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「僕は決して“パンダ”じゃない」。世界屈指のレジスタ、ピルロが語る司令塔の存在意義

4月6日発売の『欧州フットボール批評issue02』(カンゼン)では「司令塔はどこにいる? 戦術に“違い”を創り出す男たちの新たな居場所」と題した特集で、ユベントスのアンドレア・ピルロへインタビューを行っている。一部抜粋して掲載する。

text by クリスティアーノ・ルイウ photo by Getty Images

意味のないパスは“有害”でしかない

「僕は決して“パンダ”じゃない」。世界屈指のレジスタ、ピルロが語る司令塔の存在意義
インタビューでは天才レジスタの司令塔論をたっぷり語っている【写真:Getty Images】

――強靭なフィジカルとスピードがあるわけではなく、単独でドリブルで突破するタイプでもないピルロのようなレジスタは、やはり今日においてフットボール界の絶滅危惧種と言えるのだろうか? それでもピルロが中盤に君臨して輝き続けられる理由とは? 

ピルロ(以下、P) いや、この僕は決して“パンダ”じゃない(笑)。ピルロとは異なる特性を持ちながらピルロを上回る実力のレジスタもいれば、僕と同じようなタイプで僕よりも上手いMFだって決して少なくはない。

 いずれにしても、サッカーは言ってみれば進化し続ける科学のようなものだと思うし、選手1人ひとりの進化もそう。現にこの僕だって20歳の頃と今ではまったく別の選手みたいなものだからね。たとえばFKひとつを例にとっても、当時の僕が蹴るそれはもう全然ダメでね。精度も低いし軟弱だったし(笑)。でも、それこそ何度も何度も蹴り続けていくことで少しずつその精度も強さも増すことができた。そして今では望む場所へ、望むスピードのボールを正しく運ぶことができる。

 そして、もちろんそれはMFとしても、レジスタとしても同じ。経験を重ねることでこそ上達してきた。つまり、何を言いたいのかといえば、決して可能性はゼロじゃない、と。若い選手が今はまだシャビのレベルに遠く及ばないとしても、努力を重ねればそこへ到達することだって夢じゃない。だからこそ僕は、シャビやピルロを超えるレジスタは必ず出てくると信じるわけだよ。

――ところで、これもまた「レジスタ・ピルロ」を語る上で頻繁に言われることなんだが、ボールを持った際の君はやはり2つ、3つ先の展開がイメージできているものなのか?

P もちろん。でもそれは何もこの僕だけじゃない。中盤でプレーする選手であれば誰だって同じようなイメージを描いているはずだよ。そうでなければこのレベルで居場所を得ることはできない。意味のないパスは、有害だからね。いつだって次の展開を考えながらプレーしているし、狙ったパスが出せないとなればもちろんプランB、さらにはプランCを選択しなければならない。そして、まさにここでの判断において先の経験と勘が役に立つということだね。

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