川崎フロンターレの大関友翔が、ようやく一つの結果を残した。17日に行われた明治安田J1リーグ第10節のセレッソ大阪戦で、途中出場から今季リーグ戦初ゴールを決め、4-2の勝利に貢献。しかし、その一撃の裏には、本人を突き動かしていた強烈な危機感があった。U-21日本代表では主力として期待される一方、川崎では控えという立場から抜け出せず、同世代の活躍にも焦りを募らせていた。「みなさんに申し訳ないと思っていた」。21歳の大関は何に苦しみ、何を変えようとしているのか。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ]
【2026/27 明治安田J1リーグ第10節】
2026年10月17日 セレッソ大阪 2-4 川崎フロンターレ
(YANMAR HANASAKA STADIUM)
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重要だったセレッソ大阪戦
2025年の長谷部茂利監督就任後、同年のJ1で8位、2026明治安田J1百年構想リーグで10位と、上位に絡めずにいる川崎フロンターレ。今季は「シーズン移行の初代チャンピオンになる」という大目標を掲げてスタートしたが、序盤5戦は1勝3分1敗とまさかの足踏み状態を強いられた。
9月以降、ようやく白星が先行するようになってきたが、ここからもっとギアを上げないと、上位グループ参戦は叶わない。その布石を打つためにも、10月17日の第10節・セレッソ大阪戦は重要な一戦だった。
今回の彼らはいい入りを見せた。
開始10分に三浦颯太のFKからペドロ・ホマーノが相手の背後に飛び込んで先制点をゲット。さらに19分、セレッソの大畑歩夢が一発退場したことで数的優位に立つことができた。
その相手に前半のうちにPKを献上。ルーカス・フェルナンデスに決められ、一時1-1に追いつかれるも、前半終了間際に橘田健人の豪快ミドル弾が生まれ、2-1で試合を折り返すことに成功した。
だが、後半の入りが悪く、開始3分に小見洋太の一撃を浴びて、またも同点に追いつかれてしまう。こういった出入りの激しい試合運びが今季の川崎の課題なのだろう。
それでも彼らにはギリギリのところで仕留める力がある。セレッソが横山夢樹ら切り札を投入しようとした矢先の74分、キャプテン・脇坂泰斗が3点目をゲット。川崎は勝利に大きく近づいた。
このタイミングで長谷部監督に呼ばれたのが大関友翔だ。
「フロンターレで試合に絡めない中で…」
大関は、9~10月にかけて行われたアジア競技大会2026に参戦。攻撃のリーダーとしてチームを引っ張ったが、U-21日本代表は3日の決勝でU-23韓国代表に0-1で敗れ、優勝を逃した。
「フロンターレで試合に絡めない中で『代表で自分を変えてやろう』と思ってここに来ました。剛さん(大岩監督)にはたくさん使ってもらって徐々に感覚もよくなってきたし、前でプレーする意識も多く持てましたけど、韓国みたいに実力のある相手に対してもっと攻撃を組み立てられるような動きをしないとJ1の試合に出れない。日本を勝たせる選手にはなれないなと思いました」
本人はそう悔しさを吐露。川崎に戻って自己研鑽を図っていたのだ。
10月の川崎はJ1、天皇杯、YBCルヴァンカップの連戦の真っ最中。大関は14日のルヴァン杯1stラウンド3回戦・ジュビロ磐田戦では先発起用されたが、リーグ戦では依然としてサブに甘んじていた。
「一つ上の山市(秀翔)もルヴァンですごくアピールしていて、自分の途中出場の座も危ない。本当に結果を残さないと試合に出られないという危機感を持っていました」と大関は強い意気込みを持って、ヤンマー・ハナサカ・スタジアムのピッチに立ったのだ。
スタートポジションは4-3-2-1の左MF。トップ下・脇坂と並びでプレーするのはあまりないケースだった。
「左サイドで入りましたけど、監督からは『中に入っていい』と言われていましたし、守備もしっかりやってくれと指示される中、相手が10人で得点のチャンスはあるかなと思いながら入りました」と彼はより得点への意識を高めつつ、中寄りの位置でプレーした。
その後、川崎は今季ハーフシーズンでの引退が決まっている小林悠、ボランチの河原創が登場。大関は彼らとも息を合わせながら、虎視眈々とゴールを狙い続けたのだ。
それが目に見える結果となって表れたのが、89分だった。
「みなさんに申し訳ないと思っていた」
伊藤達哉と山本悠樹の左サイドでのパス交換から中央の河原にボールが渡り、次の瞬間、大関に目の覚めるような縦パスが入った。
本人は「悠さんが相手を抑えてくれることによって、僕がフリーになった。前を向いたらフリーすぎてビックリしたんですけど、気持ちよくシュートを打てました」と笑顔で振り返っていたが、本当にマークががら空きの状況。しっかりと枠を狙いすまして決め切った今季J1初ゴールは、チームにとってはダメ押しとなる4点目となった。
これで川崎は4-2で勝利。勝ち点3を積み上げて16に伸ばし、首位・サンフレッチェ広島と7差と少し距離を近づけることができた。
「自分はここまで途中出場で使ってもらっていましたけど、なかなか結果を残すことができていなかった。起用してくれる監督さんや応援してくれているサポーターのみなさんに申し訳ないと思っていたので、一つこれを自分のきっかけにしたいですし、次につなげたいと思います」
大関は神妙な面持ちで言う。ようやく数字でチームに貢献できたことで、目の前の壁を突破できそうな手ごたえを得た様子だ。
実際、彼は「川崎の控え」という立場にとどまっていることが許されない選手だ。
U-21日本代表の大岩監督からは主軸の一人と位置付けられ、重用されているだけに、コンスタントに試合に出て、グングン成長していくことが強く求められているからだ。



