
浦和レッズ 長沼洋一【写真:Getty Images】
浦和レッズが開幕3連敗の苦境を抜け出した。横浜F・マリノスとの打ち合いを制し、4試合目で手にした今季初勝利。結果だけを見れば待望の1勝だが、ピッチ上にはここからの浦和を考えるうえで見逃せない変化もあった。その中で存在感を放ったのが長沼洋一だ。今季の浦和は、この1勝をどう次につなげていくのか。(取材・文:河治良幸)[1/2ページ]
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【2026/27明治安田J1リーグ第4節】
2026年8月29日 浦和レッズ 3-2 横浜F・マリノス
(埼玉スタジアム2002)
「縦へ」の先にある浦和のポゼッション。長沼洋一が示した初勝利の意味

途中出場から決勝点を挙げた浦和レッズの南野遥海【写真:Getty Images】
開幕3連敗を喫していた浦和レッズが、横浜F・マリノスを3-2で破り、4試合目で今季初勝利を挙げた。
2度リードを許しながら追いつき、71分には途中出場の南野遥海が決勝点。そのゴールの起点になったのが、左サイドバックの長沼洋一だった。
マリノスの諏訪間幸成が左から右へ送ったサイドチェンジを、長沼がタイミング良く前に出てカット。そのままマテウス・サヴィオにつなぐと、浦和は間を置かずに縦へ。最後はこぼれ球に反応した南野が押し込んだ。
相手陣で奪い、素早くゴールへ向かう。曺貴裁監督がキャンプから植え付けてきた浦和のスタイルが、決勝点という結果につながった場面だった。
「途中から入ってまた違う形で結果を残すというのは良かったですね」
南野のゴールをそう振り返った長沼だが、その言葉をたどっていくと、この勝利で見えたものは単純な「縦への速さ」だけではない。
むしろ浦和がこれから、その原則に何を加えていくべきなのか。その一つの方向性が見えてくる。
決勝点につながった「良い守備から縦へ」

浦和レッズ 長沼洋一【写真:Getty Images】
立ち上がりから浦和の前への意識は強かった。
5分には長沼自身がドリブルで持ち運んでミドルシュート。GKルベン・ブランコに阻まれたものの、この試合最初のシュートを放った。
「普段も、そういうシーンがあれば仕掛けたいと思っていますし、今日はそういうシーンが多かったです」
現在の浦和がまず求めているのは、相手の陣形が整う前にゴールへ向かうことだ。
「今取り組んでいる中で、縦に速く攻めることは強調されているので、そこはみんな意識していたと思います。やはり、相手の陣形が整う前に攻撃したいという考えはあります」
決勝点は、その考え方が分かりやすく表れた。
ポイントは、サヴィオがボールを受けたところだけではない。その前に長沼が諏訪間のサイドチェンジを読んで前へ出たことで、浦和は高い位置から攻撃を始めることができた。
長沼自身も、「今日は相手陣で奪ってチャンスになったシーンも多かったので、それはそれで前へ速く攻めればいいと思います」と話している。
良い守備によって攻撃開始地点を高くし、奪ったら相手が整う前にゴールへ向かう。3点目は、現在の浦和が目指している攻守のつながりを象徴するゴールでもあった。
「縦へ」が生み出すチャンスとリスク

浦和レッズ 長沼洋一【写真:Getty Images】
一方、同じ試合にはそのスタイルのリスクも表れた。
13分、浦和は自陣で失ったボールをすぐに奪い返し、そのまま前へ出ようとした。しかし縦へのパスをマリノスにカットされると、逆に速い攻撃を受け、近藤友喜のシュートまで持ち込まれた。
長沼はこの日の展開を、「ボールを取られて、取り返して、また取られて」と表現する。
それでも、縦への意識そのものを弱めるべきだとは考えていない。
「そのリスクを冒さないと、やはりチャンスも生まれないと思うので、難しいですけど、そこの精度を上げるだけだと思います」
では、どう精度を上げるのか。
長沼が重要視するのが、奪った直後のボールの動かし方だ。
「僕はずっと言っていますけど、最初の1本目、2本目のパスで、どう広げていくかだと思います。真っすぐに行ってしまうのではなく、どう広がりながら進んでいくかが大事だと思います」
「縦へ速く」と「真っすぐ急ぐ」は同じではない。
特に自陣で奪った場合、相手も即時奪回を狙ってボール周辺へ集まる。そこへ無理に縦パスを差し込めば、再び奪われる危険もある。
最初の1本、2本で密集を外し、そのうえで前へ出る。そのためには後方の選手も攻撃に加わる必要がある。
「後ろの選手がもっと押し上げて、湧いて出ていかなければいけないと思います。そこはサイドの僕だったり、今日は(ダニーロ・)ボザでしたけど、そういう選手に求められるところだと思っています」
ここに、現在の浦和で長沼が担っている役割もある。