
北海道コンサドーレ札幌の川井健太監督【写真:黒川広人】
「自分が正解だとはあまり思っていない」――。北海道コンサドーレ札幌を率いる川井健太監督が紡ぐ言葉は、不思議と耳に残る表現が多い。独特の言い回しの奥には、選手一人ひとりの個性を尊重し、自ら考えてプレーする集団をつくりたいという一貫した哲学が息づいている。本インタビューでは、その言葉の背景にある価値観と、札幌で描くチームづくりの原点に迫った。※全4回。(取材・文:黒川広人)[2/2ページ]
「自分が正解だとはあまり思っていない」

川井健太監督の言葉には、不思議と耳に残る表現が多い【写真:Getty Images】
「『人それぞれ』という言葉を、すごく大切にしています」
その理由を、こう続けた。
「人の意見もあれば、人の感情もあります。受け止め方も違えば、考え方も違う。監督の立場では選手に『こうしてほしい』と求めることがあります。でも、人それぞれの受け止め方がありますし、考え方も違う。
そういうものを納得させていかなければいけない。だから、自分が正解だとはあまり思っていないんですよね。僕は『人それぞれ』だと思っているので。そこは大事にしています」
「人それぞれ」――。異なる価値観を認めながら、チームを一つの方向へ導いていく。その考え方は、川井監督が選手に求めるプレーにも表れている。指揮官は自らが示した枠組みを理解した上で生まれる、選手の創造性を歓迎している。
「そういったプレーはうれしいんです。選手にも言っているんですけど、僕は白とずっと言い続けるんです。選手には、それをやりたくない黒の思いがあるかもしれない。
でも、僕が言った白をやろうとしている中で、『あれ、こっちの方が良くないか』と出てくるものは、たぶんグレーなんですよね。僕が言っていることとは少し違う。そのグレーを遊べる選手が非常に好きです」
監督の意図を理解した上で、ピッチ上の状況に応じて自ら判断する。川井監督が求めているのは、そうした“知性のある逸脱”だ。
ピッチ内外で充実した日々を送る川井監督。着任前に抱いていた札幌のイメージとの違いは、ほとんどなかったという。唯一の「想定外」を尋ねると、少し笑いながらこう答えた。
「近くのスーパーに、牛肉があまり売っていないことです(笑)。でも、それくらいですね」
札幌という街にもすっかり溶け込み、その視線はすでにチームのさらなる成長へ向けられている。
第2編では、川井監督が掲げる「我々のフットボール」の正体について迫っていく。
(取材・文:黒川広人)
【著者プロフィール:黒川広人】
北海道出身。大学卒業後、フジテレビで番組制作を担当。2018年よりDAZNにてJリーグ関連の番組制作に携わる。2022年からは株式会社dscに所属し、Jリーグ、Jクラブ、WEリーグをはじめとする各種スポーツ団体の映像ディレクション業務を担当。また、地元・北海道を中心に学生年代の取材活動も精力的に行う。
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