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「自分は決める気で打った」ジェフ千葉・矢村健、ライバル・エリソンのゴールでも喜びを爆発させた理由。「2点目、3点目を取って突き放す」【コラム】

シリーズ:コラム text by 石田達也 フリーライター photo by Getty Images
ジェフユナイテッド千葉 矢村健

ジェフユナイテッド千葉の矢村健【写真:Getty Images】



 前節、開幕5連敗からようやく初勝利をつかんだジェフユナイテッド千葉。18シーズンぶりとなるJ1連勝を目指した東京ヴェルディ戦で、矢村健は先制点につながるシュートを放った。土壇場で勝利を逃した一戦の後、ストライカーの口から出てきたのは、悔しさだけではない。今の千葉に必要なものを、矢村はどう捉えているのか。(取材・文:石田達也) 

【2026/27明治安田J1リーグ第7節】
2026年9月13日 東京ヴェルディ 1-1 ジェフユナイテッド千葉
(味の素スタジアム)

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「勝ちをつかみきれなかった要素が、また出たかな」

26年9月13日 東京ヴェルディ対ジェフユナイテッド千葉より 千葉イレブンショット

9月2日のファジアーノ岡山戦から3試合連続先発出場を果たしている矢村健(下段左から3番目)【写真:Getty Images】


 ともに勝点3で並び、降格圏脱出を狙う19位の東京ヴェルディと20位のジェフユナイテッド千葉の対戦は1-1のドローで終わった。

 多くの選手がバスに乗り込んだあと、取材エリアであるミックスゾーンに姿を現したFW矢村健は、この試合を次のように振り返っている。

「セカンドボールや長いボールの戦いになることを全員が意識して入った中で先制できたのはチームとして大きかったです。

 ただ、アディショナルタイムにああいう形で失点するところでは、前節(ガンバ大阪戦)とルヴァンカップ(カマタマーレ讃岐戦)でしっかり自分たちの(連敗の)流れを止めた中で勝ちをつかみきれなかった要素が、また出たかなという感じではあるかなと思います」

 千葉は開幕5連敗と苦しんだなか、前節のガンバ戦で待望の今シーズン初勝利を挙げ、18シーズンぶりのJ1リーグでの連勝を狙って試合に入った。

 9分、FW石川大地のプレスからボールを奪うと、そのままMF津久井匠海がドリブルで運び、MF杉山直宏にラストパスを送る。杉山が左足でフィニッシュするも、ボールは相手キーパーの正面となった。

 その後は走力とインテンシティの部分でヴェルディが上回り、前半の千葉のシュート数は2本。一方のヴェルディは9本と好機を作られた。

「長いボールの後の中盤でのセカンドボールの攻防をどちらが拾うかによって、ゲームの流れが、どちらが取るかになってくるのはわかっていました。その中で選手たちはしっかりやれることはやれたと思います。とは言え、少しずつパワーや技術の差のところで、前半、自分たちが押し込まれる展開になりました」(小林慶行監督)

 45分にはコーナーキック(CK)からピンチを迎えたものの、GKホセ・スアレスがファインセーブを見せるなど、スコアレスのままハーフタイムを迎える。

 だが、後半もヴェルディが主導権を握り、攻撃の形を作れない時間が続いた中で58分、千葉が試合を動かす。

「自分は決める気で打った」。矢村健が見せたストライカーの矜持

ジェフユナイテッド千葉 矢村健

東京ヴェルディ戦で激しく競り合う矢村健【写真:Getty Images】


 DF石尾陸登の縦パスに合わせ、走り込んだ矢村がダイレクトで右足を振り抜く。GKマテウスに阻まれるも、ゴール前のこぼれ球をFWエリソンが落ち着いて左足で蹴り込んだ。

 エリソンのポジショニングもさることながら、小林監督が「矢村のランニングが非常に良かった」と評するように、矢村の動き出しとフィニッシュワークが見事だった。

 最後の局面でクロスという選択もあったと思うが、“ゴールを決める”という姿勢はストライカーとしての本能が表れていた。

「そこはチームとしても狙っているところですし、石尾選手が持ったときにスペースが空いているのが目に入ったのでランニングをしました。あの形からシュートを打てるのは自分の特長でもあります。

 なかなかチームとしてシュートがなかったので、振り抜いてファーサイドに打てば、こぼれたときは誰かがいるという感覚はもちろんありました。自分は決める気で打ったので、そこは悔しいですけど、それでもエリソンの初ゴールで得点をして、自分たちがそういう意味で優位にゲームを運べたのは良かったです」

 得点後、矢村は自分のゴールかのように右手を上げて何度もガッツポーズ。エリソンの後を追いかけ、コーナーフラッグ付近で闘牛パフォーマンスをともに披露し、喜びを爆発させた。

「エリソンはパワー、スピードもあるし、味方としては頼もしい。でも、僕もストライカーなので、そこは少し色が違います。やっぱりライバルですけど、チームメイトでもあります。

 きょうのゴールは本当に嬉しかったですし、だからこそ勝ち切りたかったという思いもあります。いろいろな形でお互いが点を取れれば、チームが負けることはないので、そこは切磋琢磨していきたいです」

「2点、3点を取り返す姿を見せないと」。矢村健が思い描く千葉の強さ

ジェフユナイテッド千葉 矢村健

前節のガンバ大阪戦で移籍後初ゴールを決めるなど、存在感を高めている矢村健【写真:Getty Images】


 この日に限らず、ここまでの存在感は際立っている。自慢の運動量を活かしたスプリントは繰り返し、的確なタイミングで裏を突く。ゴール前での豪快でアクロバティックなシュートや技巧的なプレーはもちろん、ボールを失えば一気に戻り、プレスバックでピンチの芽を摘む。

 そうした光景も今では珍しいものではなくなった。何より千葉のフィニッシュワークに不可欠な存在となっている印象を受ける。

 その後、1点のビハインドを追いかけるヴェルディに押し込まれる展開となりながらも、高い集中力を保った守備で時計の針を進めた。

 だが、90+2分にCKのこぼれ球をDF林尚輝にヘディングで押し込まれ、同点弾を献上してしまう。

 最下位脱出のために欲していた勝点3は、終わってみれば勝点1を分け合う結果となった。

「あの時間帯だったので、負けたような雰囲気はやっぱりあるのが率直なところですけど、勝点ゼロではなかったというところは良かったのかなと思います。でも、勝点3を取れたというところで、もう1点を取りに行く姿勢を見せないといけない。自分たちがボールを保持する時間や流れを変える場面を出せたと思うので、すごく悔しい勝点1だと思います」
 
 この日のすべてを出し尽くしたが、あと一歩、勝利に届かなかった。83分に退いた矢村はベンチで立ち尽くした。ただ、その姿には、チームを勝利に導くゴールを奪うこと、今シーズンに臨む彼が背負おうとする責任が滲んでいた。

 矢村は、こう続ける。

「J2時代に千葉と対戦し、2点取られても3点取ってくるのが千葉の強さだと思っていますし、J1でもそのメンタリティーを持って戦いたいと思います。連敗の中では先制点を取られると、どうしても落ちてしまう部分があったので、そこで落ちることなく、2点、3点を取り返す姿を見せないといけない。逆に1点を取った後も、2点目、3点目を取って突き放す作業が必要なんだと思います」

 勝点2を失った現実は変えられない。しかし、勝点3を積み上げるチャンスは目の前にある。

 流れを変える存在になれるのか。その期待を託したくなるだけのものを矢村はすでに示している。

(取材・文:石田達也)

【著者プロフィール:石田達也 フリーライター】
千葉県出身。浦和や千葉を中心にJリーグやアマチュアスポーツまで幅広く取材。サッカー専門誌、地域情報誌などにも多数寄稿。「職業サッカークラブ社長」(ベースボール・マガジン社)などの書籍編集を担当。「浦和ACL戦紀」(ELGOLAZO BOOKS)共著がある。

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