
東京ヴェルディでプレーする溝口修平【写真:Getty Images】
8月14日の柏レイソル戦、東京ヴェルディは林尚輝の先制弾を守り切れず1-3で逆転負け。鹿島アントラーズから武者修行中の溝口修平はサッカー日本代表経験者・久保藤次郎に苦しみ、3失点目にも絡んだ。「鹿島の基準を分かっている自分がこういうやられ方をしちゃいけない」。厳しい表情で振り返った22歳が、新天地で直面した守備の課題に迫る。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ]
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明治安田J1リーグ第2節
東京ヴェルディ 1-3 柏レイソル
MUFGスタジアム(国立競技場)
苦しいスタートを強いられた東京ヴェルディ

東京ヴェルディ対柏レイソルの模様【写真:Getty Images】
2024年のJ1復帰から地位を着実に築き、2026/27シーズンに挑んでいる東京ヴェルディ。2026年J1百年構想リーグはEASTで5位、最終順位10位と悪くない結果を残したが、EAST・18試合の数字を見ると、総得点の19は下位。総失点の25も中位ということで、攻守両面での底上げが求められている。
城福浩監督もさらなる高みを目指してプレシーズンから準備を進めてきたが、キャプテン・森田晃樹を筆頭に、齋藤功佑、山見大登ら攻撃陣の主軸が相次いで負傷離脱。戦力的に厳しい中、8月9日の開幕・川崎フロンターレ戦を迎えることになった。
その一戦では鹿島アントラーズからレンタルで加入した溝口修平が後半立ち上がりに先制。虎の子の1点を守り切って白星発進寸前まで行ったが、最後の最後に失点。勝ち点2を取りこぼす形での苦いスタートを余儀なくされたのだ。
だからこそ、8月14日の第2節・柏レイソル戦は勝ち点3がほしかった。MUFGスタジアムでの大一番ということもあり、チーム全体の士気は非常に高く、ヴェルディは開始早々の2分に林尚輝が打点の高いヘッドで先制。最高の入りを見せることに成功した。
しかしながら柏は簡単な相手ではなかった。
百年構想リーグで大苦戦を強いられた柏は遠藤渓太ら新戦力を補強した。
加えて、ケガで長期離脱を強いられていた熊坂光希も復帰し、戦力的に厚みが増したこともあり、両サイドを起点に積極的な仕掛けを披露し、11分に遠藤が同点弾を決め、いち早くゲームを振り出しに戻したのである。
「ホントに苦しい展開でした」

柏レイソルに移籍後初ゴールを決める遠藤渓太【写真:Getty Images】
そこからのヴェルディは柏に攻め込まれ、かなりの苦戦を強いられた。
特に厳しかったのが、久保藤次郎と対峙した溝口だ。切れ味鋭いドリブルを前面に押し出す日本代表経験者に対し、22歳の左ウイングバック(WB)は懸命に体を張ろうとしたが、一歩先に行かれたり、裏を取られたりと困難が続く。
さらに柏は、久保、小泉佳穂、原田亘らが流動的に動きながら右サイドの攪乱を狙ってきたため、溝口の難易度はより一層上がったのだ。本人も苦渋の表情を浮かべる。
「ローテーションしてくることを含め、相手にいろいろな形があるのは分かっていましたし、そこはコミュニケーションを取ってやろうと思っていました。でも後手に回ったり、引き込んでの守備が多くなったので、もう少し強気の守備が必要だった。
前回の川崎と違って自分たちと同じような3−4−3のシステムという難しさもありましたけど、もっと周りと連携して打開策を見つけないといけなかった。ホントに苦しい展開でした」
ヴェルディは、こうした流れから後半に瀬川祐輔に2点目を奪われ、逆転を許してしまう。
そして迎えた82分。久保をマークしていた溝口が彼をフリーにしてしまい、弓場堅真からのスルーパスを通され、3点目を献上。本当に悔やまれる結末を強いられたのだ。試合後、反省を口にした。
「『鹿島の基準』を分かっている自分が…」

鹿島アントラーズで百年構想リーグを戦った溝口修平(中央)【写真:Getty Images】
「『前に前に』と取りに行かなきゃいけない気持ちが強かった中で、優先順位のところを含めて甘さが出たかなと。結局は1対1だったり、対面の相手に負けないところが大事なんで、自分の責任を強く感じます。
『鹿島の基準』を分かっている自分がこういうやられ方をしちゃいけない。そう強く思います」
開幕戦でJリーグ初得点を挙げたのも束の間、彼は新天地で守備の課題を突き付けられたのである。
鹿島時代を振り返ってみても、溝口は攻撃面では魅力的な部分を数多く備えていたが、守備面ではやや見劣りする部分があった。クラブ側や鬼木達監督も課題を克服してほしいと願っていたことだろう。
百年構想リーグでは9試合に出場し、日本代表経験のある小川諒也より序列的に上という時期もあったが、安西幸輝という安定感のある選手がいたら、溝口がコンスタントにプレーの機会を得るのは難しくなる。
そんな事情もあって、彼は「若手が成長できる環境」と評価の高いヴェルディに新天地を求める決断を下したのである。
「2022年に鹿島のトップに上がってから3年くらいは食らいつくのに必死だった。偉大な先輩の背中を追って成長もできたし、チャンスももらえましたけど、いつまでもその関係性のままでいられるわけじゃない。『自分が追い越してチームを引っ張れる存在になりたい』という思いでここに来ました」と溝口は神妙な面持ちで言う。