
広島戦でプロ入り後初めて左サイドバックを務めた、東京ヴェルディMF新井悠太【写真:Getty Images】
右利きながら左サイドバックとして日本代表でも活躍した相馬直樹。その現役時代を想起させる大胆な起用が、東京ヴェルディの新監督として迎えた初陣で見られた。抜擢されたのは、プロ入り後初めて左サイドバックを務める23歳の新井悠太だ。11日のサンフレッチェ広島戦は0-2で敗れ、チームは最下位に転落したものの、新井は持ち味のドリブルから決定機を演出。「今までにいない左サイドバックになれるんじゃないか」。本人と指揮官の言葉から、大胆なコンバートの狙いと新たな可能性を探る。(取材・文:藤江直人)[2/2ページ]
「今までにいない左サイドバックになれるんじゃないか」

2026/27シーズン、9試合中8試合に出場している新井悠太【写真:Getty Images】
相馬監督がイメージしていた通りの展開となり、前半をスコアレスで折り返した一戦は、後半に入って地力を発揮した広島が47分、58分とゴールを連取。ヴェルディをクリーンシートで封じて快勝した。
試合後のロッカールーム。引き分けたジェフユナイテッド千葉と入れ替わり、ヴェルディが最下位に転落した状況はチーム内で共有された。ショックがないと言えば嘘になる。それでも新井は努めて前を向いた。
「前半ではやれる部分と改善しなきゃいけない部分が明確になった。まずはチームがバラバラにならないように、そういったところで崩れないようにしながら、自分たちが勝てるサッカーを目指していきたい」
溝口が途中投入された70分以降は右サイドハーフに回り、フル出場した新井はチーム最多となる2本のシュートを放った。ホームの味の素スタジアムで務めた左サイドバックを試合後にはこう振り返っている。
「イメージしながら臨んだものの、試合でちゃんとできるのか、といった不安もありました。そのなかで実際にプレーしてみて手応えも少し感じましたし、これからも(先入観に)とらわれずに頑張っていきたい」
日本代表で不動の左サイドバックとして活躍し、悲願のワールドカップ初出場を果たした1998年のフランス大会でもプレーした相馬監督が右利きだと聞かされても、新井はちょっとピンとこなかった。
生まれが2003年だから無理もないかもしれない。それでも2002シーズンにはヴェルディでプレーした大先輩に任された左サイドバックを極めたいという思いが、新井のなかで頭をもたげはじめている。
「今までにいない左サイドバックになれるんじゃないか、と。自分のなかではそう思っています」
新体制での初陣を飾れなかった。9試合でわずか4得点はリーグ最少。厳しい数字が並ぶ状況で希望を灯した新井はヴェルディを救うために、新たなポジションで躍動する自身の姿を貪欲に追い求めていく。
(取材・文:藤江直人)
【著者プロフィール:藤江直人】
ふじえ・なおと/1964年、東京都渋谷区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後の1989年に産経新聞社に入社。サンケイスポーツでJリーグ発足前後のサッカー、バルセロナ及びアトランタ両夏季五輪特派員、米ニューヨーク駐在員、角川書店と共同編集で出版されたスポーツ雑誌「Sports Yeah!」編集部勤務などを経て07年からフリーに転身。サッカーを中心に幅広くスポーツの取材を行っている。サッカーのワールドカップは22年のカタール大会を含めて4大会を取材した。
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