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「質が落ちる部分もある」6人変更の柏レイソル。後半頭の3枚替えでもエンジンがかからなかった理由。“個”を生かすローテーションとは【コラム】

先発メンバーを6人入れ替えた柏レイソル
横浜F・マリノスに敗れた柏レイソル【写真:Getty Images】



 柏レイソルは6日、横浜F・マリノスに0-2で敗れた。前節から先発6人を変更し、1点を追う後半開始からは一気に3枚を交代。それでも、なかなかエンジンはかからなかった。ただ、この敗戦を単純な「ターンオーバー失敗」で片づけることはできない。抜擢された選手だからこそ生まれた違いがある一方、ここまで主力として活躍している選手から珍しいミスも出た。そしてマリノスもメンバーを入れ替えながら、柏の変化を想定して準備していた。4大会を戦う柏が、“個”を生かすローテーションを実現するために必要なものとは何なのだろうか。(取材・文:高橋大地)[2/2ページ]

マリノスは柏の『変化』を想定していた

柏レイソル 小泉佳穂
柏レイソル 小泉佳穂【写真:Getty Images】


 そして、この試合を「柏がうまくいかなかった」という視点だけで捉えるべきでもないだろう。

 対戦相手のマリノスもまた、先発を3人入れ替えていた。

 スティーブ・コリカ監督は、そのフレッシュな3人について「要求していることを完璧に遂行してくれました」と評価している。実際、そのうち宮市と二田がゴールを決めた。

 ただ、柏との違いを考えるうえで、より興味深かったのは別の言葉だった。

「相手は我々がゲームプランを持ってやっていく中でも変えながらやってくるだろうなという想定をしていました」

 マリノスは、柏が試合の中で選手を替え、動き方を変えてくることまで想定していた。

 だからこそ大事にしていたのが、自分たちの守備の原則だった。

「相手が動きを変えてきても、どう前から行き続けるか。そういったことを大事に、守備のところでやりました。それがうまくはまった部分はあったと思います」

 柏は後半開始から一気に3人を投入した。しかし、マリノスはその変化によって大きく後手に回ることはなかった。

 相手が人を替えれば、立ち位置や特徴も変わる。それでも「前から行き続ける」という自分たちの原則は変えない。

 その準備があったからこそ、柏の3枚替えにも対応することができたのだろう。

 そして、その直後に二田が追加点を奪った。

 柏は先発を6人替え、マリノスも3人を替えた。柏はさらに試合中にも3枚を一気に替えた。それでも結果は対照的だった。

 もちろん、この一戦だけで両チームのローテーションの成否や準備の優劣まで断定することはできない。

 ただ、少なくとも「何人替えたか」だけでは結果を説明できない。

 マリノスでは、入れ替わった選手がチームから要求されたことを遂行しながら、それぞれの特徴も発揮した。一方で、相手が変化しても「前から行く」というチームの原則は失わなかった。

 人を替えることと、新たな武器をチームに加えることは、同じではない。

「個に依存する」と「個を生かす」は違う

柏レイソル 中川敦瑛
柏レイソル 中川敦瑛【写真:Getty Images】


 柏とマリノスの試合を取材した後、同じ夜に行われたバレンシア対バルセロナを見ながら、改めて頭に浮かんだのは「個」をどう生かすかということだった。

 この日のバルセロナでは、ロドリがさまざまな位置でボールを引き出し、ゲームの中心にいた。

 ただ、それも周囲が適切な立ち位置を取り、相手を押し込む構造があってこそ生きる。

 「個に依存する」ことと、「個を生かす」ことは違う。

 誰が出ても、まったく同じプレーをする必要はない。

 むしろ、チームとして変わらない原則があるからこそ、その上に弓場のクロスや中川の推進力といった異なる武器を重ねることができる。

 今季の柏にとって、ローテーションをしないという選択肢はない。

 だからこそ問われるのは、「誰を替えるか」だけではない。

 チームとして何を変えず、選手によって何を変えるのか。一人が動いたとき、周囲がどう連動するのか。そして、それぞれの“個”が最も生きる状況を、チームとしてどう作るのか。

 選手を入れ替えるだけでは、総力戦にはならない。

 弓場が示したクロスという武器がある。中川にはボールを失わず、自ら運んで局面を変えられる力がある。ほかの選手にも、それぞれ違った特徴がある。
 そうした“個”を消して全員を同じ型にはめることが、ローテーションではないはずだ。

 チームとして共有する原則と連係が土台にあり、その上で一人ひとりの特徴をどう生かすのか。

 4大会を戦う柏が目指すべきローテーションとは、そういうものなのではないだろうか。

 マリノス戦の0-2は、柏がローテーションを単なる「選手の入れ替え」ではなく、“個”を生かす本当の武器へ変えていくための課題を映し出した一戦だった。

(取材・文:高橋大地)

【著者プロフィール:高橋大地】
1988年7月生まれ、東京都出身。株式会社カンゼンWEB局編集局長。WEBサイトおよび書籍の編集者として活動し、『ジュニアサッカーを応援しよう!WEB』編集長、『競馬チャンネル』初代編集長、『ベースボールチャンネル』編集長などを歴任。サッカーをはじめとするスポーツ分野を中心に、編集・取材・執筆を行う。週末は少年サッカーの現場でボランティアコーチとして活動。育成年代のスポーツ環境づくりや地域スポーツの普及・発信にも取り組んでいる。

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