
柏レイソル 戸嶋祥郎【写真:Getty Images】
「チームに迷惑をかけたなと思います」。柏レイソルが浦和レッズに4-0で勝利した10月31日、ゲームキャプテンを務めた戸嶋祥郎は、自らの途中交代を悔やんだ。しかし、そのプレーは2つの得点場面にも関わっていた。前節の鹿島アントラーズ戦では守備の修正と攻撃の組み立てに貢献し、浦和戦では鋭いトランジションと攻撃参加で存在感を発揮。リカルド・ロドリゲス監督のサッカーへの適応を模索し、右センターバックも経験した31歳が、いま本職のボランチで自分の武器を生かし始めている。(取材・文:高橋大地)[1/3ページ]
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【2026/27 明治安田J1リーグ 第13節】
2026年10月31日 柏レイソル 4-0 浦和レッズ
(三協フロンテア柏スタジアム)
浦和戦の2得点を陰で支えた戸嶋祥郎

柏レイソルはホームで浦和レッズに4-0と快勝した【写真:Getty Images】
試合後のミックスゾーンで「素晴らしいプレーだったと思いますけど……」と話しかけると、「いやいや、全然です」と謙遜する。
10月31日のJ1第13節、柏は浦和に4-0で快勝し、リーグ戦2連勝を飾った。小泉佳穂、弓場堅真、久保藤次郎、原田亘が得点した一戦で、数字に残らない貢献を見せたのが戸嶋だった。
象徴的だったのは37分の先制点だ。遠藤渓太が左サイドから仕掛けると、戸嶋が前方へ駆け上がって相手守備陣を引きつける。遠藤はその動きを利用してシュートを放ち、ブロックされたボールを小泉が押し込んだ。
「チャンスと思えば追い越していきたかったですし、多分、試合として何回かあるかどうかというチャンスシーンになったと思うので、そこは逃さずにと思って」
戸嶋はそのランニングを振り返り、遠藤の判断についても語った。
「結果的には僕をおとりに使ってくれて、逆を突いてくれましたけど、いいタイミングで出してくれるというのも信じていましたし、彼が選んだチョイスがゴールにつながってくれて良かったと思います」
戸嶋自身はボールに触れていない。それでもダニーロ・ボザを動かし、遠藤がカットインする余裕をつくったフリーランニングは値千金だった。ハーフタイムにはリカルド監督もそのプレーを評価したという。
「監督は『いい追い越しをしてくれて、ナイスプレーだった』というふうに言ってくれたので、自分としてもうれしかったです。後半のいいエネルギーになったかな、と」
68分の追加点でも戸嶋が起点になった。中盤のルーズボールを相手と接触しながらも味方につなぐと、細谷真大が単独で持ち込みシュートを放つ。そのこぼれ球を弓場が拾い、試合を決定づけるゴールを決めた。
「自分が追い越したところが得点につながったり、ルーズボールを拾ったところからつながったりというのもあったので、そういったものは自分の良さだと思います」
こぼれ球への反応、ボールを失った後の切り替えの速さ、前方へのランニング。リカルド監督のサッカーで生命線となるトランジションの局面に、戸嶋の強みが表れていた。
それだけではない。浦和戦ではルーズボールを拾い、惜しいミドルシュートを放った。本人も「ボランチでも1本、2本チャンスが来る分、仕留めたいと思っていた」と振り返る。
さらに、ミドルパスにも戸嶋の持ち味が表れていた。
前半4分、GKからのボールを犬飼智也と杉岡大暉の間で受けると、右サイドの高い位置を取っていた原田亘へ斜めのパスを通した。近くの味方へ短くつなぐのではなく、相手のプレスエリアを一つ飛ばしてボールを届ける。戸嶋らしい、堅実でありながらも積極的なプレーだった。
「自分的には、刺すパスとか、そういうパスというのはチームの中でも特徴として出せる要素があるなと思っていたので。意外性というかちょっと長いパスを入れると相手もひっくり返って、相手にとっては嫌なプレーになる」
チームが求める役割をこなすだけでなく、元々持っていた攻撃面の武器も発揮できるようになっている。
ところが本人は「対面の瀬古(樹)選手にすごく試合を支配されちゃったし、課題はたくさんあるんですけど」と反省を口にした。80分に足がつって交代したことも「すごく反省しますし、チームに迷惑をかけたなと思います」と悔やんだ。
チームが快勝した一戦でも、自らの出来には満足していなかった。
そんな謙虚な姿勢を見せる戸嶋は、前節の鹿島戦でも、チームの勝利を支えていた。