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柏レイソルは引いた相手をどう崩すのか。「左サイドには左サイドなりの形を」遠藤渓太を活かす新たな攻撃像【コラム】

シリーズ:コラム text by 高橋大地 photo by Getty Images,Editor
FC東京から柏レイソルに移籍した遠藤渓太
柏レイソル 遠藤渓太【写真:編集部】



 8月1日に行われた第31回ちばぎんカップは、PK戦の末に柏レイソルがジェフユナイテッド千葉を下した。一方で、5バックでゴール前を固める相手から90分間で得点を奪えず、リカルド・ロドリゲス体制発足以降の課題である「引いた相手をどう崩すか」が改めて浮き彫りとなった。解決策の一つとして期待される新加入・遠藤渓太を、柏は左サイドでどう活かすのか。監督や攻撃のキープレーヤーたちの言葉から考える。(取材・文:高橋大地)[2/2ページ]

相手を動かすために必要なこと「チーム全体でもう少し増やしていく必要がある」

FC東京の遠藤渓太
FC東京時代の遠藤渓太【写真:Getty Images】


「それが分かるのは、これからシーズンに入ってからだと思います。それぞれの個性を、チーム戦術の枠組みの中でどう出していくかということになってくる。高いクオリティーを持った新加入選手がたくさんいるので」

 遠藤は、左サイドの問題を個人の突破力だけで解決するために加入したわけではないだろう。

 遠藤をはじめとする新戦力の個性をリカルド監督の戦術の中でどう活かすのか。新たな選手の特徴に合わせて、これまでの仕組みをどう変化させるのか。

 その答えは、リーグ戦の実戦を重ね、さまざまな組み合わせを試す中で見えてくる。

 引いた相手に対し、ボールを失わないことばかりを優先すれば、相手のブロックの外側でパスを回すだけになる。

 仲間は、相手を動かすためにはゴールへ向かう姿勢が必要だと話す。

「もう少しゴールへ向かうプレーやゴールを意識した駆け引きができれば、相手も一歩寄せてきます。そうすると、その一つ後ろにスペースが空くこともあります。本当にそうした細かい部分だと思います」

 前を向いてボールを受ける。ドリブルで仕掛ける。背後へ走る。シュートを狙う。守備者にゴールを意識させるプレーがあって初めて、堅固なブロックにずれが生まれる。

「チーム全体で、ゴールへ向かう矢印をもう少し増やしていく必要があります」

 仲間が求めたのは、遠藤をはじめとする特定の選手だけが仕掛けることではない。チーム全体がゴールへの意識を共有し、相手のブロックを動かすことだった。

 遠藤も相手を前へ引き出すためには、中央の選手がゴールを意識する必要があったと振り返る。

「何かしらのきっかけを」柏レイソルが抱えてきた課題は新シーズンも重要なテーマに

柏レイソル 26/27シーズン新体制発表会 
柏レイソル 26/27シーズン新体制発表会【写真:編集部】


「今日で言えば、ボランチの選手たちがゴール前でフリーでボールを受けたり、前を向いたりするプレーを見せることで相手も前に出てくる。そこで、シュートを打つことも必要だったと思います。自分自身もシュートを打てていないので、あまり人のことは言えないですけどね」

 この日ボランチとして先発したのは中川敦瑛と熊坂光希のコンビだったが、攻撃の部分で貢献するというよりもバランスを意識しているように見受けられた。熊坂は守備面やビルドアップでは低い位置での貢献が多く、攻撃でアクセントを加えたい中川も熊坂の近くでプレーすることが多かった。

 積み上げという部分では、今後はボランチの選手たちが前を向き、もっとシュートを意識できるような共通認識になっていけば、相手の守備者はブロックの中から前へ出ざるを得なくなってくるだろう。

 その背後や脇にスペースが生まれれば、遠藤をはじめとするサイドの選手も、より有利な状況でボールを受けられる。

 引いた相手を崩すために必要なのは、“個”の能力が高い選手が、1対1で勝つことだけではない。

 中央で前を向く。ゴールを狙う。相手を前へ引き出す。その動きと連動して、サイドや背後に生まれたスペースを使う。

 一人の突破力に解決を委ねるのではなく、それぞれのプレーによって相手を動かし、次の選手が生まれたスペースを使う。柏に求められているのは、そうした攻撃の連続性だろう。

 ただ、遠藤自身も、現在のプレーに明確な答えを見つけられているわけではない。

「自分自身、まだ迷いながらプレーしている感覚があります。とはいえ、来週からJリーグが始まるので、そんなことも言っていられません。何かしらのきっかけを自分でつかんでいかなければいけないと思います」

 ちばぎんカップで、新たな課題が見つかったわけではない。

 リカルド体制になって以降、柏が向き合い続けてきた「引いた相手をどう崩すのか」という問いは、新シーズンも重要なテーマになる。

 鍵を握るのは、遠藤の突破力そのものではなく、その個性を左サイド全体の攻撃へ変換できるかどうかだ。

 左ウイングバックを中心に左センターバックや左シャドーを含む関係性を構築し、右とは異なる「左サイドなりの形」をつくれるか。柏は実戦の中で、その答えを探していくことになる。

(取材・文:高橋大地)

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