断した。

 そこで出会ったのが、68歳の石崎監督だった。発足から34年目を迎えるJリーグで32年にわたって指揮官を務めている日本人最年長監督は、つねに情熱を持って選手にアプローチすることでよく知られている。金子も大きな刺激を受けている様子だ。

「1つ1つの言葉に…」

ジュビロ磐田 金子翔太
ジュビロ磐田時代の金子翔太【写真:Getty Images】


「石さんは本当に練習が好きだし、真摯に向き合っている人。監督としてオーラがあるし、1つ1つの言葉に心を動かされます。直近では『翔太、もっとシュート打て』という言葉が響きました。

 それはシンプルだけど、自分が一番やりたいプレー。近年はシュートを打てるところでパスを選択してしまうようなところがあったんで、この1~2週間はシュート練習を欠かさずやりましたし、得点力を上げることを大事にしたいと思いました」

 金子は神妙な面持ちでこう語ったが、確かに彼のゴール数は伸び悩んでいる。清水時代の2018年にはJ1で10ゴールとブレイクを果たし、磐田時代の2023年にもJ2で6ゴールを記録。しかし、それ以降は数字が出ていない。

「出場タイム自体が減っていたんで、山雅でもう一回、自分の価値を高めたい。山雅のためにも全力で戦いたいし、必死にやりたいです」と本人も強調。30代での再ブレイク、そして山雅のJ2復帰に賭けているのだ。

 石崎監督は金子を高い位置を取るシャドー的なインサイドハーフ、あるいはトップ下で起用する構えだ。

 7月25日のヴァンフォーレ甲府とのプレシーズンマッチを見ると、最前線に田口、その背後のトップ下に澤崎凌大が入り、金子と村上陽斗が両インサイドハーフに陣取っていた。

1 2

KANZENからのお知らせ

scroll top