サッカーにおいて、ポジション変更(コンバート)は選手のキャリアを大きく左右する。慣れ親しんだ役割を離れることは大きなリスクを伴う一方、それまで眠っていた才能が開花するきっかけにもなり得るからだ。実際、ポジション変更を機に評価を一変させ、世界屈指の名手へと上り詰めた選手もいる。今回は、ポジション変更によって新たな境地を切り開いた選手を紹介する。[1/5ページ]
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FW:知念慶(ちねん・けい)
生年月日:1995年3月17日
ポジション変更:センターフォワード→ボランチ
【ストライカーからまさかの転身】
屈強なフィジカルを武器にゴールへ迫っていたストライカーは、30歳を目前にして全く異なる才能を開花させた。知念慶のキャリアを大きく変えたのは、鹿島アントラーズで迎えた2024シーズンだった。
愛知学院大学から2017年に川崎フロンターレへ加入した知念は、長らくフォワード(FW)としてプレーしてきた。2020年の大分トリニータへの期限付き移籍を経て川崎に復帰し、2022シーズンにはJ1リーグで自己最多の7得点。翌年から鹿島へ活躍の場を移した。
ランコ・ポポヴィッチ監督が就任した2024年に転機が訪れる。宮崎キャンプ中にMF柴崎岳が負傷すると、知念がボランチとしてテストされたのだ。
当初は緊急措置の色合いもあったが、ポポヴィッチ監督は知念のフィジカル能力や基礎技術などを評価。前線ではなく中盤の底で継続的に起用する大胆なコンバートに踏み切った。
【リーグ屈指のボランチへ】
これが見事にハマる。FW時代に培った対人能力や身体の強さは、中盤でボールを刈り取る際の武器として躍動。2024シーズンはリーグ戦33試合に出場し、「デュエル勝利数」は2位に大差をつけるリーグ最多の138回を記録した。
さらに同年のJリーグアウォーズでは、自身初となるベストイレブンを受賞。シーズン開幕時にFW登録だった選手は、わずか1年でリーグ屈指のボランチへと変貌したのである。
その後もボランチとして出場を重ね、今年6月に横浜F・マリノスへ完全移籍。加入時の登録ポジションは「MF」である。30歳前後にして、選手としての価値を大きく高めたポジション変更。近年のJリーグでは最も鮮やかな転身の一つと言えるだろう。

