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日本生まれの17歳が香港代表デビュー! 未来を担う大器をサッカー日本代表戦で抜てき、指揮官が求めるものは?【E-1サッカー選手権2022】

text by 編集部 photo by Shinya Tanaka

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【写真:田中伸弥】



香港代表で期待の17歳が日本代表戦でデビュー

【日本 6-0 香港 E-1サッカー選手権2022】

 EAFF E-1サッカー選手権決勝大会の初戦が19日に行われ、サッカー日本代表は香港代表に6-0の大勝を飾った。



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 この試合の終盤、香港代表で楽しみな選手がデビューを飾った。17歳のMF市川聡悟はDFロー・ツチェンに代わって77分からピッチに送り出された。

 名前からもわかる通り、市川は日本にルーツを持つ選手だ。母親が日本人で大阪に生まれ、生後2ヶ月で香港に移住し、香港で育った。しかし、日本語を流暢に操り、出身地の大阪に本拠地を置くセレッソ大阪やガンバ大阪の試合をチェックするなど、日本とのつながりは切れていない。

 市川をA代表デビューさせた香港代表のヨルン・アンデルセン監督は試合後の記者会見で「17歳だが、年齢のわりにとても良い選手で、我々がこれから将来のために成長させていかなければいけない選手の1人でもある」と、強豪の傑志に所属し香港サッカー界の未来を担う逸材の才能を絶賛した。

 選手の数もプレー環境も限られる中で強化を進めていかなければならない香港代表は、外国生まれの選手を帰化させるなどの戦略も推し進めてきた。そうした外からの力に頼らずチームを強くするためにも、地元育ちの市川のような選手を大事に育てていかなければならない。

 アンデルセン監督が「アンダードッグ」と認める現状を抜け出すにあたって、17歳の日本ハーフMFは鍵となる存在なのである。

「香港にはそれほど多く優れた才能を持つ選手がいるわけではなく、市川のような選手に対しては多くの経験を積ませたい。今日のように数分であっても将来に向けた経験を積ませることが必要だと感じて起用した」

 ノルウェー人指揮官は所属クラブでまだ出場機会が少ない市川に、あえてA代表の舞台で経験を積ませた。すでに大差がついて逆転は絶望的な状況での起用になったが、ルーツのある日本代表との対戦が香港サッカー界の将来への投資になると考えている。

「市川は非常に才能がある選手だが、まだ若い。成長するためにはプレーする時間を増やさなければならない。選手はピッチで成長するものなので、しっかりとプレーする時間を与えるとともに、クラブでもプレー時間が増えれば、将来に向けて成長する選手になると思う」

 昨年10月にU-23香港代表の一員として来日し、AFC U-23アジアカップ予選にも出場していた市川は「今は(傑志で)トップチームにも入っているので、まずはもっとクラブで経験とプレー時間を多くして、自分の才能を見せて、チャンスがあれば海外に行きたいです」と語っていた。

 現在は所属する傑志でなかなか出場時間が伸びず、市川の主戦場は国内カップ戦になっている。2021/22シーズンは香港サプリングカップで9試合に出場し1得点、香港プレミアリーグでは1試合出場1得点、AFCチャンピオンズリーグは出番なしという成績だった。

 ただ、リーグデビュー戦でゴールを挙げるなどインパクトは残している。今回の日本代表戦のプレーがさらなる成長につながり、市川が香港代表をけん引する中心選手になっていくことを期待したい。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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