サッカーにおいて、ポジション変更(コンバート)は選手のキャリアを大きく左右する。慣れ親しんだ役割を離れることは大きなリスクを伴う一方、それまで眠っていた才能が開花するきっかけにもなり得るからだ。実際、ポジション変更を機に評価を一変させ、世界屈指の名手へと上り詰めた選手もいる。今回は、ポジション変更によって新たな境地を切り開いた選手を紹介する。[5/5ページ]
FW:ドリース・メルテンス
生年月日:1987年5月6日
ポジション変更:ウイング→センターフォワード
【小柄なウインガーに訪れた転機】
一見すると無謀にも思えるポジション変更が、ナポリ史上最多得点者を生み出した。
オランダのユトレヒトやPSVアイントホーフェンで評価を高めたドリース・メルテンスは、2013年7月にナポリへ完全移籍。スピードと俊敏性、テクニックを兼ね備えたドリブラーだったが、同じ左ウイングを主戦場とするロレンツォ・インシーニェが台頭すると、徐々にベンチスタートが増えていった。
転機が訪れたのは2016/17シーズンだ。
ナポリはチームのエース、ゴンサロ・イグアインをユヴェントスに引き抜かれ、その後釜として獲得したアルカディウシュ・ミリクも同年10月に左膝前十字靱帯を損傷。センターフォワード不足に陥ったマウリツィオ・サッリ監督は、その解決策としてメルテンスに目を付けた。
【「偽9番」で得点力が爆発】
身長169cmの小柄なウインガーを、屈強なセンターバックが待ち構える最前線へ。意外な選択だったが、この抜擢によってメルテンスの得点力は一気に開花する。
2016/17シーズンのセリエAでは35試合28ゴール9アシストを記録。エディン・ジェコ(当時ローマ)にわずか1点及ばず得点王こそ逃したものの、それまでのウインガーというイメージを完全に覆した。
もっとも、典型的なセンターフォワードのように最前線へ張り続けたわけではない。いわゆる「偽9番」として中盤の組み立てに顔を出し、狭いエリアは持ち味であるドリブルや味方とのコンビネーションを駆使して打開。ウインガー時代からの武器を生かしながら、新たな得点源として攻撃を牽引した。
最終的にメルテンスはナポリで公式戦397試合148ゴール90アシストを記録。ディエゴ・マラドーナやマレク・ハムシク、インシーニェら名だたる実力者たちを上回り、クラブ歴代最多得点者まで上り詰めている。
【著者プロフィール:編集部】
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