サッカーにおいて、ポジション変更(コンバート)は選手のキャリアを大きく左右する。慣れ親しんだ役割を離れることは大きなリスクを伴う一方、それまで眠っていた才能が開花するきっかけにもなり得るからだ。実際、ポジション変更を機に評価を一変させ、世界屈指の名手へと上り詰めた選手もいる。今回は、ポジション変更によって新たな境地を切り開いた選手を紹介する。[4/5ページ]
MF:ジョエリントン
生年月日:1996年8月14日(30歳)
ポジション変更:フォワード→ミッドフィルダー
【期待外れだったストライカー】
クラブ史上屈指の“失敗補強”から、中盤に欠かせない存在へ。ジョエリントンほど、ポジション変更によって評価を一変させた選手も珍しい。
30歳のブラジル人ミッドフィルダーは、2014年に母国のスポルチ・レシフェでプロデビュー。そこからホッフェンハイムやラピード・ウィーンを経て、2019年にニューカッスル・ユナイテッドへ加入した。移籍金は当時クラブ史上最高額となる4350万ユーロである。
ニューカッスル加入前の同選手は、センターフォワードやウイングとして起用されており、その強みは身長186cmの恵まれた体格を生かしたボールキープや前線からの守備。得点力に優れた選手ではなかったとはいえ、そのポジションと高額な移籍金から攻撃面での貢献が期待されていた。
ところが、プレミアリーグ初年度は38試合でわずか2ゴール。期待に応えられず、“失敗補強”の烙印を押されかけていた。
【偶然から生まれた天職】
転機は、アクシデントによって訪れる。2021/22シーズンのプレミアリーグ第14節ノリッジ戦、ニューカッスルは試合開始9分に味方選手が一発退場となる危機を迎えた。
エディ・ハウ監督は緊急措置としてジョエリントンを中盤に配置したが、同選手はこのポジションで強靭なフィジカルや豊富な運動量、ボール奪取能力を存分に発揮。中盤への適性の高さを示し、以降は同ポジションでの起用が定着した。
彼のチャントには、「He’s Brazilian, He only cost 40 million…(彼はブラジル人、移籍金はたったの4,000万ポンド…)」というフレーズがある。かつて批判の的だった高額な移籍金は、いまやサポーターから愛されるチャントの題材だ。
フォワードとして挫折を経験したジョエリントンは、偶然のコンバートをきっかけに中盤という“天職”を見つけたのである。

