横浜F・マリノスの角田涼太朗【写真:Getty Images】
横浜F・マリノスのDF角田涼太朗が、左サイドバックという新たなポジションに挑んでいる。センターバックを主戦場としてきた27歳は、スティーブ・コリカ監督のもとで左サイドバックに挑戦。16歳の三井寺眞との左サイドの縦関係を築きながら、守備だけでなく攻撃面でも新たな可能性を探っている。背番号22は、新生マリノスとともに、自身のプレーの幅を広げようとしている。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ]
【2026/27明治安田J1リーグ第3節】
2026年8月22日 横浜F・マリノス 1-0 ヴィッセル神戸
(日産スタジアム)
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CBが本職の角田涼太朗が左SBに

開幕から3戦連続で左SBとしてスタメン出場を果たした角田涼太朗(後列右から3番目)【写真:Getty Images】
2022年のJ1制覇、2022-23シーズンAFCチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)準優勝の後、下降線を辿っていた横浜F・マリノス。2025年は序盤から下位に低迷。J2降格危機に瀕するなど、オリジナル10の名門クラブとしてはありえない戦いを強いられたのだ。
何とか残留を決め、迎えた2026年明治安田J1百年構想リーグ。クラブOBの大島秀夫監督が続投したが、EAST・7位、最終順位13位という厳しい形でフィニッシュすることになった。
この結果を踏まえ、クラブは2026-27シーズンはシドニーFCやオークランドFCを率いていたスティーブ・コリカ監督を招聘。新たなスタートを切る決断を下した。
そのオーストラリア人指揮官は斬新なチーム作りを見せている。16歳・三井寺眞、法政大学在学中の松村晃助、昨季まで出番の少なかった近藤友喜をスタメンに抜擢。新たな風をもたらすと、ここまでセンターバック(CB)を本職にしていた角田涼太朗を左サイドバック(SB)で起用。これまでとは異なる最終ラインを形成しつつあるのだ。
8月7日の開幕・鹿島アントラーズ戦は、一時3-1までリードしながら、3-4にひっくり返される結果となり、90分間のゲームマネージメントや守備組織の連係に課題を残した。それでも、続く8月15日の清水エスパルス戦、22日のヴィッセル神戸戦はともに1-0で連勝。2試合連続クリーンシートと着実に守りが落ち着いてきた印象もある。
「神戸は主力が沢山いなかったり、まだ紙一重なところがあるので、手放しで喜べるほどではないのかなと個人的には思いますけど、2試合連続1-0で勝てたのはポジティブなことですね」と角田は安堵感を吐露した。
目下、堅守の一翼を担っている背番号22。だが、左SBに陣取った経験は、筑波大学1年時、そしてマリノス入り直後の短期間しかないという。
16歳の才能を活かすために。「自分の中ではもう少し余裕がほしい」

開幕から3試合に出場し、すでに2ゴールを挙げた16歳の三井寺眞【写真:Getty Images】
「本格的にここまで連続でやっているのは今回が初めてです。正直、走る量が全然違うし、キツイなと(苦笑)。(相手の攻撃の)クローズのために入るCBとは違って、運動量だったり、走りからだったりも変わってきます。
そこの難しさみたいなのはひしひしと感じます。それでも楽しんでやるしかないので、前向きに取り組めています」と本人は迷いや困惑がありつつも、全力で新たな役割と向き合っていることを明かす。
今は戸惑いの方が大きいだろうが、レフティ・角田には精度の高い左足のキックがあるし、強固な守備力もある。185センチというサイズも含めて、大型左SBとしてのポテンシャルは少なくないはずだ。
「自分の中ではもう少し余裕がほしい。SBとしての体力はやりながら慣れていくしかないですね。もう少しボールを持ったときの選択肢も増やしたい。今は前に(三井寺)眞がいて、ボランチに(松村)晃助も入っていて若い選手が多いので、僕のサイドから彼らとうまくコネクトすることが重要かなと思います。
マリノスの場合、右サイドの(井上)大聖と(近藤)友喜の縦関係が1つの強みなので、そこをうまく活かしつつ、相手が寄ったところで自分ら左が前に出ていくといった関係性が作れればいい。そこは監督も言っている部分なので、ここからですね」と彼自身も周囲との関係性を活かしながら、自分らしさを発揮していく構えだ。
「僕としても眞にあまり守備の負担をかけたくない」

左SBでの出場は「本格的にここまで連続でやっているのは今回が初めて」という横浜F・マリノスの角田涼太朗【写真:Getty Images】
実際、2010年生まれのアタッカー・三井寺が開幕3戦で2ゴールを奪えているのは、後ろに守備力のある角田がドンと構えているのが大きいだろう。三井寺も「自分の後ろにいる角田選手とか、ボランチの選手がすごく声をかけてくれるので、ハッキリとプレスに向かえている。そこはすごくありがたいです」と感謝の言葉を口にしていた。
「僕としても眞にあまり守備の負担をかけたくない。頑張って守備をしてくれていますけど、少しでもやりやすいようにさせてあげたい。チームの決まり事はありますけど、ある程度のところまで自分がカバーするというのが頭にあるし、ギリギリの駆け引きの中でやっています」とも発言。
若き才能のポテンシャルを最大限に引き出しながら、新生マリノスの新たな左サイドを構築し、角田自身も輝こうとしているという。
今、彼にとって一番参考になるJリーグの選手はFC町田ゼルビアの中山雄太ではないか。
中山は目下、3バックの左を主戦場にしているが、状況によってはボランチでもプレー。4バックになればCB、左SBも高いレベルでこなせる。今季の中山は「もう1回代表に入りたい」と野心を燃やし、攻撃面を研ぎ澄ませようとしているが、角田も同じような方向性で進めるのではないか。そんな期待感も抱かせてくれるのだ。