
鹿島アントラーズでプレーする松村優太【写真:Getty Images】
鹿島アントラーズが失点の多さに苦しんでいる。24日の柏レイソル戦は先制しながら前半のうちに逆転を許し、2-3で敗戦。12試合で総失点は「21」に達し、昨季リーグ2番目に少なかった堅守は影を潜めている。「簡単にやられない癖もつけていかないといけない」。連覇を目指す王者の課題を、MF松村優太の言葉からひもとく。(取材・文:藤江直人)[1/2ページ]
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【2026/27明治安田J1リーグ第12節】
2026年10月24日 鹿島アントラーズ 2-3 柏レイソル
(メルカリスタジアム)
「リーグ全体を見てもワーストに近い」

柏レイソル戦に臨む鹿島アントラーズの選手たち【写真:Getty Images】
詳しい状況は確認していない。それでも何かがおかしいと肌感覚でわかる。
「今日で12節を終えましたけど、ほとんどの試合で複数失点している。まだ詳しくは見ていないですけど、リーグ全体を見てもワーストに近いくらいですよね。2番目か3番目かはわからないですけど」
鹿島アントラーズのMF松村優太が指摘したチームの現状は、確かに的を射ていた。
J1リーグ第12節第1日を終えた24日の時点で「21」に膨らんでいた鹿島の総失点は、浦和レッズと京都サンガF.C.の「23」、ジェフ千葉の「22」に次いで20チーム中で4番目に多かった。
翌25日の第2日を終えて5番目に多い数字へと変わったが、だからと言って深刻な失点禍が続いている状況に変わりない。チームの土台が崩れかけている数字に警鐘を鳴らすように松村は続けた。
「本来はそこにいるチームではないと思っているし、だからこそ立ち返らなければいけないというか」
横浜F・マリノスに4-3で劇的な逆転勝利を収めた8月7日の開幕節を皮切りに、リーグ戦で複数失点を喫した試合は半分以上の「7」を数える。当然ながら2勝2分け3敗と数字もついてこない。
対照的にクリーンシートを達成した東京ヴェルディ戦、ガンバ大阪戦、V・ファーレン長崎戦はしっかりと勝ち点3をあげている。この形こそが鹿島の本来あるべき姿と言わんばかりに松村が言う。
「立ち返るべきところはそこではないと思っています」

先制点をあげた徳田誉【写真:Getty Images】
「3点取ろうが4点取ろうが、それ以上取られたら本当に意味はない。失点の数もそうですけど、失点の仕方と言えばいいんですか。それも悪いし、あとは失点する時間帯もちょっと悪すぎるかな、と」
9シーズンぶり9度目のリーグ優勝を果たし、歓喜の涙を流した昨シーズンの数字を振り返れば、鹿島の総失点「31」はサンフレッチェ広島の「28」に次いで、リーグで2番目に少なかった。
秋春制へのシーズン移行に伴い、今年前半に開催されたJ1百年構想リーグでは地域リーグラウンドEASTの18試合でわずか9失点。WESTを含めたJ1の20チームのなかで断トツに少なかった。
一転して今シーズンは堅守が見られない。攻守のバランスが崩れていると松村は痛感している。
「昨シーズンもそうだったし、百年構想リーグでもそうでしたけど、鹿島は守備の最後のところで粘り、まず失点しない状況から初めて攻撃に転じて3得点以上を狙おう、という試合運びをしてきました。
そういう部分を本来はもっているはずだし、実際にほとんどの試合で複数得点を取れている。もう少し取れるかな、という場面もありましたけど、立ち返るべきところはそこではないと思っています」
ホームのメルカリスタジアムで柏レイソルと対峙した24日の上位対決でも、悪循環が繰り返された。
鹿島は14分にFW徳田誉が待望の今シーズン初ゴールを決めて先制。88分には途中出場のFWチャヴリッチがシーズン6ゴール目を決めて、12試合中で10度目の複数得点をマークした。
しかし前半のうちに逆転される。
「ここまでで最高のゲームができていた。それだけに…」

鹿島アントラーズ対柏レイソルの模様【写真:Getty Images】
7試合目の複数失点を喫して折り返した59分には、柏のMF山内日向汰のシュートを日本代表に名を連ねる守護神・早川友基がまさかのキャッチミス。リードを広げられた。
ミッドウイークに行われた第11節から中2日の強行日程。しかし、心身両面で鹿島をけん引するFW鈴木優磨は「相手も同じ条件だし、そこはちょっと言い訳にはできない」と自分たちへ矢印を向けた。
「僕の感覚としては30分ぐらいまではセカンドボールもしっかりと拾えていたし、戦術的にもここまでで最高のゲームができていた。それだけに失点はちょっとイージーだったと思っている」
しかし、35分にMF遠藤渓太に同点ゴールを決められる。前半アディショナルタイムには2本のパスで鹿島から見て右サイドを崩され、ポケットをえぐった山内に豪快な逆転ゴールを逆サイドへ叩き込まれた。
このときボランチの三竿健斗は振り向くやいなや、両手を大きく広げて「なぜだ」と言わんばかりに大声で何かを叫んでいる。特定の個人ではなく、チーム全体へ怒りをぶつけたと三竿は明かしている。
「前半の終了間際に簡単に失点してしまった。もったいないし、あってはならない。あのまま同点で前半を終えるのが試合巧者というか、鹿島として考えるべきなのに、そこで隙を見せてしまったので」
松村も「誰がどうこうじゃなくて、チーム全員で向き合わなければいけない」とこう続けた。
「また失点してしまった、というメンタルになっているわけではない。それでもそう映る試合の進め方になっている。勝ち癖をつけるとよく言われるけど、簡単にやられない癖もつけていかないといけない」