まさかのGS敗退に終わったAFC U-23選手権
日本が、五輪出場権をきっちりと獲得したU-23アジア選手権。一方で、豪州は、まさかの予選敗退で前回のロンドン五輪に続いて五輪切符を逃すという最悪の結果に終わった。
前号でも触れたように、今回のオリルーズの攻撃陣には一定のタレントが揃っていた。しかし、本来ならばチームの核になるはずだった選手数名の招集を、所属クラブの派遣拒否によって直前で断念するなど、決して万全の状況ではなかった。そこには同情の余地はある。
しかし、アウレリオ・ヴィドマー監督は「今回のメンバーでも充分に戦える」と自信を見せて大会に臨んでいただけに、1勝1分1敗、勝ち点わずか1の差ではあるが決勝トーナメント進出すら逃すというこの結果に関しては言い訳ができない。
今大会に入ってからのオリルーズは、そんな事情もあって試合ごとにメンバーを入れ替えて戦うことを余儀なくされた。3試合すべてにフル出場したのは、エースFWのジェレミー・マクラーレン、センターバックとして安定した働きを見せたジェームス・ドナキー(共にブリスベン・ロア)と左SBアレックス・ガスバック(シドニーFC)の3名だけ。
3試合とも起用されなかったのは、第3GKジョン・ホール(アデレード・ユナイテッド)とAリーグ復帰が決まったアダム・タガード(パース・グローリー)の2名だけ。
3試合で都合21名を起用したヴィドマー監督の猫の目采配は、戦いながらベストの布陣を手探りで探し出すような戦いぶりで、結局、結果に結び付かなかった。自軍の選手を熟知したうえで相手やコンディションなどを総合的に判断し、大胆な用兵を見せた日本の手倉森監督のそれとは、あまりにも対照的だった。
今更、失意のままにカタールを去り、既に帰国したオリルーズの大会での戦いぶりを振り返るのも詮無きこと。代わりに、今大会で見出された一筋の光明について触れたい。それは、今大会に臨んだオリルーズのメンバー構成に見られる豪州という国の特性だ。