
サンフレッチェ広島 鈴木章斗【写真:Getty Images】
新天地で壁にぶつかった半年間は、鈴木章斗にとって決して遠回りではなかった。自らの武器を見つめ直し、指揮官の要求に応え続けた先で、今季は背番号10として攻撃をけん引。浦和レッズ戦で奪った2ゴールには、湘南ベルマーレ時代から積み重ねてきた成長の跡が凝縮されていた。日本代表、そしてその先にある2030年ワールドカップ(W杯)へ。23歳のストライカーが、新たなステージへ踏み出している。(取材・文:元川悦子)[2/2ページ]
「彼みたいな選手が代表に…」

北中米W杯に出場したサッカー日本代表の鈴木淳之介【写真:Getty Images】
実際、FIFAワールドカップ2026(W杯北中米大会)には湘南時代の同期・鈴木淳之介が参戦。その事実は鈴木にとっても大きな意味のある出来事だったはずだ。
「淳之介はもともと持っているものがありましたけど、『彼みたいな選手が代表に入っていくんだ』と強く感じました」と彼は今年1月、神妙な面持ちで語っていた。
しかし、その鈴木淳之介でさえも、日本代表ではサブという位置づけに甘んじた。もちろん重要なラウンド32・ブラジル戦の66分から投入されたのだから、森保一監督の信頼はつかんでいたということになるが、持てる力を十分発揮できたかというと、そうとも言い切れないところがあった。
しかも、久保建英(レアル・ソシエダ)に「おそらく4年後も同じメンバーで戦うことになる」と言われたのだから、彼ら2003年世代としては奮起しないわけにはいかない。
日本屈指の点取り屋となるために必要なこと

サンフレッチェ広島 鈴木章斗【写真:Getty Images】
鈴木は今季広島で得点王に輝き、チームに11年ぶりのリーグタイトルをもたらし、同じルートで海外に羽ばたいた大橋祐紀(ブラックバーン)、田中聡(シャルケ)のように大舞台にチャレンジ。4年後の2030年W杯をつかみ取るのが理想的なシナリオと言える。
そのためにも、目の前の課題を1つ1つ克服し、着実な進化を遂げなければならない。
「トップをやるうえで、監督からはもっとランニングを増やしてほしいと言われましたけど、シャドーでもそれは変わらない。
そこは自分の課題でもあると思うので、もっと裏抜けで行けるシーンを増やしたいですね」とも背番号10は話したが、そうやってマルチな能力に磨きをかけ、誰もが認める日本屈指の点取り屋に登り詰めること。それが今の鈴木に託された重要命題だ。
彼には際限ない伸びしろが感じられるだけに、ここからの動向が非常に興味深い。まずは22日の次戦・川崎フロンターレ戦での今季4点目を奪うところから全てが始まる。
(取材・文:元川悦子)
【著者プロフィール:元川悦子】
1967年、長野県生まれ。94年からサッカー取材に携わり、ワールドカップは94年アメリカ大会から2022年カタール大会まで8回連続で現地に赴いた。「足で稼ぐ取材」がモットーで、日本代表は練習からコンスタントに追っている。著書に『U-22』(小学館)、『黄金世代』(スキージャーナル)、「いじらない育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(NHK出版)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)などがある。
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【了】
