サッカーU-21日本代表は30日、第20回アジア競技大会の準決勝でウズベキスタンと対戦し、120分間を1-1で終え、PK戦の末に勝利した。この一戦について、長年にわたり日本代表やJリーグを取材し続けてきた名物記者の元川悦子氏に随時話を聞いた。(語り手:元川悦子)[6/6ページ]
「W杯のブラジル戦みたいです」
――小杉が限界を迎えました。嶋本に左SBをやれという指示が飛びました。
「小杉はもう厳しいですね。事実上、勝ち越しは諦めたと思います」
――こうなると難しいですね。
「あとはピサノに託します」
――120分間を終えて決着つかず、PK戦に突入です。
「前半の入りがもったいなかったですね。あそこで失点していなければ、90分で勝てていた可能性もありました。後半から交代した選手がギアを上げて、何とか延長にもつれこんで、さらに決め切るチャンスもありましたが、大関、嶋本が決め切れずに120分ですね。彼らがいるか、いないかで内容がここまで違ってくるということは、選手層が薄いんでしょう。とくに前線と中盤。大岩さんは齋藤俊輔とかこっちで使いたかったでしょうね」
――PK戦、お互いに5人が蹴り終わりましたが、まだ続きます。
「長いですね」
――まだまだ終わりません。
「ピサノ、なぜ止められない…」
――ウズベキスタンの10人目が外して試合が終わりました!
「いやー、とんでもない試合でした。ただ、本当に前半が大問題ですね、日本は。これを韓国にやられたら取り返せないです。次はガチメンバーでいくしかないですが、交代カードがなくなりますね」
――そうですね。勝ちはしましたけど、失うものも大きかった気がします。
「W杯のブラジル戦みたいです。伊東を先発で使って、交代カードがなくなって…。次、大岩さんはどうするかですね」
――最終ラインは総入れ替えな気がします。
「市原と岡部を温存してますし、そうかもしれないですね」
――大岩監督がフラッシュインタビューに答えています。やはり前半は耐えて後半勝負のプランだったようですね。
「そうみたいですね。ただ、前半もっとやらなきゃダメでしょう。入りがバタバタしすぎです。韓国戦で横山、嶋本、大関を揃ってスタートから使うかどうか。ンワディケは出すにしても、ですね」
――結果としてU-21も主力組と控えの差が大きく出てしまいました。
「本来なら佐藤龍之介とか齋藤、後藤(啓介)、塩貝(健人)がこの世代なので、こっちにきていたらもっと決め手のある人材はいるのですが。毎回アジア大会は主力を呼べないので。今回は自国開催で、欧州組4人っていうのはかなり頑張った方ではないでしょうか。ただ、五輪アジア予選も欧州組は呼べないですし、今回以上に厳しくなりそうですね」
――決勝戦は韓国戦。ズバリどう見ますか。
「厳しいのは間違いないですし、韓国優勢でしょうけど、日本は総力を結集して臨むしかないです。今回の前半のように早く失点していたら難しくなるので、とにかく0-0で長い時間、試合を運ぶことが重要でしょう。韓国から大量点は取れないでしょうし、1-0の勝負かなと」
――大岩監督への不安も出ています。
「ターンオーバーについては物議を醸すところかなとは思いますが、とにかく決勝に余力を残したかったんだとは思います。120分になって疲弊したのをどうリカバーするのか。どういう状況でも勝たないと批判が出るのは、大岩さんも分かっているでしょう」
――本日はありがとうございました。
▽語り手:元川悦子
1967年、長野県生まれ。94年からサッカー取材に携わり、ワールドカップは94年アメリカ大会から2026年北中米大会まで9回連続で現地に赴いた。「足で稼ぐ取材」がモットーで、日本代表は練習からコンスタントに追っている。著書に『U-22』(小学館)、『黄金世代』(スキージャーナル)、「いじらない育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(NHK出版)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)などがある。
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