
浦和レッズの稲垣篤志【写真:Getty Images】
浦和レッズが開幕3連敗から3連勝を達成した。その3連勝目となった鹿島アントラーズ戦で明治大学在学中の稲垣篤志がJリーグ初先発を果たした。浦和のアカデミーで育ち、2027年からの加入が内定している21歳は、鹿島戦で味わった45分間をどう振り返ったのか。(取材・文:河治良幸)
【2026/27明治安田J1リーグ第6節】
2026年9月6日 鹿島アントラーズ 0-1 浦和レッズ
(メルカリスタジアム)
月額最安値で視聴するならDMM×DAZNホーダイ[PR]
Jリーグ初先発とシステム変更が重なっても

稲垣篤志は第6節・鹿島アントラーズ戦でJリーグ初先発を果たした【写真:Getty Images】
浦和レッズが鹿島アントラーズを1-0で下した一戦で、明治大学在学中の稲垣篤志がJリーグ初先発を果たした。
浦和のアカデミーで育ち、明治大学を経て2027年から浦和への加入が内定している21歳。今季は特別指定選手として登録され、8月15日のサンフレッチェ広島戦でJリーグデビュー。今回の鹿島戦では右ウイングバックとしてスターティングメンバーに名を連ねた。
浦和はそれまで基本としていた4バックから3バックに変更して試合に入った。初先発とシステム変更が重なったが、稲垣自身は役割に大きな違いを感じていなかったという。
「サイドバックでもウイングバックでも、自分の役割はあまり変わりません。前に行くところや守備の部分は、いつもやっていることなので、そこはあまり動揺したり、困ったりすることはありませんでした」
この日の浦和は3バックを採用し、高い位置から鹿島の選手を捕まえにいった。ウイングバックにも、状況に応じて前へ出て相手にプレッシャーをかける役割があった。
稲垣が右サイドで主に対峙したのは小川諒也。左足からのクロスを持つ相手の特徴は、試合前から頭に入れていた。
「きょうマッチアップした小川選手は左足のクロスを持っているので、自分も試合前に意識して臨みました。クロスを一本上げられたシーンがあったんですけど、特徴もわかっていたので、もう少し距離が詰められたのかなと思いました」
相手が鹿島だからと必要以上に意識することは避け、1対1では相手の特徴とチームとしての守り方に合わせてプレーしたという。一度クロスを許した場面を課題として挙げる一方、その手前で相手へ出て攻撃を止められた場面については、今後につなげられる部分として捉えている。
稲垣篤志がJ初先発で得た守備の経験

稲垣篤志は右サイドで主に小川諒也(写真右)と対峙した【写真:Getty Images】
「クロスに行く前に自分がつぶせていたシーンが何回かあったと思いますし、そこは今後につなげられると思います。相手が縦にえぐったときに、どう対応するかや相手の特徴を試合中に考えて判断し、その精度を上げていきたいです」
守備時には5バックになる時間もあったが、浦和は最終ラインを下げ過ぎずに対応した。その中で稲垣が助けられたと振り返ったのが、右センターバックに入った宮本優太のラインコントロールだった。
「ミヤくん(宮本優太)がすごいラインコントロールをしてくれたので、自分もそれについていくのが必死でしたけど、コントロールしてくれていたので、そこは助かっていました」
Jリーグで初めて先発する稲垣にとって、宮本のライン設定に合わせて動くことも、この試合で求められた仕事の一つだった。
浦和は20分にオウンゴールで先制。鹿島も時間の経過とともにボールを前へ運ぶようになったが、前半は1-0のまま終了した。稲垣はハーフタイムまでプレーし、笹修大と交代となった。
本人は試合後、「試合を通して、もっとやっていかないといけないと思いました」と振り返っている。特に課題として挙げたのが攻撃面だった。
「自分としてはクロスを上げたかったです。久々の試合だったので、試合勘があまりなくて緊張していました。もっともっと自分の特徴である前線への関わりを出していきたいです」
右サイドでは金子拓郎と縦の関係を組んだ。攻撃面では、前線への関わりをもっと増やしたかった。クロスを上げる場面や、前へ出ていくタイミングを含め、実戦を通じて感覚を高めていく必要性を感じていた。
「対鹿島でデビューできたというのは…」浦和アカデミーで育った稲垣篤志が感じたこと

2027年から浦和レッズに加入が内定している稲垣篤志【写真:Getty Images】
「サイドバックだったら金子拓郎くんが前にいるんですけど、試合前から仕掛けていいと言われていました。そういう場面は少なかったんですけど、そういった部分ももっと試合に出られるようにアピールして、拓郎くんとも合わせられるようにしたいです。あとは自分のオーバーラップしたタイミングをもっともっと試合を通じて経験していけたらと思います」
サイドバックとウイングバックでは立ち位置が変わる部分もある。その中で前にいる選手との関係を見ながら、どのタイミングで外側を追い越すのか。本人が「試合を通じて経験していけたら」と話したように、実戦の中で高めていく部分になる。
また、試合中は「鹿島だから」ということを考えないようにしていた一方、浦和のアカデミー出身者として、鹿島との対戦には以前から意識があったという。
「自分は浦和レッズのアカデミー出身なので、アカデミーの頃から鹿島を意識しています。スタメンデビュー戦ということで、自分としても良い機会だったと思っていますし、勝ったことも大きいです」
稲垣は後半をベンチから見守った。鹿島が同点を狙ってゴールへ迫る場面もあったが、浦和は1-0のまま試合を終え、鹿島のホームでは2016年11月以来となるリーグ戦勝利を挙げた。
「後半の最後に、『We are Reds』の声が上がったときには、自分の気持ちも高まりました。後半はピンチもありましたけど、そういう応援や鹿島への思いがゲームの内容につながったのではないかと思います」
初先発が鹿島戦になったことについても、稲垣は特別な経験として受け止めている。
「スタメンデビュー戦という特別な思いももちろんありますけど、対鹿島でデビューできたというのは、自分としても良い経験になったと思います」
右ウイングバックとしてプレーした前半の45分間。守備では小川とのマッチアップや宮本とのライン設定を経験し、攻撃ではクロスやオーバーラップをもっと増やしたかったという課題が残った。Jリーグ初先発を1-0の勝利で終えた一方、本人の視線はすでに次の出場機会と、自身の特徴をより出していくことに向いていた。
(取材・文:河治良幸)
【著者プロフィール:河治良幸 フリーライター】
東京都出身。サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で日本代表を担当し、プレー分析を軸にグローバルな視点でサッカーの潮流を見続ける。セガ『WCFF』の選手プロフィールを担当。著書に『勝負のスイッチ』『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』『サッカー番狂わせ完全読本ジャイアントキリングはキセキじゃない』がある。TwitterIDは@y_kawaji
Jリーグ|順位表・試合日程・結果・移籍情報・得点ランキング・アシストランキング【2026/27】
「何のために来たと思っているんですか」新加入・瀬古樹、浦和レッズで見せた“余裕”「川崎にいたときの瀬古とは違うな、と」【コラム】
「スタメンで使ってくれ」浦和レッズ、肥田野蓮治がぶつけた思い。譲れないポジション争いへ「熱い思いを持った選手がピッチに立つべき」【コラム】
【了】
